マクドナルドの客離れ
日経ビジネスが 「マクドナルド、客離れの深層」 という記事で、マクドナルドの客離れは 3年も前から始まっていたと指摘している。
マックの低迷は、例の「チキン問題」(昨年 7月、中国の加工工場が期限切れのチキンを使っていたことが発覚した事件)が契機となり、さらに今年に入ってから「ビニール片混入事件」が続いたため、信頼を失ったと思われがちだ。しかしよく見るとそんな単純なものじゃなかったというのだ。
日経ビジネスが先月初めに行ったアンケート調査によると、実は 「1〜3年前頃からマックに行かなくなった」という回答が 2割以上を占め、「半年〜1年前」と合わせると、ほぼ半数になる。「チキン問題」で嫌気をさしてしまったのとほぼ同じぐらいの客が、その前からマックを敬遠するようになっていたのである。
その要因として 「食の安全に関する疑問」 だけでなく、「実はマックは高い」と思われていたようなのだ。コストパフォーマンスに関する質問では、若年層の 3分の 1が「悪い、やや悪い」と答え、「良い、やや良い」は、ほぼ 4分の 1に止まっている。
この 10数年マックで食ったことがない私だが、3年前に話題になった「セットメニュー」というのが、一見安いように見えて、実はそうじゃなかったというようなことについて「マクドナルドのセットメニューって、ビミョーにボッてるのね」という記事で書いたことがある。
個々の商品は安くても、セット販売になると高くなるので、イメージは案外悪くなる。安さを訴求するために、一部の商品を気紛れ的に「ワンコイン」にしてしまうと、逆にそのためにますますイメージが低下する。それを避けて利益率を上げるため、さらにセット販売に力を入れると、メニューがわかりづらくなって注文しにくくなる。
この「注文しにくさ」について上述の記事で、私が大昔に珍しくマックのカウンターで注文しようとした時に、バイト店員の女の子が宇宙人過ぎて理解できなかったと書いている。それは、こんな感じだった。
ようやく自分の番になって、何とかセットを注文すると、女の子が甲高い声の早口で、何やら聞いてくる。
女の子 「○*△■◎◇▽▲○◆ かぁ?」
私 「?? はぁ??」
女の子 「○*△■◎◇▽▲○◆ かぁ?」
私 「なんだか、わかんない …… 」
女の子 「○*△■◎◇▽▲○◆ かぁ?」
私 「あなたが何を言ってるのか、さっぱりわからないということなんだけど」
女の子 「○*△■◎◇▽▲○◆ かぁ?」
私 「ハァ、もういいです。今までのことは忘れてね。サヨナラ」
何かサイドメニューを薦めているのかなということまでは想像できたのだが、それが何なのか、さっぱり聞き取れなかったのである。というわけで私は、カウンター越しに対話してしまった宇宙人に恐れをなし、当初の注文をキャンセルして退散したのだった。
安全性のイメージが悪い上に、「安物イメージ」を植え付け、さらに「言うほど安くないよね」ということになって、挙げ句の果てに注文する時にわかりにくくてしょうがないというのだから、敬遠されるのも当然なのである。
ついでに言うと、本家の米国のマクドナルドは私の知る限り、日本のマックよりもずっとイメージが悪い。日本の店員はキャピキャピし過ぎているとはいえ、まだ明るさはある(鏡を見て、自らの顔面に作り笑顔を貼り付けるのだという説もあるが)。しかし米国のマックは大抵雰囲気が暗くて、楽しい食事ができるイメージからはほど遠い。
日本では「マックでバイトする」 なんてごくフツーだが、米国では「なんで、よりによって、あんなところで働くの?」と言われるようなイメージまであるという。このイメージ悪いニューヨークのマックに、私は後学のため突入したことがあった。細かいやり取りは忘れたが、ちゃんとフツーに注文して、フツーに食べることができた。当然ながら、おいしくも楽しくもなかったが。
そして、英語しか通じない米国のマックでちゃんと注文できた私が、日本語が通じるはずの日本のマックでは、宇宙人の店員に遭遇してしまったために、フツーに注文することさえできなかったのである。これではもう、しょうがない。
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コメント
tak-shonaiさんごきげんよう~おはようございます~
うふふふふ・・・
笑っちゃいました~~
私もナゲットという食品がブレイクした時に
食べてみましたらまずかったので、
(なぁ~んだ・・)という気分になり
もう、数十年も行ってませんが、
その宇宙人の方々に加え、
すごく細かい注文を聞いてくる《サブウエイ》にも行きません。ははは・・スープは優しいやさしいお味で、おいしいんですけどねぇ・・・・
投稿: 朱鷺子 | 2015年4月13日 07:38
マクドナルドのポテトは、人が買ったのを失敬するときだけ美味しく感じます。
朱鷺子さんが書いていらっしゃるサブウェイ、野菜は豊富に摂れるし、嫌いなものは排除できるし、味はそれなりだし、決して悪くないんですが、めんどくさすぎる(笑) 数年前に珍しく入って(詳しい人と一緒に・笑)「おお、いいじゃん!」と思ったんですが、結局、その後行ってない(笑)
投稿: 山辺響 | 2015年4月13日 10:43
朱鷺子 さん:
最近は、チキンは時々食べる、ポークは年に数回食べる、ビーフは何かの料理に混じっていて、知らないうちに食べてしまうのでもない限り食べないということになってまして、そんなわけで、マクドナルド自体が遠い宇宙の彼方というイメージです。
サブウェイは、前にサラリーマンだった頃、近くにあったのでよく利用していました。ローカロリーの「ターキーブレスト」に、パンは 「ウィート」、野菜は全部入りに決めてましたので、面倒がありませんでした。
