地震、雷、火事、台風?
実は、明日から北陸に出張に出る。仕事の本番は明後日で、明日は富山県の高岡市のホテルに入りさえすればいいので、夕方過ぎに新幹線で発とうと思っていたのだが、そんな呑気なことを言っていては台風のせいで電車が止まってしまうかもしれない。仕方がないので、ちょっと早めに昼頃の新幹線に乗ることにした。
明後日は台風に直撃されてしまうかもしれないが、前日に現地に着いてしまえばこっちのものだ。写真撮影も必要なのだが、昼過ぎには台風も通り過ぎそうなので、もしかしたら台風一過の上天気の写真が撮れるかもしれない。まさに運を天にまかせることにしよう。
というわけで、大自然の成り行きには誰も勝てないので、昔から「地震、雷、火事、おやじ」などという。しかし近頃、これの最後の「おやじ」というのは、「親父」のことではなく、台風のことなのだというような話をあちこちで聞くようになった。どうやら気象予報士の森田正光さんが、テレビか何かでぽろりと言ったのが発端らしい。
あちこちのウェブで紹介されている話をまとめると、「おやじ」というのは、元々は「大山嵐(おおやまじ)」という台風を表す言葉だったものが、いつの間にか「親父(おやじ)」に変わったということのようなのである。付帯的な話として、「そもそも恐ろしい自然現象を並べて、最後だけ人間の『親父』になるのはおかしい」という指摘もある。
しかし、私としては「ちょっと待てよ」と言いたくなるのである。台風のことを昔「大山嵐 (おおやまじ)」と言ったなんて話は聞いたことがない。昔は「野分」あるいは単に「大嵐」と言ったのである。「山嵐」という言葉はあるが、それは素直に「やまあらし」と読むのだ。柔道の技だって「やまじ なんて言わない。
それに、自然現象の後に「親父」が付くのはおかしいなんていうのは、いかにも野暮な指摘である。確かにおかしいが、これは、おかしいから面白いのである。最後を台風なんかで締めくくってしまえば、おかしくはないかもしれないが、そのかわり面白くも何ともない。ひねりがなさすぎである。
「地震、雷、火事だけで、台風が抜けているのはおかしい」などと、野暮の上に野暮を塗り重ねるような指摘もある。しかしそんなことを言ったら、津波、猛吹雪、竜巻、雪崩、地滑り、日照り、噴火などはどうしてくれるのだ。
誰かがほんのちょっとだけもっともらしい俗説を言うと、妙に感心して広めたがる人が出てくるので、世の中は危ない。
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コメント
そもそも、その言い回しのポイントは「オヤジ」にあるんですからねえ。「泣く子と地頭には勝てぬ」とかと同様に、ややカテゴリのずれたものと並べておおげさに揶揄する表現なわけで。
仮に「自然災害を並べただけの表現」だったとしたら、カミナリと台風という似たような気象現象が二つあるのはバランス感がおかしいと思いますね。
家庭での父親の立場が変わったので、なんのことだかわからない人が増えたんでしょうかね。
投稿: きっしー | 2014年10月13日 10:46
序破急の、急ですね (^o^)
投稿: tak | 2014年10月13日 12:34
tak-shonaiさんごきげんよう~
この言葉の面白さが分からなくなってしまう
今日この頃なんですかね?
ちょっと残念な気分・・・・
投稿: tokiko6565 | 2014年10月15日 17:26
tokiko さん:
上のコメントできっしーさんが書いてくれているように、これは要するに、最後の 「おやじ」 が言いたいわけですからね。
投稿: tak | 2014年10月15日 19:27