昨日の "「エンタテインメント」という言葉を巡る冒険" に、米国在住の emi さんから早速コメントがついた。彼女は 5年も前に、自分のブログで「エンターテインメント」を気になる言葉として挙げている。
そして今回のコメントで、"ちなみに私は日本語表記は日本人の発音を反映させたい気持ちがあり、カタカナで書く場合は「エンターテイメント」を使っています" と書かれている、時代の違いをそこはかとなく感じてしまう指摘である。
彼女は 1970年代半ばの 「ザッツ・エンタテインメント」の時代には、多分この世に存在していなかっただろうし、もし存在していたとしても、とても幼くて、ちょっとマニアックなハリウッド映画のことなんか意識していなかっただろう。
彼女がこの言葉をフツーに使い始めた時代、多くの日本人は「エンターテイメント」と言っていたようで、そしてそれを聞いても、70年代に刷り込み完了していた私の耳は、無意識に 「エンタテインメント」 とアジャストして聞いていたのだろう。無意識の反応とは恐ろしいものである。
彼女はさらに、"「アタッシュケース」や「ナルシスト」みたいなもんだと思っています" とも述べておられる。なるほどね。これらが「あり」、というか、普通に使われているのだから、「エンターテイメント」だって十分に「あり」なのだろう。私にはちょっと違和感だけどね。
そういえば私は、"attache case" の英語の 「正しい発音」が、未だによくわかっていない。「アタシェィ」 みたいな感じとは思っているのだが、アクセントが「タ」にあるのか、あるいは原語のフランス語みたいに平板に言うのか(あるいはビミョーに 「シェィ」 にあるのか?)、よくわからないのである。
自分ではアタッシュケースなんて絶対に持たないからどうでもいいのだが、英語の話の行きがかり上では、テキトーにぼやかして言っていたように思う。ぼやかしても、さすがに話の行きがかりだからちゃんと通じるのだが、こっちとしてはモヤモヤしてしまう。
ちなみに英米人でも、「おフランス語こだわり派的な人「外来語だけど、既に英語だもんね派的な人の間でビミョーに違うような気がしていて、誰をお手本にしていいのかわからない。ただ、私がよく英語を使っていたのはほぼ 20年も前の話だから、今はどうなっているのか、これもよくわからない。
そういえば、私は "concierge" (日本語では 「コンシェルジェ」? それとも 「コンシェルジュ?)も、また "parfait"(パフェ)すらも、英語の発音がよくわかっていないまま、テキトーに通じてきてしまっている。どうもフランス語からきたような言葉には、相当に弱いらしい。日本語でも、カレーライスとハンバーグ以外のカタカナ名前の食べ物に疎いし (参照)。
「ナルシスト」に関して言えば、私が 10代の頃までは「ナルシシスト」の方がやや優勢だったように思う。英語は "narcissist" だから「ナルシシスト」の方が確実に近いが、これだと日本語としてちょっと違和感が生じやすいので、今では 「ナルシスト」 に落ち着いたのだろう。
ただ、「ナルシシズム」は、さすがに今でも「ナルシズム」より優勢だと思う。しかし、もしかしたらそう思っているのは私だけで、若い人たちにとっては既に「ナルシズム」なのかもしれないから、コワくて言い切れない。
外来語の中でも日本語の音感としてちょっと違和感のある単語は、どんどん日本語として言いやすいように変化しちゃう力が働くのだろう。この力は、多分自動的なものなんだと思う。”Studio” は 「スタジオ」、”radio" は「ラジオ」だし、先月 13日の記事で触れたように、"diversity" なんて、"diver city" に聞こえるほどだ。
それどころか、日本語としてあまりにもそぐわない語感の言葉は、外来語として入ってくることすらない。例えば 「冷蔵庫」 は英語では "refrigerator" だが、あまりにも言いにくくて舌かんじゃうから、絶対に入ってこない。
これはさすがに、ネイティブでもうっとうしいらしく、普段の会話ではぐっと縮めて "frige" が多用される。ただ、これも日本語としてはちょっと違和感だから、いくらオシャレにカタカナ語を多用したがる電通や博報堂でも、今さら 「エコに強いパナソニックのフリッジ」 なんて言い方はしないだろう。
もう一つ、絶対に入ってこないだろうと思われるのは、"smorgasbord" という言葉である。「スモーガスボード」って、ガス台の上で相撲を取るわけじゃなく、いわゆる「バイキング形式の料理」のことだ。
英語で "viking style" なんて言っても、日本語ではそう言うのだと知っている人以外には、絶対に通じないし、たとえ知っていても、それを思い出してもらえるまで、ちょっとしたタイムラグが生じる。それほどに、英語的にはものすごい違和感のある言い方なんだろうね。
咄嗟には「バイキング料理」と「ジンギスカン料理」の区別がつかなくなってしまう私のような人は、あんまりいないだろうが、最近では日本でも「バイキングという言い方はちょっとダサいかも」と思われ始めたようなところがあって、代わりに「ビュッフェ・スタイル」なんていう言い方が広まり始めた。
これ、フランス語と英語の折衷なのかなあ。英語では「バフェィ」である。
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