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2015年4月14日

まだ「本命」と言われているヒラリー

8年前に私は「賞味期限切れのヒラリー」という記事を書いた。民主党の大統領候補者が、ヒラリー・クリントンではなく、バラック・オバマに決まりかけていた頃の記事である。だから、今頃になっても彼女が次期大統領選に意欲を燃やしていることに、ちょっと驚いている。

彼女がもし大統領になれたとしたら、就任時には 69歳で、あのロナルド・レーガンと並ぶ最高齢大統領ということになる。日本には 70歳過ぎて首相になる人がいくらでもいるが、米国では「若さ」というのが大統領の大切な要素になっている。

私はヒラリーには何の恨みもないが、なぜかずっと前から辛辣なことを書き続けてきたような気がする。9年半前には「ヒラリーは、ただスマートなだけかも」という記事で、次のように書いた。

彼女のインタビューなんかを聞いていると、何を聞いたらどう答えるかというのが、大体想像通りだったりして、意外性というのはほとんどない。アメリカのベビー・ブーマーズの最大公約数的な「スマートさ」というのを、意識して身につけているだけという気がしないでもない。

そのちょっと前に、当時の大統領だったジョージ・ブッシュ(息子の方ね)とやり合った際には、ヒラリーは十分に株を上げていた。何をどう言えばスマートに思われるかを熟知しているヒラリーと、何をどう言えば馬鹿と思われるかを知らないブッシュの対比は、それはそれは見事なものだった、

しかし私は彼女について、「何をやらせてもそつなくこなす常識と『勘の良さ』に関しては、ちょっとしたものだと思う」とした上で、「スマートさ」が大好きな人間には支持されるだろうが、「ユニークさ」まで要求する人間には、物足りないかもしれないと結論づけている。

ちなみに 10年前のブーム時に出版されたヒラリーの自伝は、「私はファーストレディとして生まれたわけでも、上院議員として生まれたわけでもない。ましてや、民主党員として生まれたわけでもない」というような書き出しだった。(日本語訳は読んでいないので、翻訳とは一致しないと思う)

「ファーストレディとして同時に上院議員にもなった、米国でただ一人の女性」 と賞賛されている事実を充分に利用して、「普通の暮らしを選べば選べたけれど、実際はファーストレディになり、その上、自分の才能と努力で上院議員にも選出された女なのよ」と、言外に高らかに謳った書き出しは、マーケティング的には正解かも知れないが、日本人の感性には十分に「イラッと」くるものだった。

今回は民主党内で他に有力候補がいないため、まだヒラリーが本命みたいなことになっている。しかしこれは、民主党にとってはかなり不幸なことだ。よっぽど「人がいない」ってことなんだろう。前回ダメだった人が 70歳近くになってまだがんばってるのを見るのは、ちょっと辛いものがある。

今回は個人サーバのメルアドで公務をこなしていたなんていうスキャンダルがあったりして、初っぱなから結構な逆風が吹いている。ヒラリーにしてはずいぶんうっかりな自爆のように思えるが、案外「自信満々のヒラリー」だからこその自爆とも言えるのかもしれない。

前回は「本命ヒラリー」を「ニュースターのオバマ」が追い越して、その勢いのままに勝利してしまったのだが、今回もそんなふうになったら、かなり気の毒なことになる。あるいは民主党内で勝利しても、本選で勝つのは難しいだろうし。

 

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