神社仏閣の油染み
京都や奈良の神社仏閣などで、「油をかけられたような染み」が見つかる被害が相次いでいる。47News によると、被害が確認されたのは「7府県の 30寺社・城」だという(参照)。「城」というのは、京都の二条城のことだろう。
私のような神社仏閣好きからすると、「観光客が一杯の神社仏閣で、どうしたら油なんかぶっかけられるんだ? 周りの人間にすぐに気付かれるだろうになあ」なんて思いがよぎったが、よく考えれば、どんな有名な神社仏閣でも、四六時中人が一杯というわけでもない。平日の早朝などは人影もまばらな時間帯がある。
それに、そうした場所では大抵の人はちょっと視線を上にしてありがたい仏像などを仰ぎ見る視線になるから、足元でこっそり油の滴をまき散らされても、気付かれにくいのかもしれない。いずれにしても、困ったものである。
このニュース、急に降って湧いたように連続して報じられているが、もしかしたらだいぶ前から染みのついていたのを、最近になって念のため 「まさか、ウチにはないだろうな」なんて調べたら、「あった!」ってなことになり、被害届が集中しているのかもしれない。そうだとしたら、犯行時期がばらけていて捜査しにくいかもしれない。
それにしても、こんな馬鹿なことをするのはどんな心理的鬱屈が関係しているのだろう。ちょっと昔だったら、「そんなことをしたらバチが当たる」なんていう心理が、こうした犯罪の防波堤になっていた。欲に目がくらんでの賽銭泥棒みたいなのは昔からいくらでもあったが、建物や仏像に油をばらまくなんていう、一銭の得にもならない行為でバチが当たってはたまらない。
そんなわけで、昔はそんな馬鹿なことをする者はいなかった。だから貴重な国宝クラスの文化財といえども、常に監視の目が光っているというわけではなく、ずいぶん無防備なままで多くの人に公開されていたのである。しかしもはや、こんな平和な景色は望めない時代になったのかもしれない。悲しいことである。
こうした馬鹿な犯罪を犯すのは、案外「いじめ」と関係があるかもしれない。ちょっと前までは、いじめの対象は周囲にいる実際の人間か生き物だった。人間の中でも弱者、そして小さな生き物がいじめの対象となった。いくらいじめても反撃されることがないと思えば、安心していじめることができる。
ところが最近は、いじめ問題がかなりクローズアップされて、一頃よりも弱い者いじめしにくい世の中になった。下手するといじめた相手が自殺して大問題になり、警察沙汰になってつかまってしまう。野良猫や公園の鳩でも、むやみにいじめたり殺したりすると犯罪になる。
そこで彼らは、「究極の弱者」を見つけたのかもしれない。仏像や寺社の建物は、動かないから絶対に反撃してこないし、信心の薄れた現代においては「バチが当たる」なんて迷信に過ぎないと思っているのだろう。警備も信じられないほど手薄だし、やりたい放題、いじめ放題である。
さらに「俺はあの世界文化遺産をこの手で汚してやったんだぜ!」という歪んだ満足感まで得られる。絶対に反撃されない「大物いじめ」である。こりゃ、か弱い同級生や公園の野良猫なんかをいじめるより、ずっとやり甲斐がある。
しかし、直接的な「バチ」は当たらないかもしれないが、やった当人はやっぱりどこか「気持ち悪さ」が残るだろうに。犯行直後は歪んだ達成感があったとしても、後からくる「気持ち悪さは、一生残る。不運に見舞われたりすると、思わず「あの時のバチが当たったのか」なんて思ったりして、心が安まらない。
仏が罰を与えなくても、人は我と我が身に罰を与える。これは迷信ではなく、れっきとした心理学的知見である。
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