イブの過ごし方
還暦を過ぎてしまうと、クリスマス・イブだからといって、特別なことをして過ごそうという発想がなくなって、いつもよりちょっとだけ時間のかかったご馳走をいただいて、あとは静かに寝るだけだ。この辺りは住人の年齢層があがって、我が家以上にじいさんばあさんばっかりなので、周囲の家々はまことに静かなものである。
思えば、私はクリスマス・イブだからといって特別な過ごし方をした経験がない。高校時代までは自宅で暮らしていたから、家族と一緒にクリスマスケーキとちょっとしたご馳走を食べて寝るだけだった。
ガールフレンドと夜更かしデートしたなんていう記憶もない。決して 「いい子」 だったというわけじゃないが、イブの夜に羽目を外すという発想がなかったのだ。他の時期は夜遅くまで出歩くことがあっても、この時期の田舎は地吹雪で大変なことになるから、「いい子」で過ごすしかなかったのである。
大学に入って上京してからも、この時期はバイトに明け暮れて、遊ぶという発想がなかった。逆に、クリスマス・イブに妙に盛り上がる風潮を苦々しく思っていた。そのうち、友人の家に集まって地道な飲み会をしたりするようにもなったが、あまり金をかけてどうこうということはなかったなあ。それよりも「忘年会」の方がずっと盛り上がっていた気がする。
そのうちに世の中は「バブル」という時期になって、クリスマス・イブは、恋人同士で豪華な夜を過ごすというのがもてはやされるようになった。都心のホテルが予約で満杯になったという時期である。中には、相手もいないのにとりあえず豪華ホテルを予約するなんていうやつもいたらしい。そして当日多額のキャンセル料を払うのである。
こうしたバブルの頃、私は小さな子どもを 3人抱えていたから、イブの夜はそそくさと家に帰って、子供たちの相手をしていた。実に健康なものである。他の時期は結構バタバタと走り回っていても、クリスマス・イブは静かに過ごすものという生き方を、ずっとしてきたことになる。
これが本来なのだろう。ありがたいことである。
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