デング熱を巡る冒険
例のデング熱の件で、代々木公園が閉鎖になったんだそうだ。デング熱が急に大きな話題となったせいで、調べてみるといるわいるわ、今日現在で 59人の感染者が確認されたのだという。
確認されただけでこれだけいるのだから、「夏風邪だと思ってた」とか「何だかわからないうちに治っちゃった」とかいうのを合わせれば、この 10倍以上はいるだろうという気がする。ゴキブリに例えたら申し訳ないが、「1匹見つけたら 100匹いると思え」みたいなもので、今や日本でもデング熱はそれほど稀な病気じゃなくなったんだろう。
温暖化と国際化が進展しているせいで、熱帯や亜熱帯特有の病気が、日本でも流行するリスクが高まっている。デング熱の予防に関しては、「蚊に刺されないように注意する」なんてことが言われているが、私のように田園地帯の一角に居を構えていると、蚊に刺されないなんていうのは、ほぼ不可能だ。
今の季節、ちょっと庭仕事をするだけで 2〜3カ所は蚊に刺される。長袖長ズボンという姿でも、首の周囲を刺される。虫除けスプレーなんかしても、すぐに汗で流れてしまう。
こんな環境で「蚊に注意」なんていっても、あまり意味がない。田舎の山道で「落石注意」という標識があっても、「どうやって注意するんだよ」と言いたくなるようなものだ。下手に注意しすぎたら、よそ見運転になってしまうしね。
まあ、我が家の半径 100メートル(蚊の行動範囲といわれる)以内にデング熱の感染者がいる可能性は低いので、感染の心配はそれほどしていない。蚊の多い田舎で感染リスクがそれほど高くなく、蚊の少ない都会で、公園などでの感染リスクが高まるというパラドックスが生じているわけだ。
ただ、正しい知識を得れば、デング熱はそれほど恐ろしい病気じゃないとわかる。ほとんどは知らないうちに治ってしまい、重症化する例もあるにはあるが、稀だと報告されている。無闇に恐れて騒ぎ立てる方が、ストレスになって健康に悪いだろう。
今後は都会の公園の立ち入り禁止措置や広範囲にわたる蚊の駆除作業が進むんだろうが、個人的にはちょっと過剰反応じゃないかという気もする。都会ならそこら中が蚊だらけというわけじゃないから、公園でも藪に近付かなければ、刺されることはあまりないだろう。
それに放っておいても、蚊は冬になれば死に絶える。そして来年の夏になれば、新たに発生した蚊の一部が、デング熱感染者の血を吸ってウィルスをもつことになるに決まっている。これって、近年は毎年繰り返されながら、今年になってようやく気付いたことなんだろう。それが嫌なら、夏になる前から蚊の駆除作業をすることだ。
ただ、大規模に蚊の駆除作業をすれば、生態系への影響は嫌でも高まる。殺虫剤は蚊だけに作用するわけじゃないから、蝉や蝶など、虫全体が減る。今問題になっているミツバチの減少にはますます拍車がかかるだろう。虫にとって住みにくければ、実は人間にとっても住みにくかろう。
都会はますます人の暮らす場所じゃなくなっていく。
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コメント
代々木公園以外で蚊に刺された、感染者が出ていると…。
野良猫など、蚊以上の行動範囲を持っている動物に感染(発症はないのでしょうが…)している可能性を考えたら、拡大の可能性も否めないかと…。
確かに蚊も食物連鎖の一環ですから殺虫剤でコロリとなった影響で、数年後にツバメが減るとか…、考えてしまいました。
嗚呼!代々木公園=神宮外苑の近所!
スワローズは大丈夫だと思います。(たぶん)
投稿: 乙痴庵 | 2014年9月 8日 02:15
昨日代々木公園周辺を通りかかったんですが(珍しく車で)、公園の入口は封鎖されているんでしょうが、公園の植え込みに接した歩道では普通に人が歩いているんですよ。あんまり封鎖の意味がなさそうでした。
投稿: 山辺響 | 2014年9月 8日 09:49
乙痴庵 さん:
本文にも書きましたが、蚊上、いや、過剰反応だと思うんですよね。
来年にはまた、デング・ウィルスをもった蚊が確認されて、大規模な駆除作業が繰り返されて、生態系は破壊されて、さらに薬剤への耐性をもった蚊が出てきて、さらに強い薬剤散布を行って…… といういたちごっこになるのが目に見えるようです。
投稿: tak | 2014年9月 8日 12:32
山辺響 さん:
今の状況をみると、パンデミックに直結する恐ろしい伝染病対策を、アリバイ作りみたいにテキトーにやっているという感じですね ^^;)
「デング熱」というおどろおどろしい名前が、やたら恐ろしそうなイメージを喚起するんじゃないかと思います。「モスキット風邪」ぐらいに言っておけば、そんなに大騒ぎしないかもしれません。
投稿: tak | 2014年9月 8日 12:38