人口減少と、ライフスタイルの変化
先日帰省した時に感じたことだが、地方都市は確実に年寄りだらけになっている。私が高校時代まで暮らした実家の近所は、あの頃「若いお父さん、お母さん」だった人たちが完全に「じいさん、ばあさん」になっている。じいさん、ばあさんだらけだから、田舎の道路は車のスピードがやたら遅い。
その じいさん、ばあさんの子供と孫が同じ家か同じ地域に暮らしているのはほんの僅かで、子供たちの世代の多くは、東京でなければ仙台に出て暮らしている。まあ、この私にしてからが田舎を出て関東で暮らしているわけで、妹も同様。そのため、私の実家は父と母が亡くなってからは空き家になっている。
こうなってしまうと、実家の近所は 10年ぐらいの間に空き家ばかりになってしまうに違いない。地方都市の地価はこれからどんどん下がり続けるはずだから、U ターン、I ターンはとてもやりやすくなるはずだが、それでも田舎に住もうという人はそれほど多くない。
日本創成会議が今年 5月に発表したところによると、2040年までに日本の自治体の半数は消滅する可能性があるというのだが、それが現実感をもって迫ってきたわけである。日本では山中の村だけじゃなく、いっぱしの地方都市でも限界集落的様相になってしまうのだ。
発表によると、人口減少が最も深刻な東北では、青森県では 40自治体のうちの 35が消滅する可能性がある。以下、岩手では 33のうちの 27、宮城では 35のうちの 23、秋田では(何ということか!)25のうちの 24、山形では 35のうちの 28 が消滅しそうだということになっている。なおこの報告書では、原発被害の深刻な福島県は除かれている。
県庁所在地といえども安泰ではないようで、青森市、秋田市が消滅危険都市になっている。じゃあ、25自治体のうち 1つしか残らない秋田県ではどこが残るのかというと、八郎潟の干拓によってできた大潟市だけなんだそうだ。じゃあ、大潟市が秋田市を吸収合併して「新秋田市」を名乗って県庁所在地にならないとも限らないのか。
山形県では 35のうち 28が消えて、7自治体が生き残るというので、数少ない 10万都市の 1つである我が酒田市は一応大丈夫かと思っていたが、やっぱりダメなんだそうだ。いやはや、さすがにじいさん、ばあさんだらけだものなあ。
それどころか、庄内地方の 2市 3町はすべて生き残れない可能性が高いということで、エラいことである。じゃあ、庄内地方は、まとめて「庄内市」とでもなるしかないのか。いや、生き残ってもその何年後かにはまた危機的状態に陥るのか。
東北地方ばかりではない。今私が暮らしているこのつくば地域にしても、じいさん、ばあさんの比率がやたら高くなっている。我が家の向こう三軒両隣を含む 20軒ぐらいでも、今では還暦を過ぎたどころか、70歳以上の人たちばかりになり、夫婦揃っているのは、我が家を含めて 5軒だけだ。
向かいの家なんかは、最近ご主人が亡くなり、奥さんは認知症でどこかの施設に入っている。子供が 1人いるのだが、結婚してどこかに行ったまま、顔も見せない。空き家ではまだ電話を解約していないようで、時々ベルが空しく鳴り続けているのが聞こえる。まさに「限界集落」の様相を呈していて、やはり 10年以内に、ほとんどが空き家になるだろう。
とまあ、こんな状態で、日本全体をみても人口は減少し、大都市以外では人がいなくなるのだから、今さら原発再稼働なんてする必要があるとも思われない。さらに当事者の JR 東日本が「採算割れ確実」と言っているリニア新幹線なんて、作るだけ馬鹿馬鹿しいだろう。
こうなったら、少ない人口で余裕の出た国土を、大切にしながら暮らすライフスタイルを確立しなければならない。余計な開発をしたところで、それを維持する労働力が期待できないのだから、慎ましい暮らしに戻るしかないではないか。
かといって、何もかも昔の暮らしに戻る必要もない。今では IT やインターネットもあるのだから、慎ましくも活発な暮らしができるはずなのである。ただ、あまり余計な贅沢をしなければいいだけなのだ。
