違和感だらけの記者会見
「イスラム国」 で日本人 2人が拘束され、殺害予告が出ているとのニュースに関しては、申し訳ないがあまり関心を持っていなかった。ところが今朝たまたま、人質の 1人、後藤健二氏の母親という石堂順子さんの記者会見の模様をラジオで聞き、あまりの違和感に、かえって少し興味が湧いてしまったのである。
そもそも、彼女の冒頭の発言、「日本国民、政府の方々、ここにお集まりの方々に、感謝とご迷惑をかけたことをお詫び申しあげます」という、メチャクチャな日本語のコメントに、ちょっと驚いた。だが、「まあ、相当混乱してるんだろうから仕方ないか」 と眼をつむった。
ところがそこから急に、息子の安否を心配する母親ではなく、反原発運動家としてのコメントがあふれ出してきたことに、今度はちょっとどころでなく驚いた。新聞やテレビではきれいに編集されて、「健二はイスラム国の敵ではない、健二の命を救ってください」 と訴えたと報道されているが、実際の会見では反核の主張の方がメインという印象だった。
とくに「私は今、こみ上げてくる涙を隠しておりますが、そのまま語っておりますが、それは先ほど申しました、原子力の問題です」とのコメントには、正直言って最大限に困惑した。
ネット界隈では、この石堂さんへの率直な違和感の表明、違和感以上の嘲笑、そして「息子の命が危険な状態で、普通の精神状態じゃないのだから、そこを思いやれ」という、大きく分ければ 3つの立場のコメントが飛び交っている。
私も「普通の精神状態じゃないのだから思いやれ」とのコメントに関しては理解する。ただ、理解はするものの、「このオバサンの記者会見は、完全に逆効果だったな」と、客観的に判断せざるを得ないのである。同情と客観的判断は別物だ。
まず、この記者会見をテレビやラジオで聞いていた人たちは、それまで「できるだけの交渉努力をして救出してあげなければ」と考えていたとしても、その気持ちはかなり萎えてしまっただろう。政府部内で実際の救出活動に関わっている人たちに関して言えば、一般の人たち以上に冷めてしまったに違いない。
そもそも、後藤健二氏とともに人質にされている湯川遙菜氏という人に関しては、当初からあまり同情されていなかった。民間軍事会社の代表を名乗っているらしいが、その会社の活動実績はほとんどなく、自身の軍事経験も訓練を受けた実績も皆無。英語もアラビア語も話せないという。何のためにふらふらと中東まで行ったのか、わけがわからない。
一方、そのわけのわからない人の「救出」のために「イスラム国」入りしたという後藤健二氏の方は、「正義感あふれるジャーナリスト」というイメージで、同情されてはいた。しかし今日マスコミに登場した母親がいらぬことを口走ったために、そのイメージはかなり崩れてしまった。
後藤氏が生後 2週間の子どもと妻を置いて行ってしまったことに関して、実の母親がつい最近までその事実を知らなかったと告白し、さらに「怒りを感じた」だの「解せない」だのというコメントを発してしまっている。これでは、はっきり言ってぶちこわしではないか。
彼女は、記者会見の前に近しい知人たちから会見を止めるように忠告されたというが、知人たちがそう忠告するのは、至極もっともだと思わざるを得ない。このオバサンが口を開いたらろくなことにならないということを、周囲の人たちは知っていたのだろう。
この記者会見に参加した外国人記者たちは、どんな記事を書けばいいのか、本当に困ってしまっただろう。「人質の母親が記者会見で地球環境保護を訴える」と、そのまま書いてしまったら、単なるガキの使いになってしまうし。
最後に、エコ派で反原発の私ですら、「このオバサンと一緒に見られたくはないな」と感じてしまったことを告白する。その意味でも明らかに逆効果だった。
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