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2014年10月30日

よほどの物好きでないと、政治家になんかなりたくはないよね

今日は昨日の「政治家の金銭スキャンダルについて」という記事の、政治家という商売は、金がかかるものであるということについての、いわば続編である。この「金がかかる」というのは、次の選挙でも落っこちないための、いわば先行投資みたいなもので、選挙が繰り返し行われる以上、引退するまでストップできない投資なわけだ。

しかも政治家の先行投資は、生産設備みたいな明確な形としては残らない。フツーのビジネスだったら、ちょっと調子が悪くなったら無駄な宣伝費と交際費と福利厚生費を真っ先に削減するが、政治家という商売はこの「無駄遣い」に相当する出費こそが欠かせないという、ずいぶん特殊な商売みたいなのである。

この無駄遣いに充てる金を得るために、政治家はいろいろな算段をし、おべっかも使わなければならないし、便宜も図ってやらなければならない。ずいぶんストレスの多いサービス業である。私なんか、議場の狭い席にずっと座りっぱなしでいなければいけないと思うだけで、政治家なんてしたくない。

政治家もエラくなると、裏方のストレスまみれの部分は秘書がかなり代行してくれるようだが、最近は秘書の質も落ちて、上手にごまかすという芸当ができなくなっているみたいなのである。こうしてストレスのバッファリング機能が低下し、「秘書が、秘書が……」と言えば、それでまた責められる。

こんなにまでストレスまみれの仕事でありながら、選挙で落選すれば「ただの人」になり、その途端に、周りの連中は手の平を返したように離れていく。こんな馬鹿馬鹿しい商売を創業するなんて、正気の沙汰ではない。親が政治家で、それを継げばいいのでない限り、よほどの物好きでないと、政治家になんかなりたがらない。

ちょっと古い話で恐縮だが、昨年、東国原議員が国会で、「子供のあこがれの職業アンケートで、政治家は 141位でしかなかった」 ことについてどう思うかと安倍総理に質問すると、総理は 「政治家の 1つ上の 140位は刺青師だった」 ともらす一幕があった。これには笑ってしまったね。

まあ、子供に「大きくなったら何になりたい?」と聞いて、ケーキ屋さんとかお花屋さんとか、サッカー選手とかいう可愛らしいのと同じレベルで「政治家になりたい」なんていう返事が増えたら、それはそれでかなり気持ちが悪いが、それにしても、刺青師に次いで 141位というのは、確かに不人気すぎる。

政治家の人材が不足するわけである。政治家が人材不足なのだから、その秘書だって人材難になる。たまに優秀な秘書がいたとしても、そいつはそのうち自分も政界に打って出ようという物好きだから、いつまでも忠実な番頭さんでいてくれるわけじゃない。

政治家という職業を、馬鹿馬鹿しいものでなくするためには、昨日の記事でも述べたことだが、有権者が他人の金で明治座の芝居を見たり、温泉旅行をしたり、豪華な宴会で飲み食いしたりするのが嫌いにならなければならない。

ところが、フツーの人って、他人の金でいい目を見るのが大好きなのである。「いや、全ての人がそういうわけじゃない」と言うかもしれないが、選挙が大好きな人ほど、そういうのが大好きなのである。そういうのが嫌いな人が選挙に行かないのが、もう一つの問題なのだ。

それにしても、芝居や温泉や宴会に興味のないオタクは、選挙で投票することにも興味がないからなあ。悪趣味な人に合わせて選挙運動するから、政治も悪趣味になる。そして、どこまでいっても政治には金がかかり、政治家は本来の仕事以外のことでストレスまみれになり、国の政治は停滞する。

 

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