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2015年1月10日

高速道路の逆走事故を巡る冒険

高速道路の逆走事故が後を絶たない。高速道路会社の資料(参照)によると、平成 23~25年の逆走事案 541件の分析の結果、65歳以上の高齢者によるものが 68%で、認知症や飲酒の疑いのあるものが約 4割に達しているとわかった。ちなみに 541件というのは「交通事故または車両確保に至った」ものだけで、実際は毎日のように逆走が発生しているという。

しかしいくらボケ老人や酔っ払いでも、高速道路って逆走できないように作られてるじゃないかと、フツーのドライバーなら思う。一体どうしたら高速道路の逆走なんてできるのだ?

その答えはどうやら、「フツーじゃない状態」だから逆走してしまうということらしい。では、一体どんなポイントから逆走を開始してしまうのかというと、約半数はインターチェンジやジャンクションからのようなのだ。

いろいろなページに説明してあることを整理してまとめると、それはこんなようなプロセスを辿ってのことらしい。

    1. まず、ドライバーが高速道路で乗り越しに気付き、あわてて次のインターやジャンクションで降りようとする。
    1. フツーなら次のインターで一旦料金所から出て一般道に降り、改めて高速道路に乗り直して本来の目的地に向かう。
    1. しかし気が焦っていて (さらに認知症が入ったりして) フツーの精神状態じゃなくなっている上に、超過分の高速料金を払いたくないという余計な意識まで邪魔をする。
    1. そこで何を思ってか、なにしろ 「フツーじゃない」 状態になっているので、あろうことか料金所の手前で U ターンして、逆走してしまう。
    1. 直接の U ターンでなくても、インターやジャンクションには結構複雑な構造になっていて、フツーでもしっかり標識を見ていないと変なコースに迷い込んでしまいそうなところがあり、結果的に逆走を誘発してしまうことがある。

複雑な構造のインターやジャンクションでは、睡魔に襲われたトラック・ドライバーも、つい間違って逆走経路に迷い込んでしまうことがあるらしい。プロが間違えるほどなのだから、このあたりは何とかしてもらいたいところである。

また、パーキングなどで休憩した後に、本線に出る経路を間違えて逆走してしまうというケースもあるようだ。パーキングの駐車スペースには斜めにラインが引いてあり、自然に走ればフツーに本線に戻れるようになっているのだが、それを無視するらしい。

もしかしたら、駐車スペースに入る時に、本来ならバックで入るところを、急角度で頭から突っ込んでしまい、その後バックで出て、そのままの方向で逆走してしまったりするのだろうか。この辺もやっぱり、「フツーじゃないから」としか言いようがない。

さらに驚くべきことに、本線上で無理矢理 U ターンしてしまう事例がかなり多い。パーキングからの逆走開始は 10%以下なのに、本線上での U ターンは 16〜19%にもなっている。「フツーじゃない」心理状態もここまで来ると、鬼気迫るところがある。

何しろ逆走ドライバーは 「フツーじゃない」から、ほとんどの場合、自分が逆走しているという意識がない。だからいつもの習慣で「左側通行」しようとするが、それはフツーのドライバーからみると、追い越し車線を逆走してくることにほかならない。

仮に、「ちょっと行き過ぎちゃったから、本線上を逆走しちゃおう」と意識的に思ったのだとしたら、そいつは (あり得べからざることだが)路側帯をコソコソと(多分、バックで)逆走するだろう。しかし焦って高速道路という意識が飛んでしまうと、追い越し車線をまともに逆走するという最も危険な事態になる。

私はよく「知って犯す罪と知らずに犯す罪とでは、知らずに犯す罪の方が重い」というお釈迦様の教えを引き合いに出すが、高速道路の逆走というケースを想定すれば、それももっともだと納得されるだろう。

とりあえず高速道路上で「逆走車あり」との表示が出たら、左側の走行車線を慎重に走って危険を避けるのが賢明とされている。

と、ここで本論は終わり。ここから先はどうでもいい 「オチ」 である。

冒頭でリンクした高速道路会社の資料は、ファイルネームが、あっと驚く "pdf.pdf" というものである。フォルダを少しさかのぼると "pressroom/press_release/head_office/h26/0910/pdfs/pdf.pdf" となっている。

フツーなら "head_office" 以下は "h26/0910.pdf" で済ませれば、無駄にフォルダを細分化せずに済むんじゃないかなあ。試しにググってみると、このサイトのプレス関係のフォルダには "pdf.pdf"  という名のファイルが少なからず存在している。例えば これ とか、これ とか。

こんな具合に 「構造を無駄にややこしくするメンタリティ」 が、ジャンクションの構造をわかりにくくしているんじゃないかと、あらぬ心配までしてしまいそうになる。

 

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