« ブラック企業が頓挫する原理 | トップページ | 妙に美し過ぎる理想を掲げたブラック企業の落とし穴 »

2014/08/13

Apple の従業員構成と、カタカナ英語を巡る冒険

"Apple も白人男性中心の従業員構成 - 「満足していない」と Cook 氏" という記事の見出しだけを読んだ時は、「90%ぐらいが白人男性なのかな」と思ったが、記事の本文を読むと「白人 55%、アジア系 15%、ヒスパニック 11%、黒人 7%」なんだそうだ。私が思ったほどの白人中心ではないようだ。

昔、勤務先(外資系)で参加が義務づけられていた英語クラスで、Microsoft が本社敷地で開いた社員参加による野外パーティのビデオを見たことがある。これを見せてくれた英語講師(英国人)が、「これをみて何か気付いたことがないか?」と質問したが、多くは「敷地が広い」とか「料理がうまそう」とか「さすがに知的な雰囲気」とかのコメントしか出なかった(もちろん、全部英語でのやり取り)。

一通りのコメントが出てから、その講師は「本来気付いて欲しかったのは、参加している社員が白人ばかりだということ」と言い、他の多くの企業で従業員の人種構成が多様化しているにもかかわらず、「IT 企業は白人中心の構成になっているのが特徴」と説明してくれた。

日本という国の中で仕事をしていると、従業員の人種的多様性なんてことを考えることは滅多にない。「男女比率をまともにしなければ」とか「障害者の雇用を促進しなければ」と考える企業があれば、それは先進的と思われるぐらいのレベルだ。

『ダーリンは外国人』という漫画で、作者(ダーリンの日本人妻)が、外国人である夫を友人に紹介した時、 「外国からいらしたんですか?」と聞かれた夫がガーンと驚いて、「どうしてわかったんですか!?」と叫ぶシーンがある。「どうみても外国人だろうが」といったツッコミが書かれているのだが、このあたりがまさに、カルチャーギャップである。

米国では、米国人か外国人か一目でわかるなんてことはあり得ない。そして米国人(米国国籍をもつ者)でも、ルーツによって "I'm Japanese" とか ”Italian" とか言っている。どうみても日本人の顔立ちの私も、ニューヨークの通りで、白人にしょっちゅう道を聞かれる。お上りさん同士でも、米国人かどうかなんてわからない。

そうした国だから、Apple では白人男性が 55%であっても、CEO の「まだ満足していない」という発言につながるのだ。日本の企業も日本人比率を大幅に減らせなんて無茶はいわないが、せめて女性の比率はもっと高まっていい。

ところで「多様性」を表す英語 ”diversity" を、近頃のメディアはなぜかカタカナで「ダイバーシティ」と書くが、私はこれについて前から疑問である。この英語の発音のマジョリティは「ディバーシティ」に近いと思う。

「ダイバーシティ」と発音する人も確かにいて、私の経験では、オーストラリア人に多い。しかしながら、そもそも強いアクセントは第二音節にあるから、たとえ 「ダイバーシティ」 と発音したとしても、頭の 「ダイ」 はとても軽くあっさり、しかも曖昧に発音されがちで、明確な二重母音には聞こえにくい。

まあ、この単語だけを取り出して、「これって、どう読む?」と聞いたら、ことさらはっきり「ダイバーシティ」式に発音するかもしれないが。フツーの会話の中ではそんなにはっきりとは言わないことが多い。

「ダイバーシティ」なんていうカタカナが一人歩きするようになったので、テレビなどでは「シ」にアクセントをおいて「ダイバー・シティ」(飛び込みする人たちの街?)という妙な言い方をする人が少なくない。私はこれが気になってしょうがないのである。もしかして、これって、お台場の「Diver City 東京」のせいか?

ついでに言っちゃうが、"mobile" も、本当は 「バ」にアクセントをおいた「モバイル」 とは聞こえない。どう聞いても「モゥバル」あるいは 「モゥボー」 (アクセントは最初の「モゥ」にある)だ。もし「モゥバイル」と言っているとしても、アクセントの関係で「バイ」の部分は曖昧になり、明確な二重母音には聞こない。それは上述の  "diversity" と同様である。

その意味で、私はカタカナ表記は「モービル」でいいんじゃないかと思っていたのだが、今はもう圧倒的に「モバイル」になってしまったので、渋々従っている。「ダイバーシティ」もそうなってしまいそうだが、"diver city" とは絶対に言わない。

 

|

« ブラック企業が頓挫する原理 | トップページ | 妙に美し過ぎる理想を掲げたブラック企業の落とし穴 »

