安心して生きて死のう
TED に森田洋之さんという方が登場して、とてもいい講演をされており、YouTube で聞くことができる。
ただ、ビデオだと 20分以上かかるので、忙しい方は講演をテキストに起こした「病院がないほうが死亡率が下がる! 夕張市のドクターが説く、”医療崩壊”のススメ」というページをご覧になるといいかもしれない。とはいえ、森田さんという方の語り口はとても魅力的なので、少しはビデオの方もご覧になることをオススメする。
講演の内容はテキストに起こしたページのタイトルそのもので、財政破綻のあおりを受けて「医療崩壊」してしまった夕張市で、その結果、実は住民が健康になり、死亡率も下がってしまったというお話だ。夕張市診療所の元院長さんだった森田氏がおっしゃるのだから、まんざらでたらめではない。
でたらめではないどころか、客観的データに基づいた事実なのである。本当に、病院に頼って余計な治療をし薬漬けになる方が、健康にはよくないみたいなのだ。
私はこれまで、"不老長寿なんて求めない時代"、"「死ぬならがんに限る」というのは、本当のようだ" などの記事で、「無駄に長生きするよりは、さっさと死ぬ方がずっとましだから、余計な医療にはかかりたくない」みたいなことを何度も書いてきた。
高齢化社会においては、自分が無駄に長生きしたら社会的損失になるから、寿命が尽きたらさっさと死ぬ方がずっと「世の中のお役に立てる」と思っていた。ところが皮肉なもので、余計な医療にかからない方が、ずっと健康で長生きできるようなのである。
まあ、健康でいるうちは社会に貢献して、それができなくなったらさっさと死ぬというのが一番よさそうなので、やっぱり「医療崩壊」なんてちっとも恐れることはないのだろう。安心して生きて死のう。
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コメント
いつも感心しながら拝読させていただいておりますが、今回の記事はいつものtak さんらしからぬ感じをいだき、おもわずキーボードをたたいてしまいました。
森田さんの主張をテキストを紹介していただいているページには、医療関係者の専門的な(批判している)コメントが複数記載されているのに、それに対してなにもコメントなく(無視?)、ただただ森田さんの主張を素直に受け入れていらっしゃるように感じたからです。
tak さんのブログでこれまで取り上げられてきたものは、なんであれ、一度、批評精神に基づいてご自分で咀嚼された上で、自分の考えとしてまとめられており、いつも感心しておりました。
私も医療関係者ではなく、どちらの主張が正しいのか判断する能力はありませんが、一般的な常識から見て、森田さんの主張は(傾聴する価値はあるとは思いますが)あまり鵜呑みにしてはいけないような類のものであるように感じました。(頭の中で注意信号がともっているかんじ。)
「夕張市診療所の元院長さんだった森田氏がおっしゃるのだから、まんざらでたらめではない。」とノーチェックで森田さんの主張を受け入れていらっしゃるのもtak さんらしくないように感じました。森田さんには失礼ですが、「何で院長をおやめになったの?」、「そのような主張はまず専門家のいる学会で発表して、専門家の批評を受けてから、一般に広める活動をされたほうがいいのでは?」って、私は思いました。
投稿: いつも拝読しています | 2014年8月24日 20:51
いつも拝読しています さん:
医療崩壊したら、命に関わるというのは、いわば常識です。
で、医療関係者にしてみれば、メシの種ですから、フツーは医療崩壊を薦めるわけがありません。
ところが、近頃、医療関係者なのに、過度な医療をオススメしない論調や、ガンは医療では治らないが、心の持ち具合で治ることがあるとかいう論調が、少しずつ出てきました。(私のブログの記事で複数回取り上げています)
医療関係者としてそれを言うのは、多分、業界内では非難の的になるはずですので、かなり一大決心してのことと思います。
というわけで、私としては一つのアンチテーゼとして、こうした論調を継続的に取り上げています。
長期入院している人や、逆に末期ガンと診断されながら無駄な医療を拒否して薬も飲まずに治ってしまったり、治らないまでも大した苦痛もなく幸せに一生を全うした人を現実に見るにつけ、私は、「医療崩壊」の側についちゃおうと思うようになりました。
それで、あえてこうした書き方をしているわけです。
投稿: tak | 2014年8月24日 22:30