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2014年10月21日

夫の立ち会い出産で、出生率低下?

先週の土曜日、いつものように TBS ラジオで『土曜ワイド』を聞いていたら、出産に夫が立ち会うことが増えた傾向について、永六輔さんが「僕は立ち会いたくない」とおっしゃる。私は「なんと意外な!」と驚いてしまった。

まあ、実際には永さんが今後、自分の子供の出産に立ち会うことになる可能性はほとんど 0 パーセントだろうから、別に大した発言じゃないかもしれないが、おすぎとピーコに「男のおばさん」と言われたことのある永六輔さんとしては、まことに「らしくない」印象である。

「出産に立ち会うのは、男には刺激が強すぎる」というのである。これはどうみても前世紀までの感覚としか思われない。あの永さんにしてからが、この感覚から逃れ得ていないのを知って、ちょっとショックだった。

私は 3人の娘のうち、下の 2人の出産時に立ち会っている。次女の出産に立ち会った時には、「ああ、こんなものなら、医者も産婆もいなくても、いざとなったら俺が取り上げられるな」と思ったほどだ。まあ、ウチの妻が安産だったこともあるのだろうが。

ところが永さんは、「夫の出産への立ち会いが、出生率低下につながっている可能性もある」とおっしゃる。知り合いの医師が、そんなことを言っていたのだそうだ。一度出産に立ち会った夫が、怖じ気づいて「二度とごめん」と思ってしまい、2人目の妊娠を望まなくなる傾向があるというのである。

しかし尊敬する永六輔さんには恐縮だが、こればかりは、眉唾の話だと思う。私は 2人目の出産に立ち会って、3人目にも当然の如く立ち会った。これは決して私に限った特殊な話じゃないと思う。

試しに、夫の立ち会い出産についてインターネット検索してみたが、少なくとも上位 30番めあたりまでは、出生率低下に結びつくと指摘する情報は見当たらなかった。それどころか夫の立場で「出産に立ち会って感動した」という肯定的な意見の方がずっと多い。

百歩譲って、「二度と立ち会いたくない」と思った夫が多いとしても、それが出生率低下に直接結びつく要因とは思われない。出産には立ち会いたくないけれど、2人目以後の子供が欲しいというなら、立ち会わなければいいというだけの話だ。別に夫が立ち会わなければ出産が不可能というわけじゃないのだから。

「立ち会い出産で出生率低下」というのは、「男は出産に立ち会うべきじゃない」「出産は女の仕事」という古い価値観から出てくる偏見なのではないかと、私は思ってしまったのである。それとも立ち会い出産で出生率低下ということを裏付けるデータが確かにあるなら、教えていただきたい。

念のため申し述べておくが、私は「夫も是非出産に立ち会うべきだ」と主張しているわけではない。立ち会いたければ立ち会えばいいし、嫌だったら立ち会わなければいいだけの話だ。ただ、私個人としては、立ち会ってよかったと思っている。貴重な経験だった。

 

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