ドレッシングだけは、その日の気分で変えてました。
ファーストフードの中では、一番まともな食事にありつけます。
ただ、日本のスタンダードはハーフサイズで、私もそれで十分ですが、米国では、可愛いお姉ちゃんでも当然のごとくワンフット・サイズを注文しますね。
シカゴのサブウェイでハーフサイズを注文したら、カウンターの兄ちゃんが驚いて "Really?" と確認してきました。"Sure!" と返事してしまいましたが。それが我ながら場違いに感じられました ^^;)
投稿: tak | 2015年4月13日 11:27
山辺響 さん:
マックのポテトは、香りだけ美味しいんですよね ^^;)
サブウェイは ↑ で書いたように、ファーストフードの中ではご贔屓です。ただ、やっぱり「面倒くさい」と感じられるようで、客数はあまり多くないですね。カウンターの前に列ができていることは稀です。
私としては、「列に並ばずにすぐに注文できる」というメリットも重視していて、結局は他のファーストフードよりも手っ取り早く品物にありつけます。
米国なんかでは、カウンター越しに客と店員との自然な会話もあって、決しててきぱきとは進まないのに、みんなフツーに辛抱強く待ちますね。
日本人が一番「いらち」のように思えます。客と店員が世間話なんかしてたら、後ろに並んでいる客がイライラして舌打ちなんかしますよね。
”Thank you for your patience" という言葉が、日本語にも欲しい
( https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2014/09/naver.html )
投稿: tak | 2015年4月13日 11:55
サブウェイって言葉は「地下鉄」としか知りませんでした。
そういう名のお店があるって初めて知りました。
外食する場合は、個人でやってるお店しか行きませんので、
マクドナルドもチキンのお店も入ったことがないのです。
化石人なのですかね...。
投稿: さくら | 2015年4月13日 20:17
僕はモスバーガーがすきです!c(>ω<)ゞ
投稿: ひろゆき王子 | 2015年4月13日 22:49
あ、モスバーガーは私もけっこう好きです。あそこのハンバーガーは好みじゃないんだけど、ライスバーガーやその他サイドメニューは悪くない。
でも究極のファーストフードって回転寿司じゃないでしょうか。オーダーする必要すらない(笑) あ、持ち帰りができないのが弱点か。
投稿: 山辺響 | 2015年4月14日 09:29
さくら さん:
コッペパン型のサンドイッチって、「サブ」というらしいんですよね。サブマリン(潜水艦)の形に似ているからというのが定説のようです。
それで、”Subway" 。 英語にも洒落があるんですね。
日本のはハーフサイズなので、潜水艦には見えません ^^;)
投稿: tak | 2015年4月14日 12:32
ひろゆき王子 さん:
私はモスバーガーは一度も試したことがありません。
(店が少ないので、機会に恵まれないため)
たしかに周りには、「マックはだめだけど、モスなら許せる」 と言っている人が結構いますね。
投稿: tak | 2015年4月14日 12:34
山辺響 さん:
「ライスバーガー」って何だ? と思ってググってみました。
へへえ! 平べったい焼きおにぎりをはさんでるんですね!
回転寿司は一時、時間のない時に手っ取り早く昼飯を済ませるのに重宝していました。座ってすぐに食べ始められて、5分で食べ終われるというのが、最高のメリットでした。
(質はピンキリで、中には乾いちゃったまま延々と廻ってるのもありますね)
最近は、評判のいい回転寿司チェーンは、昼時には列にならんで待たされるので、敬遠しています。
それから、先日行った 「スシロー」では、お持ち帰り用のメニューが用意されているらしく、驚きました。
最近はスーパーの総菜売り場なんかで、寿司の詰め合わせが売られてるほどだから、鮮度なんてあまり気にしないのかなあ。
投稿: tak | 2015年4月14日 12:46
35年くらい前に、表参道で小腹が空いたので小さなコーヒーショップに入りました。ジャーマンドッグとコーヒーを注文しましたが、店内には椅子がありません。
東京の人は立ってコーヒーを飲むのかと、ちょっと驚きました。その店がドトールコーヒーの一号店のようです。
店員の笑顔がわざとらしくない。
他のメニューをすすめない。
店内にはけたたましい若者や子供がいなくて比較的静か。
コーヒーとジャーマンドッグで440円で味もいい。
ドトールコーヒー今でもお気に入りの店です。
マックは、チキンナゲットを食べたときに ”こりゃ、くず肉と脂肪を固めて揚げただけだな、こんなものよく売るな” と思ってから行ってません。
同じ思いの人が徐々に増えていったんでしょう。
マックの凋落はいまに始まったことではないのは明らかです。
投稿: ハマッコー | 2015年4月14日 23:11
ハマッコー さん:
ドトールは、分煙が今イチなのでちょっと ^^;)
コーヒーはスタバよりおいしいと思うので、全面禁煙にしてくれれば断然支持なんですがね。
で、最近はスタバのモンサント支持問題でカチンと来たので、仕方なくエクセルシオール派になりました。
ドトール系なので、味は問題なし。分煙はドトールより少しマシ。
エクセルシオールが全面禁煙なら、最強のコーヒーショップなんですけどね。
マックの不振は、早く言ってしまえば、少子化で味オンチの子供の総数が減ったからだと思いますよ。
金出してまでまずいものを食べようとは思わない大人は、昔から敬遠してましたからね。
投稿: tak | 2015年4月15日 21:02