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2015年6月 6日

PC の時代の終焉

昨年 1月に MacBook Pro を買い、晴れて Mac ユーザーになってから、もうすぐ 1年半になろうとしている。実感からすると、まだ 1年半も経っていないことが信じられない。もう何年も Mac を使い続けているような気がするほど、すっかり馴染んでしまっている。

今日、久しぶりに大手家電量販店の売り場を覗いてみたが、もう「これ、欲しいな」と思うものがまったくない。手持ちの MacBook、ルーター兼バックアップ装置の Time Cupsul、A3 サイズ対応の多機能インクジェット・プリンター(FAX 付き)、A4 サイズ対応のレーザー・プリンターがあれば、もうほとんどの用は足せる。

思えば PC 本体は、Mac にするまでは、ほぼ 3年ごとに買い換えていた。3年も経つと、新開発された機能に PC が追いつかなくなるか、ハード的に具合が悪くなるかのどちらかで、買い換えなければ済まなくなっていた。しかし MacBook は、まだ 1年半足らずしか使っていないので何とも言えないが、もう 1年半で機能が古くなるか、ハードが壊れるかというような気がしない。

例えば、Window 3.1、95、98 の頃までは、PC の内蔵ハードディスクの容量が、すぐに足りなくなった。私が最初に購入した Windows 3.1 マシンは、ハードディスク容量が「余裕の 420MB」という謳い文句だったが、余裕どころかすぐに容量不足に悩みまくった。

2台目の Windows 95 マシンは、1GB。「これなら使い放題かもしれん!」と思っているうちに、あっという間に足りなくなり、Windows 98 マシンに買い換えても、空き容量を確保するために、不要のファイルを削除するのが日課みたいになっていた。

ハードディスクの容量を気にしなくても済むようになったのは、Windows XP マシンを買った頃からである。この頃には 200GB 以上のハードディスクが当たり前になり、なんでもかんでも保存しまくっても空き容量が十分確保できるようになっていた。

以前は PC だけでなく、それに伴って周辺機器やアクセサリーもしょっちゅう買い換え、買い足しをしていた。ところが最近では、「そろそろ買い換えないと、どうしようもないな」というようなことがなくなった。市場が成熟して、これ以上の革新が必要なくなってきたのである。

PC や周辺機器は、壊れてどうしようもなくなるまでは、買い換えずに済むようになった。そしてそもそも、マシンがそれほど簡単に壊れなくなった。これでは、PC 市場の成長が止まるのも当然である。それに伴って、Microsoft の成長が止まるのも自然の成り行きなのだ。Windows 8 で無理に買い換え需要を作ろうとしたが、完全に失敗だった。

PC の市場は急成長期から安定期に入ったという人もいるが、それは楽観的すぎる見方で、本当は既に衰退期に入っているのだと思う。これまでが身の丈以上だったのだ。「PC ぐらい使えなければ」 と、背伸びして買った PC を使いこなせず、さも自分の能力が低いような気がして落ち込んでいた人たちが、けろりとタブレットに乗り換える時代が来ている。

それはまだ大きな潮流にはなっていない。そもそも、PC を十分に使いこなせない人は動きの遅い消費者だから、今頃になって「パソコン教室」なんかに通い、それでも使いこなせなくてウジウジしている人がいくらでもいる。しかし、そのうちに彼らもようやく「PC なんて使えなくても、全然困らないじゃん!」と気付く日がくる。

その時こそが、正真正銘の「PC の時代の終焉」である。PC は業務上で本当に必要な人にしか必要のないものになる。そうなったら、「無理に需要を作り出しても甲斐がない」ことになり、地道なフォローアップだけで済む市場になる。

実はその方が、ユーザーにとってもありがたい。Windows XP のサポート終了で、多くの企業のシステムがおかしくなってしまったのは、記憶に新しいところである。普通のユーザーにとって、Windows 8 なんていう慣れないものを押しつけられるより、XP をサポートし続けてくれる方が、ずっとありがたかったのだ。

 

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コメント

>XP をサポートし続けてくれる方が、ずっとありがたかったのだ。


まさにその通りです。
XP良かったです。次のVestaになった途端に、今まで使っていたファイル検索機能が酷くレベルダウンしてしまって、仕事の能率が悪くなり、この時以来Windowsに不信感です。

投稿: KRT | 2015年6月 8日 11:26

KRT さん:

そう思っていらっしゃる方が、実は多いんでしょうね。

投稿: tak | 2015年6月 8日 22:04

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