「無争点翼賛選挙」で、どう投票すべきなのか
一昨日の "またしても 「解散風」 が空しく吹き始めたので" という記事で、「もし解散総選挙があるとすると、その争点は『消費増税延期』ということなんだそうだ」と書いた。ところが民主党が急に「消費増税先送り容認」を言い出して、それもおぼろげな争点とすらならなくなってしまった。
自民党としては「今回総選挙をしたら、多分議席は少し減る」と見ているらしい。とはいえ、前回の選挙で大勝しているので、多少減ったところでそんなには打撃じゃない。
それどころか、「最大野党の民主党の選挙準備ができておらず、しかも増税賛成というなら、そんなに減らない。下手したら増える」ぐらいに見ていたフシがある。しかし民主党の「変心」で、今度の選挙は、一見すると「無争点翼賛選挙」みたいなことになる。
この民主党の変身を、管官房長官は「えーっという感じ」なんて言っているが、そもそも自民党自身だって三党合意を翻しているんだから、驚くほどのことじゃない。今となっては増税に賛成しているのは日銀と財界しかないのだから、「方針通り増税」なんて言い張って悪役になるほどには、民主党もぼんくらではないということだ。
ただ、まったく「無争点」というわけではない。毎日新聞によると、野田元首相は「アベノミクスが失敗して景気回復が遅れていることを政権自らが認めている時に、増税しろとは言えない」と語ったという(参照)。「論理としてのみ」言えば、これ、増税を容認しながらも、返す刀で自民党のイタいところを突いている。
自民党としては、あんなに自信満々だった「アベノミクス」が、どうも雲行き怪しいどころか、実質的な景気回復にはあまり役に立っていないとは、口が裂けても言えない。しかし消費増税を延期せざるを得ない理由が「景気回復が思わしくないので」ということなら、フツーの言い方なら「実は経済政策は成功してない」ということだ。
ただ、民主党の「正しい理屈」も、「じゃあ、自分の経済政策はどうだったんだ?」と切り返されたら、口を濁すしかないだろう。つまり民主党は、「自民党じゃなく、ウチに任せてくれれば大丈夫」と言えるだけの主張も実績もない。「論理としてのみ見れば正しい」というのは、そういうことだ。
というわけで、私は 12月実施が確実な総選挙では、「こいつに任せれば大丈夫」という視点で投票することができないのである。候補者を片っ端から消去法で消していって、しかも自分の票が完全に「死に票」にならない程度の妥協を織り交ぜて、仕方なく一票を投じるという態度でしか選挙権を行使できない。
これは、今度の選挙だけに限った話ではなく、選挙権を得て投票というものをするようになってから、ほとんど例外なくずっと続いてきたことである。これは政治家のみの責任ではなく、当然ながら有権者全体の責任でもあると思っているのだが、悲しいことではある。
この調子だと、原理原則を主張してさえいれば面目は保たれるという大きなアドバンテージをもつ共産党が、また前回の選挙のようにちびっと伸びることになるかもね。
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コメント
ご無沙汰いたしております。
小笠原海域や鹿児島近海の「赤サンゴ」を、傍若無人に漁りまくっている国の第一党と、「ウチは違うんです!」という折り合いさえつけば、ガツンと得票するんじゃないでしょうか。(そればっかじゃないけどね)
併せて「おたかさん」の政党も、何かキャンペーン打って出たらよろしいのに…。(でもなんだか議席数増やす気がする)
と言いつつ、「約700億円」と言われているの選挙費用の捻出は、衆院の皆さんでまかなってくださるんですよね!(んでも税金使うことになるんだなぁ…)
投稿: 乙痴庵 | 2014年11月18日 21:48
乙痴庵 さん:
下手したら、野党第一党に… なんて、それはないでしょうけどね ^^;)
投稿: tak | 2014年11月19日 21:35