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2014年9月30日

梅干しと味噌汁

私の居住する茨城県は、梅干しの産地である。県庁所在地の水戸といえば「梅」が思い浮かぶほどで、日本三庭園の一つ、偕楽園には、多数の梅の木が植えられていて、春先には観梅の客で賑わう。

梅干しといえば、茨城県よりも名高いのが紀州で、「紀州梅」のブランド価値は水戸の梅を凌駕する。考えてみれば、水戸も紀州も、徳川御三家である。もう一つは尾張だが、やはり水戸や紀州ほどではないにしろ、昔から梅が大切にされてきたらしい。

どうして徳川御三家のあった地域で梅干しが名物になったのかというと、戦時の非常食料として大切にされていたからだという。梅干しさえあれば何とか食いつないでいけるというので、徳川御三家は梅の栽培と梅干し作りを奨励したと伝えられる。徳川家康は医学者並みの知識をもち、梅の効用を熟知していたらしい。

つまり、梅は戦時の非常食と考えられていたのだ。

ただ、尾張においては、梅よりもむしろ八丁味噌の方が重要視されていたのではないかと思われる。握り飯に梅を仕込むか、あるいは表面に味噌を塗って焼くかすると、質素だがとりあえずの栄養食になる。

今でも御飯に梅干しと味噌汁があれば、何とか生きていける。梅と味噌、なかなかのものである。

 

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