米国の国立公園でも、気候変動の影響が大きいらしい
米国の東海岸から西海岸まで(逆コースでもいいが)飛行機で横断すると、その国土の広さに驚く。羽田から北海道に飛ぶ時に東北を縦断すると、宮城県の太平洋岸の上空から反対側の我が故郷、山形県庄内地方の山並みがすぐそこに見え、もう少しで日本海まで見通せそうな時がある。そんな国と比べると、そのスケールの違いは圧倒的だ。
米国中西部の大穀倉地帯を越えると、ロッキーの大自然になる。米国という国は、田舎と大自然でできている国だと実感される。大都会のニューヨークなんて、米国の例外中の例外だ。
あんな自然豊かな国土に住んでいると、自然に対する考え方が両極端になるのもわかる。ナチュラリストは自然環境保護にとても熱心だが、大多数は全然無頓着である。相変わらずガソリンをまき散らして走るような燃費の悪いどでかい車に乗り、電気や水を使いまくる。とにかく資源を使うことに関して大らかすぎるところがある。
ところが、いくら大自然の中でのほほんと大らかに暮らしているようでも、ここに来てようやく危機感が高まりつつあるようだ。まあ、ほんの一部だけでの話ではあるのだが。
毎日新聞が、「米国立公園に気候変動の強い影響」と伝えている。米国の多くの国立公園が、過去数十年の間に極端な気候変動に曝され、政府機関の科学者らが 「思い切った対策を取らなければ、この傾向はさらに加速する」 と警告しているのだそうだ。
多くの国立公園で平均気温が上がり、降水量が減少して砂漠化が進行している。グランドキャニオン国立公園では、これ以上乾燥が進めば、野生動物の生存を支える天然泉が枯渇する可能性があるという。生物多様性が危機に瀕しているわけだ。
国立公園のような大自然ばかりではない。中西部の大穀倉地帯では、これまでバンバン地下水をくみ上げて農業を続けてきた結果、地下水脈が枯渇しかかっているところが増えていると伝えられる。米国の穀倉地帯で穀物が穫れなくなったら、それは世界規模の食糧危機に直結する。
米国でもようやく低燃費の小型車が増えたりし始めているわけだが、今頃そんなことでは、遅すぎるかもしれない。
米国人の「自然」に関する考え方は、人間も自然の一部とみて、山や海に神を見出す日本人とは対照的で、「乗り越えるべき障害」としか見ていないところがある。日本人の自然観を、少しは分けてあげたい気がするほどである。
まあ、日本人は日本人で、あまりにも自然を相対化しないで接しているために、山の中の渓流筋に無頓着に残飯を捨ててしまう釣り師なんかが多いというところもあるのだが。
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