イスラム過激派のテロにどう対応すべきか
オーストラリアで、いや、今やオーストラリアだけでなく世界中で、"#illridewithyou"(私はあなたと一緒に乗ります)というハッシュタグが注目されている。(参照)
シドニーで起こった、イスラム過激思想の同調者とみられる男の人質を取ってのカフェ立てこもり事件の影響で、イスラム教信者の女性が無差別的報復を恐れ、街に出るときにヒジャブ(髪を覆うスカーフ)を外す動きが広まっている。それに対して Twitter 上で、「いつも通りの格好でいてください。私が一緒にバスに乗って守ってあげるから」という意思表示が広まっているというのだ。
圧倒的多数のイスラム教徒は過激な思想とは無縁で、平和を愛する人たちである。ごく一部の過激派の起こすテロのために、イスラム教徒全体が憎悪と排除の対象となる可能性があるのは、大きな問題だ。オーストラリアの勇気ある人たちの意思表示は、無闇な報復を諫めるために、大きな意味を持つだろう。
最近のイスラム過激派によるテロリズムのニュースを聞く度に、私は 「昔の連合赤軍とオウム真理教を合体させて、規模を拡大させたような動き」 という印象を深くしている。連合赤軍もオウム真理教も、自らの行動自体が崩壊の端緒となり、破滅してしまったように、イスラム過激派も結局は自己崩壊するだろう。
ただし、崩壊に至るまでの道のりは長いものになるはずだ。彼らの活動の規模が大きいだけに、破滅のプロセスも一瞬では終わらない。まだまだ、多くの惨劇が繰り返される可能性が高い。ただ、その惨劇そのものが、彼らの自己崩壊の一里塚になる。歴史から少しでも教訓を得た者なら、そのことに確信を持つだろう。
私は彼らを壊滅させる軍事作戦は、必要以上に大規模な展開をすべきではないと思っている。軍事作戦は当然ながら大きなリアクションを帯び起こし、世界を不安定なものにさせ、テロリズムをさらに活発化させるるだろう。
軍事的に滅ぼさなくても、彼らはいずれ勝手に滅びるのだから、それを早めるために資金面でのルートを洗い出し、それを絶つことに注力すべきではなかろうか。それが最も低リスクで効率的な対抗策だと思うのである。
暴力に暴力で対抗するよりも素晴らしい動きが可能であることを、オーストラリアの "#illridewithyou" というハッシュタグの運動は教えてくれている。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- プリゴジンは死んでるのか、生きてるのか(2023.07.22)
- 米国の州ごとの人口が見える国旗デザイン(2023.07.09)
- 「民間軍事会社」とか「傭兵」とかいうもの(2023.07.03)
- 訳がわからない、ロシアとワグネルの「内戦?」(2023.06.25)
- 岸田首相、「解散しない」なんて言ってるが(2023.06.15)
コメント