欧州産ビールの「非関税障壁」
多くの欧州産ビールが日本で「発泡酒」に分類されているのは、ブランドイメージを損なう非関税障壁だとして、EU が日本側に「ビール」とみなすよう求めるというニュース(参照)に、初めはちょっと首をかしげた。
「発泡酒」なら税率が低いので、非関税障壁というよりはむしろ「優遇策」になっているんじゃないかと思ったのである。2ちゃんねるなどでも、そんな反応が多い。イメージを重視しても税率が高くなるのでは、元も子もないじゃないかという理屈だ。しかしそれは、中途半端な理解だとわかった。
欧州産のビールは原料にコリアンダーなどの香料を使っている場合が多く、その他のスペックがすべて日本の「ビール」という基準をクリアしても、「規定以外の原料を使っている」という理由だけで、「ビール」というカテゴリーから排除される。
それだけならまだいいが、日本では麦芽の使用率が 50%以上の場合は発泡酒でもビールと同じ税率になるという規定があり、欧州産ビールの多くがこれに該当して、「イメージの低い発泡酒として分類されながら、ビールと同じ税率をかけられる」というのが問題のようなのだ(参照)。なるほど、これは確かに「非関税障壁」である。
欧州でもドイツでは「ビール純粋令」というのがあって、「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」ということになっている。これは、1516年にバイエルン公ヴィルヘルム 4世が制定した、食品関連では現在でも生きている世界最古の法律ということらしい。
ビールの本家本元と、日本人が勝手に崇拝しているドイツがこういうことになっているので、日本では余計なハーブなんかを加えたのは 「ビールまがい」と考えられている。「ビール好き」を自認する人ほど、ホップの効いた苦みのあるラガータイプしか認めない傾向があって、それが税制にまで影響しているとしか思われない。
そもそも「ビール」とか「発泡酒」とかいう分類は、ビールの高い税率を避けるために抜け道を探して開発した飲み物を、お国が追いかけて「発泡酒」なんていう妙なカテゴリーに分類して、税率をビールの次ぐらいに高くするといういたちごっこみたいな様相から生まれたもので、かなりガラパゴスっぽいものである。
実は世界にはいろいろなビールがあって、多様な楽しみ方をされているのに、「これはビールじゃない、1ランク低いんですよ」といわんばかりに、勝手なカテゴライズをされて、そのくせ税率はビールと同じというのでは、欧州のビールメーカーはたまらないだろう。その辺の事情は理解できる。
ただ、仮にそこをクリアできたとしても、「苦みのあるラガータイプ」が好まれる日本では、「チャラい香り付け」なんかがされたビールは、欧州メーカーが期待するほどには受け入れられないだろうと思う。ビールという飲み物のとらえ方が、日本はかなり画一的なのだ。
発泡酒でもアルコールフリーのビールもどきでも、「うむ、これはビールに近い!」なんていうのが評価の基準である。「独自のテイスト」なんてものはちっとも重視されていないどころか、そんなものを追求したら、それだけで市場価値を失うだろう。
日本でもジョッキでがぶがぶ飲むというのではなく、ある種のカクテルみたいな感覚で、ちびちび飲むという飲み方が普及しない限り、欧州の個性派ビールはなかなか受け入れられないだろうという気がするのだよね。
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コメント
tak-shonaiさん
ごきげんよう~
こんばんは~
また元気出してコメントを書きたいと思っていますので、
よろしくお願いいたします。
私はキリンのラガーが一番好きです。
ワインは辛口
日本酒も辛口
ケーキは大甘が大好きです。うふ
投稿: tokiko6565 | 2014年11月24日 18:19
tokiko さん:
>私はキリンのラガーが一番好きです。
>ワインは辛口
>日本酒も辛口
日本の王道ですね (^o^)
ケーキが大甘というのが、また素敵 (^o^)
投稿: tak | 2014年11月24日 22:41