ISIL という呼称採用と、大相撲の野次の問題
一昨日の記事にいただいた basara さんのコメントに心を動かされて、これまで「イスラム国」と呼んでいた集団を今後 "ISIL" と呼ぶことにした。決してしっくりくる選択ではないが、エジプト出身の大相撲力士、大砂嵐に「おい、イスラム国!」という野次がとんだということを知り、ぐずぐずしている時ではないと思ったためだ。
それにしても大砂嵐に心ない野次を飛ばした客は、とんでもないやつである。今となっては遅いかもしれないが、大相撲協会はそいつを特定して、厳重注意すべきだろう。サッカーで "Japanese Only" という横幕を掲げた連中を、浦和レッズが出入り禁止にしたのだから、大相撲もそのくらいのことをすべきと思うが、実際には無理だろう。
例えば私は、大相撲力士の紹介をする場内アナウンスに、そこはかとない違和感を覚えていた。日本人力士の場合は、原則 「〇〇県出身、××部屋」 というスタイルで紹介するが、曙や小錦の場合は、「ハワイ・オアフ島出身、〇〇部屋」 なんて言っていた。
しかし例えば、日本人力士の紹介で 「新潟・佐渡島出身」 とか 「沖縄・宮古島出身」 みたいなことを言うか? 言わないだろう。フツーに考えたら曙、小錦の場合も 「アメリカ合衆国ハワイ州出身、〇〇部屋」 だろうよ。そう言わないところに、相撲協会の安易な「見世物興業体質」 を感じていたのである。
そりゃあ確かに、大相撲はスポーツというよりは芸能に近いものだと、私も思っている。芸能に近いからこそ、異様な髪型が強制されるし、勝ち負けにはまったく関係ない土俵入りとか弓取式とかを力士自身が演ずる。さらに地方巡業の相撲なんかは、本場所とは似ても似つかないほど、「見ようによってはおもしろい」取組が多い。もろにエンタテインメントの「しょっきり」なんていうのもあるし。
また、スポーツじゃないからこそ、ウェイト別の取り組みなんてあり得ないし、「立ち合い」のタイミングにしても、あんなにも「ビミョーすぎ」(何しろ、行事に強制力がないのだから)というシステムのままで運営されている。
ただ、「大相撲はスポーツじゃない」 からといって 「真剣勝負じゃない」 ということではない。過去にいろいろ八百長疑惑はあったにしても、個々の勝負のほとんどは(地方巡業を除き)、確かに真剣勝負である。大相撲は「真剣に勝負する芸能」だと、私は思っている。そもそも、芸能とは本来シリアスなものなのだ。
「真剣に勝負する芸能」 であるからこそ、私はそれに民族差別的な野次を飛ばすようなやつには、厳しく対処すべきだと思うのである。なんなら出入り禁止にしてもいいほどだ。こんなことを相撲協会に望んでも、ほとんど無駄とはわかっている。しかし「公益財団法人 日本相撲協会」なんだから、それをやらないのは本来怠慢ではないかと思うがなあ。
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コメント
>相撲観戦者の心ない野次
この人は「イスラム教徒=ISIL」と思っているのか、または完全イコールでなくてもいずれ同じような輩だと思っているのか、それとも単なる異文化圏から来ている人への嫌がらせをしているのか、どうなんでしょうね。
1~2番目ならあまりに非常識だし、3番目ならもう人間としての基本的素養ゼロですね。いずれにしても日本人として恥ずかしい話です。
相撲協会では対処しないでしょう。なにしろ彼ら自体が無神経きわまりないですから。
投稿: KRT | 2015年2月 8日 21:46
KRT さん:
まさにお恥ずかしい話ですが、相撲協会はこのことをどうしてもっと問題にしないのでしょうね。
あ、そうか、彼ら自身が無神経だからか。
投稿: tak | 2015年2月 8日 23:15