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2015年5月15日

ワインの美味しさと値段の怪しい関係

私は常々、「日本酒の味はわかるけど、ワインはわからない」と言い続けてきた。いい日本酒、あるいは高い日本酒というのは飲んでみれば概ねわかるが、ワインはさっぱりわからない。おいしくて安いワインはいくらでもあるし、高くても「なんじゃ、こりゃ?」みたいなワインもある。それどころか、高いワインほど「なんじゃ、こりゃ?」と思う確率が高いような印象まである。

だから私は、「ワイン通」になるなんて到底無理だととっくに諦めて、「ワインの味はわからない」と堂々と公言している。しかしどうやらそれは、私だけではないようで、飲んだだけで「いいワイン/高いワイン」かどうか言い当てるなんて、フツーは無理のようなのである。

Gigazine に「安物ワインと高級ワインの味は一般人に区別できるのか?」というビデオ入りの記事がある。比較的ワインに親しんでいるらしい 4組 8人の素人に何種類かのワインを試飲してもらい、その値段を推定してもらうという試みを行った結果、たまたま近い値段を言い当てることもあるにはあったが、概して「ワインのことを何も知らない」と言っていいような悲惨な結果になってしまった。

1瓶が数ドルの安いワインを数十ドルのものと思い込んだり、実際には百ドル以上のチョー高いワインを安物だと思って酷評してしまったり、さんざんな結果だった。つまり、まんざらのど素人というわけじゃない人にとっても、試飲しただけでそのワインが高級かどうかを見定めるのは至難の業のようなのである。

この記事を読んで、私はこれまで薄々わかっていたことが、客観的にも正しいんじゃないかと、自信をもってしまった。どんなことかというと、かなり乱暴な結論だが、「ワインの美味しさと値段は、ほとんど無関係」ということである。

ただ、ワインの「美味しさ」というのもなかなか奥が深くて、一般的に誰が飲んでも「美味しい」と感じられる初心者コースから「ちょっと抵抗があるかも知れない個性的な味わい」という上級者コースにいたるまで、千差万別だ。そして上級者コースほど、「うーん、ちょっとビミョー!」と言いたくなるのが多い気がする。

その「ビミョーさ加減」が「美味しい!」と感じられるようになるまでには、さんざん授業料を払っていろいろな種類の高いワインを飲み、その味わいを体に覚え込ませなければならない。フツーの人間はそんなことに金をつかいまくるほどの余裕はないから、別に「ワイン通」になる必要もない。

大別すると世の中には、「高くて美味しいワイン」「高くて個性的なワイン」「手頃な値段で美味しいワイン」「手頃な値段でそれなりのワイン」「安くて美味しいワイン」 「安くてまずいワイン」 という、6種類のワインがあるようなのである。

私なら深く考えすぎることなく、 断然「安くて美味しいワイン」を選ぶ。ただ、たまにご馳走になる「高くて個性的なワイン」の味わいも、できるだけ脳内データベースに蓄積しておくようにはしている。

 

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コメント

そうそう!
そうやって「ワインはラベルで飲む」ことへの道に、足を踏み入れることになって…。

酸っぱくてほこり臭いワインがサイコーとかと…。

まだ安心してガブ飲みできる、カリフォルニアワイン(3リットル2千円程度)を超えるワインは見つけられておりません。

投稿: 乙痴庵 | 2015年5月16日 05:31

tak-shonaiさんごきげんよう~
お久しぶりでございます。
私もワインの上等下等は全くわかりません。涙涙涙・・・
5年前、100本くらい友人が贈ってくれましたので
毎日毎日飲みました。でも、
まずくて、まずくて、まず過ぎて、がまんできずに
とにかく人にあげまくりました。
2年前からダイエットでお酒を断ちましたし倉庫で
そのままにしていましたが、
最近、ちょっと飲んでみたところ、え?
「うま~い」のです。
な、なんだろう・・・・・???
な、なんですかね??訳わかんないです・・・・・


投稿: 朱鷺子 | 2015年5月16日 08:37

乙痴庵 さん:

要するに、ワインは西洋の神秘と思っている方がいいのかも ^^;)

投稿: tak | 2015年5月17日 22:36

朱鷺子 さん

朱鷺子さんの体質変化か、ワインの質の変化か、あるいはその両方なのか、やはり、西洋の神秘ということで ^^;)

投稿: tak | 2015年5月17日 22:39

日本酒もワインも、「味の違い」は分かります。それを「好き嫌い」にリンクさせることも、もちろんできます。しかし「良い悪い」、いわんや「高い安い」にリンクさせるのは……私には無理かなぁ。ふだん安い(ワインだとフルボトルで1000円程度)ものしか飲んでいないのが大きいのでしょうが。

どちらかといえば、赤の方が差が出ますかね? そうでもないかな。

投稿: 山辺響 | 2015年5月18日 10:23

おひさしぶりです。S太郎です。
久々に書き込みをさせていただきますね。(最近安いワインに凝っているもので)

変な考え方かもしれませんが、ワインの味というのは実はワインそのものではなく、飲んだ人の経験や記憶の方にあって、ワインはそれを引き出すための媒介なんではないかと。
味が多彩で複雑で要素が多いほど、引き出される味わいもまた多いでしょうし、それだけ高価なのだと思いますが、それが「旨いか不味いか」「好きか嫌いか」はまったくレイヤーの違う個人の価値観の領域なので、そのあたりが味と価格の不釣り合いという認識につながるのかなーと思うのです。
これはおそらく小説の読み方とか、絵画を鑑賞する時のマインドなんかに近いようにも思います。

というわけで毎日飲むワインでやたら考え込んだり感情を揺さぶられたりするのも辛いので、私はもっぱら500円程度のチリワインを飲んでいます。

投稿: S太郎 | 2015年5月18日 11:32

山辺響 さん:

>日本酒もワインも、「味の違い」は分かります。

それは確かにわかりますよね。
そして、日本酒の場合は経験による脳内データ蓄積のおかげで、高い安いという要素と案外リンクしているように思います。

というか、最近の高級日本酒の傾向が、私の好みとほぼ一致しているというだけかもしれませんが。

ワインは、脳内データ量が圧倒的に少なくて、どうしようもありません。

投稿: tak | 2015年5月18日 23:34

S太郎 さん:

>変な考え方かもしれませんが、ワインの味というのは実はワインそのものではなく、飲んだ人の経験や記憶の方にあって、ワインはそれを引き出すための媒介なんではないかと。

それは言えてるかもしれませんね。ワインそのものの味や風合いは、絶対的なオブジェクトではなく、メディアとして機能している部分が多くあると。

>これはおそらく小説の読み方とか、絵画を鑑賞する時のマインドなんかに近いようにも思います。

ワインだけでなく、森羅万象がそうだったりするように思えます。

投稿: tak | 2015年5月18日 23:37

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