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2015年5月24日

ドローンとインターネット

近頃「ドローン」というものが何かと話題というか、物議を醸している。福島の土を積んだまま首相官邸の屋上に落下したとか、三社祭にドローンを飛ばすような予告をした少年が逮捕されちゃったとか、もっぱらイメージの悪い事件がニュースになっているが、使いようによってはなかなか面白いものだと思うだけに、ちょっと残念な気もしている。

「ドローン」(drone) という言葉自体は、元々の意味は「ブーン」という単調な連続音を指し、その音を出す蜂という意味もある。蜂は蜂でも、ミツバチの中で蜜を集める仕事をせずに女王蜂のお伽をする雄蜂を意味するんだそうだ。まあ元々の言葉の意味からして、そんなような感じの、ちょっと怪しいものという雰囲気が漂う。

いかにも怪しいものではあるが、うまく使えばかなりイケてるものになると思う。最近はどこにでもある監視カメラの、移動バージョンとして用いれば、かなり機動性に富んだものになるだろうし、小さなモノの配達なら人手を使わなくてもいける。もしかしたら、ピザの配達なんてドローンを使ってできちゃうかも知れない。

私はドローンはインターネットとよく似ているという気がしている。インターネットは形のない情報というものにおいて、素人でも世界に向けて手軽に発信することができるという、ある意味革命的な役割を果たしたが、ドローンは「素人でも手軽に空中からの視点を得ることと、形と重さのある物体を空中に飛ばして移動させることを可能にしたこと」という 2つの点で、かなり大きな意味をもつと思うのだ。

問題は、インターネットもかなりいろいろ「負の機能」をもつように、ドローンも反社会的な使い方がいろいろできてしまうということだ。インターネットが運ぶのは形のない情報というものだが、ドローンは物理的なモノを飛ばしてしまうことができるだけ、かなり直接的な影響がある。

例えば、インターネットはサリンの製造方法を伝えることができるが、サリンそのものは送ることができない。しかしドローンは、サリンそのものを積んで飛行し、狙った地点に落下させることができるのである。「直接的な影響」というのは、そうした意味だ。

ドローンそのものは、「善いモノ」でも「悪いモノ」でもない。使い方によって善くも悪くもなる。そうしたところも、インターネットとよく似ている。インターネットも「怪しい情報満載」といって一部では毛嫌いされていた時期があるが、ドローンも今、そんな状態にある。

インターネットは有効な使い道が大きいので、今では市民権を得た。ドローンは「直接的な影響」が大きいだけに、これから大きな社会的制約が設けられる方向に進むだろうが、有用な使い方さえも潰してしまうことにならないように望むものである。

 

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コメント

今、農薬散布用のヘリが13百万円ぐらいしますが、噴霧器を装着可能なドローンが作られると、便利ではあるけれど恐ろしくもありますね。

投稿: basara10 | 2015年5月25日 03:53

純粋に、スポーツ中継に活用してほしい。
マラソンなどのバイクカメラよりも、排気がなく音も少なく、ランナーの邪魔にならないんじゃないかと。

野球しかり、サッカーしかり、一般人より先に実用化して安全運用の実績作っちゃえば、社会貢献です。

投稿: 乙痴庵 | 2015年5月25日 08:24

乙痴庵さん同様、私もスポーツ中継に活用してほしいです。日本は航空法の関係で、ツール・ド・フランスの中継みたいなヘリの飛ばし方ができないらしいし。

ちなみにラグビー日本代表は、練習中にドローンを飛ばして、上方から撮った映像を練習の検証に使っているみたいです。

投稿: 山辺響 | 2015年5月25日 11:53

basara10 さん:

私としては、空中から農薬散布するのはやめてもらいたいですね。

投稿: tak | 2015年5月25日 14:04

乙痴庵 さん;

確かにそう思いますが、日本のことだから、なにかと理由を付けて認可されないでしょうね。「落っこちてきたら危ない」 とか。

現実に大被害をもたらしている原発は、「絶対安全」とか言って、国を挙げて推進したくせに。

投稿: tak | 2015年5月25日 14:07

山辺響 さん:

>ちなみにラグビー日本代表は、練習中にドローンを飛ばして、上方から撮った映像を練習の検証に使っているみたいです。

それ、いいかも!
視点を変えたら、戦略も進化しそうですね。

投稿: tak | 2015年5月25日 14:08

takさんへ
無人ヘリは昔の有人ヘリと違って低空を飛行します。又、人家の密集したようなところでは使わず、早朝の風のない時間帯に飛んでいます。だから苦情は騒音に対するものが少しあるぐらいですね。気持ちはわからないこともありませんが、農家も今の時代ですから大変気を使いながら運用していますのでご勘弁を。

投稿: basara10 | 2015年5月26日 06:38

basara10 さん:

最近はなくなりましたが、ちょっと昔は早朝に有人ヘリで田んぼに農薬散布をしていたものでした。それを見ていると、散布された白い煙が風に流されて、田んぼに落ちるよりもむしろ、横に横に漂い、人間の生活圏に流されていました。そして通勤通学の人間が頭痛を覚えたりしていたものです。

私は、「ずいぶん乱暴なことをするなあ」 と、呆れて眺めていました。私の家は細い川を隔てて田んぼに面しているので、ヘリの音が聞こえる朝は、窓を開けることができませんでした。農薬の白い煙が、我が家の庭を漂っていくのですから。
当然その日は、洗濯物を干すこともできませんでした。
そして、「無農薬」のつもりでつくっていた家庭菜園も、農薬を浴びせられていました。

ドローン使用により、そんなことが避けられるというなら、ギリギリ認めるにやぶさかではありません。

投稿: tak | 2015年5月27日 00:14

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