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コメント
tak-shonaiさんごきげんよう~
おはようございます~
そうですか、、
最近、中国人によって
知らず知らずのうちに日本の国の土地の買占めがおこなわれているという報道があります。
いつのまにか、
日本でなくなってしまうかもしれないですね。
ああ、心配だこと・・・・・
投稿: tokiko6565 | 2014年8月20日 04:50
私は名古屋市昭和区、と言っても中区に近く、
地下鉄駅からも名古屋高速からも数分という便利な地域に住んでいます。
町内は結構古い一戸建ても多く、老夫婦の世帯がほとんどです(我が家もそうです)。
我が町内を含め近隣の町内も、以前は小さなマンション向けの貸し駐車場がちらほらという程度でしたが、
最近は家がなくなり歯抜けになったなと思っていたら、突然コインパーキングが出現するということが多くなりました。
都心の会社に通いやすく、また、大学が近くにあるという立地からか、
大きな古家の跡地には、単身用のマンションも多くなっています。
当然マンションの住人と顔を会わすことはなく、回覧板や資源ゴミの当番などなど、
町内の色んな雑用も「じじばば」ばかりが行っています。
都心近くの町も、なんか寂しくなるばかりです。
投稿: さくら | 2014年8月20日 11:17
tokiko さん:
中国も韓国も、あちこちで土地を買ってるらしいですね。
逆に中国の土地を外国人が買うのは、大変な規制があるでしょうし、なかなか不公平ですね。
投稿: tak | 2014年8月21日 13:57
さくら さん:
都会でも、地区によっては高齢化がかなり進展しているようですね。
まあ、日本中でそうなっているのですから、こればかりは仕方がないです。
私は 70歳を過ぎたら、病気になってもあまり余計な治療をしないで、あまり長生きしないように心がけようかと思っています ^^;)
投稿: tak | 2014年8月21日 13:59
老人らしい感想ですね
これから成長する子供たちが、経済成長もないただ衰退する国でいいと
これが老害たちの大半の意識なのでしょうか
投稿: とおりすがり | 2014年8月24日 14:40
とおりすがり さん:
はばかりながら、還暦は過ぎたけど、まだまだ 「老人」じゃありません。ましてや、いきなりやってきて 「老害」 とは無礼な言い方ですね。
「衰退する」とは何を指して言っているのか知りませんが、持続可能な社会を想定したら、これまでのやり方ではいけないと気付かない方がおかしいでしょう。
あなたの発想の方が、老人ではないにしても、趣味の悪いおっさんじみて、確実に旧世代っぽく聞こえます。
「とおりすがり」 というからには、もう戻ってこないのでしょうから、何を言っても無駄でしょうけどね。
投稿: tak | 2014年8月24日 19:04
いってしまえば「全土リフォームの時期」と割り切ってしまえばいいと思いますよ。地方の人口が少なくなれば当然地価は下がるわけですし、以前と違って立地が命運を左右する業種も少なくなってきていると思えば、”居住環境の改善”でひきつけられる人も多かろうと思うのですが。それに防災都市として再設計された町なら人口減少による地価の下落にも一定の抵抗力を持てると思います。
それに前の戦争の時の引き揚げ組の開いた村とか落人集落とか継続して住み続けるのに適しているかどうかこの際確認して回るのにもいい機会かもしれません。
投稿: gohanda | 2014年8月31日 14:29
gohanda さん:
都会への集中は、きっとどこかで見直されて、少しは地方に散らばるようになると思います。その意味では、「リフォーム」なんでしょうね。
一番住み心地のいいのは、多分、都市にもほどちかい田園地帯だと思います。
どうしても都会に住みたがるから、土砂災害危険地域を無理矢理切り開くことになるんですね。
投稿: tak | 2014年8月31日 18:46