医者嫌いの味方をしてくれるお医者さん
PRESIDENT Online に「日本人男性が早死にする要因は、どっち 医者が知っていて言えない、早死にする人の意外な習慣」という記事があり、読者はのっけから「(A)健康診断が嫌いだから(B)健康診断が好きだから」という質問に答えさせられる。その正解は、どうやら (B) ということのようなのだ。
この記事を書いたのは近藤誠さんという慶応大学医学部卒のれっきとしたお医者さんで、長らく同大学病院に籍を置いていたという。そんな立派なお医者さんが、次のようにおっしゃるのである。
世界一の長寿国といわれる日本だが、その平均寿命は男女で異なり、女性は86.61歳、男性は80.21歳(14年厚生労働省発表)と、6歳の差がある。これにはさまざまな要因があるが、女性と比較して、職場勤めをしている男性は健康診断を受ける機会が多く、その結果、むだな医療を受けて亡くなってしまう人がいるのではないか。そしてほかの医者たちもそのことに気づいているのではないかと私は考えている。
近藤先生はさらに、慶応大学病院では強制されるまで、医者の健康診断受診率は 50%だったという。つまり、人には健康診断を受けろという医者が、自分自身はあまりその効果を信じていないということのようなのである。
この先生はがんの放射線治療を専門とし、乳房温存療法のパイオニアで、患者本位の治療を志向しておいでだという。著書に 『がん放置療法のすすめ』(文藝春秋)、『医者に殺されない 47の心得』(アスコム)などがある。なるほど、その主張は何となくわかってきた。
お医者さんが自らの存在価値を軽んじてしまうという同じような主張は、私が今年の 8月 21日に書いた「安心して生きて死のう」という記事でも紹介している。財政破綻で診療所が潰れてしまった夕張市で、医療崩壊の結果、市民が健康になり、死亡率も下がったということを、他ならぬ元 診療所院長さんの森田洋之さんという方が語っておられるのだ。
医者嫌いの私としては、嬉しくなってしまうお話である。医者が好きでせっせと通い、処方される薬をきちんと飲んでいると、不健康になって短命に終わりがちで、逆に医者が嫌いで、処方される薬もほとんど飲まないでいる方が健康にいいというのだ。私自身が医者嫌いで健康だから、案外本当のような気がするのである。
ただ、近藤先生がおっしゃる女性の方が長生きなのは、なにも日本に限ったことではなく、世界中の多くの国で共通した現象のようだ(参照)。だから、ことさらに「日本人男性が早死にする理由は」などという根拠にはならないということがある。この一点の理由で、近藤先生の主張が「トンデモ」扱いされる可能性はある。
しかし一方で、日本人女性の平均寿命が世界一なのに、男性は 5番目という事実もあり、やっぱり「日本人男性は早死にする」と言ってもいいと見ることもできる。ここではごく穏やかに、「特別に『トンデモすぎる指摘』ってわけじゃないよね」とだけ言っておこう。
結論。私はこれまで通り、医者嫌いで通させていただくのでよろしくということだ。
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コメント
本題とはそれてしまいますが、http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DW01920140516 の記事では 日本人男性8位と報じていますね。 ソースは同じようですが。
で SUMMARY BROCHUREを見ると http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/112739/1/WHO_HIS_HSI_14.1_eng.pdf?ua=1 ここでは8位ですね。 FULLREPORTをみるとまた違うんでしょうかねぇ。
本題のほうはといえば 慶応病院医師の 受診率UP前後の寿命比較でもしてくれれば トンデモといわれなくてすんだかもしれないのに 近藤センセイもったいないことをしちゃいましたね。(笑)
投稿: Sam_Y | 2014年12月15日 00:14
Sam_Y さん:
こうした統計って、案外テキトーってことかもしれませんね (^o^)
長生きも気のせいだったりして。
投稿: tak | 2014年12月15日 23:01