今度は皆既日食と地震の関連について
昨夜日本の各地で(私の地元のつくばの里はあいにく曇り空で全然ダメだったが)皆既月食が観測された。これに関連して、夕刊フジの "ZAKZAK" というサイトに、「地震と“怪奇”月食のコワ~イ関係 強い引力が地震のきっかけになる可能性も」という記事が載っている。
潮の満ち引きが月の引力によって引き起こされているというのはよく知られている。そして新月と満月の時期には、太陽と地球と月の位置が直線に近い状態になるため、地球は太陽と月の引力をプラスした形で強い影響を受け、「大潮」という現象が起きる。
そして実は、太陽と月の引力の影響を受けるのは潮の満ち引きだけではなく、地球内部のプレートも強く影響され、1日に 20〜30センチも上下しているというのである。そのため、プレートの間地震が起こりそうになっているときには、その引き金を引く要因になり得るのだそうだ。ちょっと嫌な話だよね。
話は変わって、10年半も前の 2004年 10月 22日付の朝日新聞に、「月の引力は潮の干満だけでなく、地震を引き起こす『最後のひと押し』になっている可能性もある」という記事が載った(参照)。単なる与太話ではない。米カリフォルニア大と防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の共同研究でわかった事実である。
どうしてこれを記憶しているかというと、当時、この記事に興味をもってしまった私は、翌 23日にこのブログでそれについて書いているからだ。「無視できない数字」というタイトルの記事である。
それだけなら単に、「ふぅん、そうだったんですか」で済む話なのだが、このブログ記事を書いた 23日の夕方に、新潟で震度 6強を記録したあの中越地震が発生してしまった。あまりに気になった私は、試しにその日の新潟地方の干潮満潮時刻を調べてみた。気象庁のサイトに行けば、簡単に調べられる。便利な時代である。
すると、何と、この日の 2度目の干潮時刻が 17:56で、最初の震度 6強の地震が起きた時刻とぴったり重なっていたのである。あまりの符丁に驚いた私は、翌 24日の「月の引力と地震」という記事で、それについて書いている。それだけに今回の ZAKZAK に載った記事も、あまり気持ちのいいものではない。
そして話はそれだけでは済まない。 私が呆れたのは、地震と月の引力の関連性に関する記事を載せた朝日新聞が、その翌日に発生した中越地震が、まさに干潮の時刻ぴったりに発生したということについて、一言も触れなかったということである。あの記事を書いた記者は、新潟の干満時刻について、調べてみようという発想がなかったのだろうか。つまり、書きっぱなしだったということなのだろうか。
そして朝日新聞だけでなく、他のマスコミでも、ブロゴスフィアでも、この問題について書かれた記事は、私のもの以外には見つけることができなかった。みんな案外ぼんやりなのだなあ。それについて私は、東日本大震災の興奮冷めやらぬ 2011年 3月 20日、"地震と 「スーパームーン」" という記事で、思い出したように書いている。
この記事では深読みしすぎて、"これに関して、「当局からの圧力で何も書けなかった」などという、謀略説を唱えるやつもきっと出てくるだろうなと思ったが、知る限りそれもなかった" なんてことまで書いている。それほどまでに、月の引力と地震の関連性に関しては、一般の関心は薄く、さらに学会でも賛否両論があるみたいなのである。
とはいいながら、潮の満ち引き、スーパームーン、そして皆既月食と、月と地震の関係はいろいろと取り沙汰されるところで、やっぱり気になってしまうところではあるのだよね。
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