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2014年10月14日

日本語だと「マッシュルーム ⊂ きのこ」ということらしい

私は市川団十郎論で修士号を取ったくらいなので、憚りながら日本の古典的な素養はある方だと思っている。欧米かぶれという意識はまったくないのだが、一時期外資系団体に勤務して、日常的に英語で仕事していたことがあるせいか、言語感覚だけは今どきの日本人とはちょっとだけズレているところがあるらしい。

私の日本語感覚は、古典的すぎる部分と英語直訳的すぎる部分が同居しているようなのだ。それで、フツーは当たり前と思われているらしいカタカナ言葉にびっくりしてしまうことが度々ある。

例えば「マッシュルーム」という言葉である。スーパーで買い物をする時、他のきのこは「しめじ」とか「しいたけ」とか「榎茸」とか、ちゃんと種類が明示してあるのに、なぜか「マッシュルーム」とだけ書いてあるのがある。

いうまでもなく「マッシュルーム」とは日本語に訳せば「きのこ」のことである。「マッシュルーム(きのこ)ってことぐらい見りゃわかるし、知りたいのはきのこの種類なのに、なんでわざわざ『マッシュルーム』とだけ書いて、これだけ種類を明示しないのだろう」と、私はずっと思っていた。

しかも「きのこ」とちゃんとした日本語で書けばいいのに、何を気取ってかカタカナ言葉で「マッシュルーム」だなんて、ずいぶん鼻持ちならんやり方だと、内心むかついていたのである。

だから最近になって、日本語で言うところの「マッシュルーム」は決してきのこ全般のことではなく、きのこの中でもある特定の種類を指しているのだと知って、ひっくり返るほど驚いた。意表をつくにも程がある。Wikipedia には次のように説明してあった。

マッシュルームは、本来英語で 「きのこ」 一般を指す語であるが、今日の日本では、ヨーロッパから導入された食用栽培種である担子菌門ハラタケ科の Agaricus bisporus (J. Lange) Imbach(英: common mushroom, White mushroom、仏: champignon de Paris)のみを指している。和名ではツクリタケと呼ぶ。

「マッシュルームというきのこは......」 なんていう、訳のわからない言い方がある理由がやっとわかった。日本ではマッシュルームときのこは同じではなく、「マッシュルーム ⊂ きのこ」(マッシュルームはきのこに含まれる」 という関係のようなのである。

でも、まあ、上述の引用にあるように、英語で "common mushroom" (普通のきのこ)、フランス語では "champignon de Paris"(パリのきのこ)というぐらいだから、いかにもカタカナの似合うきのこの代表選手ってことで、単に「マッシュルーム」ということにしちゃったんだろうか。

これは例えて言えば、「ビルディング」という言葉は、英語では建築一般を指し、フツーの木造建築も含まれるのに、日本語では高層建築のことだと思われているのと似ているかもしれない。

あるいは、「味噌汁」は「スープ」じゃないと思われているのと、裏返しの関係とも言える。外国人には "miso soup" なんて説明していたけどね。いやはや、まったく、なかなか込み入ったお話である。

 

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コメント

tak-shonaiさんごきげんよう~
私は笑ってしまいました。だって、
ひっくり返ってしまうくらい驚いたtak-shonaiさんが
おもしろいからです。
普通人の私達は、マッシュルームの日本語訳を知っていても
素直に外国のきのこのことだとすぐに納得しているのです。
私達は、tak-shonaiさんのように、緻密にきびしく考えることなんかありませんのよ~
ですから、いまさらtak-shonaiさんがびっくりされるのが
おもしろ過ぎます~~~ウクククク・・

投稿: tokiko6565 | 2014年10月15日 17:15

tokiko さん:

やっぱり、私の日本語感覚はズレてるんですよね。
なにしろ、アスペルガー一歩手前だし ^^;)

投稿: tak | 2014年10月15日 19:23

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