言葉」カテゴリの記事

マーケティング・仕事」カテゴリの記事

コメント

「ダイバーシティ」は、カーナビだったかの「ダイバーシティアンテナ」の印象の方が時間的に先行していて、「多様性」という意味が遅れて思い浮かびます……。いまWikipediaで調べたら、カタカナの「ダイバーシティ」では電波関係の話しか出てこないですね(「多様性」を参照せよ、という扱いになっています)。

そういえば、financialの表記をファイナンシャル/フィナンシャルのいずれにするかってのも同じ話かなぁ。これも強勢は第二音節のような気がする。

投稿: 山辺響 | 2014/08/14 14:50

山辺響 さん:

本当だ、Wikipedia の世界で 「ダイバーシティ」 と言ったら、工学分野の専門用語以外の何物でもなさそうに思われますね。

二重母音に関しては、そういえば、financial もそうですね。いずれにしても、アクセントのない音節の二重母音は、ものすごく曖昧に発音されますので、どっちでもいいぐらいの印象です。

主語の "I" (私は〜) にしても、いわずもがなで形式的に付けてるだけみたいな時 (日本語だったら当然主語が省略されそうな文脈)は、ものすごくあっさり発音されます。
(そんな時でも、日本人の多くははっきり 「アイ」 と強く言うので、どうでもいいことなのに、ことさら我の強い言い方みたいに聞こえたり)

投稿: tak | 2014/08/14 15:15

しかしAppleの社員構成ですが、「人種のデータは米国社員が対象」とありますよね。これまたWikipediaのデータですが、アメリカ合衆国の人種別構成では白人が約78%になっているので、合衆国全体と比べるとずいぶん白人が少ないと考えてもよさそうなものですが……。

ちなみにちょっと意外に思うのですが、アメリカ合衆国の人口統計上では中東・北アフリカ系の人たちは「ホワイト」にカウントされるんですね。アラブ系もユダヤ系も西欧系もロシア系も同じ。ヒスパニックの扱いはいろいろなのかな……。

http://en.wikipedia.org/wiki/White_American

投稿: 山辺響 | 2014/08/14 19:23

山辺響 さん:

本当だ。意外ですね。

米国は大都市にしか行ったことがないので、その印象では白人なんてもうマイノリティになってしまっているかと思ってました ^^;)

投稿: tak | 2014/08/14 21:08

tak-shonaiさんごきげんよう~おはようございます~
そうですか、私などは英語に縁がないので日本語と化した英語しか知りません。涙涙涙・・・

それから最近のアメリカ映画やドラマには、白人ばかりでなく人種を考慮してキャスティングしていますよね?中国人と黒人は良い役に入っているのがあたりまえになりました。
面白いですね。


投稿: tokiko6565 | 2014/08/15 11:04

tokiko さん:

>中国人と黒人は良い役に入っているのがあたりまえになりました。

東洋人が IT の専門技術者というのが、かなり多いですね (^o^)

投稿: tak | 2014/08/15 11:55

tak-shonaiさん
こんにちは!
あのお、ここに書いてよいか分かりませんが
和歌ログのページがとっても小さく出て、コメントが
しにくいのです。(普通の画面の半分)
昔よく訪れていた和歌ログの東屋のほうは画面が大きくて、よく見えるのですけれどね。
本来の正しい和歌ログのページを大きくしてもらえないものでしょうか?
失礼いたしました~

投稿: tokiko6565 | 2014/08/15 15:21

tokiko さん:

ローカルの ブラウザ で、小さく表示させる設定になっているんだと思います。

メニューバーの 「表示」から、「拡大」を選んでみてください。

投稿: tak | 2014/08/15 16:15

tak-shonaiさん
私のコメントを削除ありがとうございました。
それから和歌ログ拡大にしましたが、ただ少し大きくはなりましたが・・・やはり肝心のコメントの場所がさっと出ないの。ひと手間いるのよ。あきらめます。ごめんなさいね。

投稿: tokiko6565 | 2014/08/15 16:30

tokiko さん:

もしかしたら、ブラウザーを換えてみるといいかもしれません。

IE をお使いになっているなら Chrome にするとか。

投稿: tak | 2014/08/15 18:32

このニュース(下記URL)を読んで、このブログ記事を再訪しました……。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/nishantha/20140818-00038350/

投稿: 山辺響 | 2014/08/19 09:46

山辺響 さん;

あまりにも「ありそうな話」過ぎて、こわいですね

投稿: tak | 2014/08/19 23:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Apple の従業員構成と、カタカナ英語を巡る冒険:

« ブラック企業が頓挫する原理 | トップページ | 妙に美し過ぎる理想を掲げたブラック企業の落とし穴 »