ゴルフ業界の 「2015年」 問題
東洋経済 Online に "ゴルフ離れは若者だけの問題ではなかった! 「2015年問題」 におびえる関係者たち" という記事がある。ゴルフにおける 「2015年問題」 というのは、1947~49年生まれの団塊世代が全員 65歳以上となり、年金受給者となることが端緒になるのだそうだ。つまり、金がなくてゴルフどころではなくなるということである。
しかし本当の問題は、団塊世代が年金受給者になることだけだろうか? それよりも、「接待ゴルフが大好きだった世代が、会社からいなくなってしまう」ということが大きいのではなかろうか? 会社の仕事の延長としてゴルフをしていた連中は、60歳定年以後も嘱託か何かの名目で会社に残っても、ゴルフをする機会は大幅に減っただろう。
それでもたまには昔からの縁で、仕事の延長としてのゴルフをすることもあったろうが、65歳を過ぎて会社から完全に離れてしまったら、それはなくなる。よっぽど好きな人は自腹で続けるかもしれないが、大方はそんな余裕はなくなるだろう。そもそも、「本当に好き」でゴルフをするというよりは、「仕事として」やっていたのだから、会社を離れたら自腹を切ってまでゴルフをする理由がない。
実際のところ、還暦を過ぎた知人の家にお邪魔すると、玄関の片隅にゴルフバッグが置かれていることがあるが、あまり使われている形跡はない。65歳を過ぎてしまうと、ほとんど埃をかぶっている。バリバリ仕事をしていた頃の郷愁のシンボルとして、捨てずに置いてあるだけという風情である。
つまり、ほとんどの人は仕事との関連でゴルフをしていただけで、本当の楽しみとしてしていたわけじゃないのではないかと、私は思ってしまうのだよね。
そんな関連で、同じ東洋経済 Online の記事で、"ゴルフをしないビジネスマンが損すること 「ぜいたくな遊び」と敬遠していたら…" というのがある。どんな内容かというと、ゴルフをすると、ビジネス面でいろいろないいことがあるというのである。
ゴルフ場で一緒に回っているうちに、初対面の人とでも打ち解けたり、思わぬ本音やニュースを聞くことができたりするというのである。しかしそれは私に言わせれば、ほとんど半日もかけて、たった数人と仲良くなるというだけのことではないかと思う。さらにお馴染みのメンバーばかりだったとしたら、「いつものお付き合い」 にしかならない。
そもそもこうした主張は、「酒を飲み交わすのは仕事に役に立つ」というのとほとんど同じである。酒の場ではその人のナマの姿が見えたり、本音を聞くことができたりするから、ビジネスの役に立つというのは、さももっともらしく聞こえるが、酒でも飲まなければ相手の人となりや本音がうかがえないというのは、鈍感なのである。そんなのは、普通に接していてもわからなければならない。
酒に酔ってぐだぐだになり、しらふではできない馬鹿なことを一緒にやって、「妙な共犯関係」を結ぶことが「腹を割った付き合い」だと思っているうちは、どうせ大したことはできない。そんなのは、学生時代に卒業しておけばいい。
酒を飲み交わしたり、ゴルフをしたりするなというのではない。そうしたことが「仕事の役に立つ」なんて言い草をエクスキューズにし、会社の金を使いまくって自分の楽しみに興じることがさもしいと、私は言うのである。
ゴルフをする人間の数が減るのだから、ゴルフ業界が苦しくなり、潰れるゴルフ場が出るのも当たり前である。私はゴルフ場が潰れたら、「元の森林にして返せ」と言いたい者である。
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コメント
「さもしい」とか「はしたない」という言葉、最近はあまり聞かなくなりましたねぇ……。
投稿: 山辺響 | 2015年3月 5日 11:15
山辺響 さん:
私も久しぶりに使いました ^^;)
投稿: tak | 2015年3月 5日 17:34
なんか、「さもしさ」や「はしたなさ」をさげすむ美意識は大切にしたいなぁと思います……。
そういえば次のエントリーの「バタ臭い」という形容もかなり珍しくなったような気がします(笑)
投稿: 山辺響 | 2015年3月 9日 13:57
山辺響 さん:
まさに 「美意識」 なんでしょうね。倫理観とかいうよりも (^o^)
「バタ臭い」の反対は、「醤油臭い」 らしいですよ。
投稿: tak | 2015年3月10日 21:23