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2015年6月 1日

私がじいさんになる頃には

仕事の関連で、時々老人福祉施設を訪問することがある。老人がずっと住んでいる施設もあるが、デイケア的に、一日滞在して楽しんでいるところを訪問することもある。先日訪問した施設はデイケア的なところで、老人たちがカラオケに興じていた。

カラオケで歌われるのは、もうほとんど演歌、それもド演歌ばかりである。結構上手なパフォーマンスもあるが、大抵は下手くそだ。それでもみんな楽しそうに手拍子を打ったりして、和気藹々である。

こうした光景を見るとなかなかいいものではあるが、翻って自分自身が年寄りになって、こうした施設で一日過ごすなんてことを考えると、申し訳ないが、「ちょっと違うな」と思ってしまう。心の底から楽しめるような気は、全然しないのだよね。

私がそうしたデイケア施設にお世話になり始める頃は、多分もうちょっと年上の「団塊の世代」が依然として幅を利かせているだろう。彼らはどうも演歌大好き世代のようなのである。だから、新参者の私は、先輩の年寄りたちに合わせて、いかにも楽しんでいる風を装いながら、手拍子を打ったりしてしまうのだろう。そして、帰宅した時には気疲れでぐったりしているような気がする。

で、時代はさらに進んで団塊の世代が消え去り、我々の世代が長老中の長老となった頃には、さらに若い世代が乗り込んでくるだろう。彼らは演歌なんか歌わない。その代わり、いわゆる "J-Pops" の世界になる。しかしそれも、昭和 27年生まれで、しかもかなり最先端を気取っていた私のような男には、ちゃんちゃらおかしくて、全然ノレない。

どうやら私のような人間の音楽センスというのは、日本の音楽史の中でもかなり特殊なところに位置するようなのである。演歌でもないし、"J-Pops" でもない。ギンギンのビートで歌う日本語の歌を「邦楽」だなんていわれると、「そんな馬鹿な!」と思ってしまう。邦楽というなら、『かっぽれ』とか『梅は咲いたか』とか、清元なんかをやれと言いたくなる。そっちの方が、まだノレる。

私の音楽センスは、日本人の中ではかなりニッチなのである。ユーミンなんか気恥ずかしいが、「はっぴぃえんど」ならしっかりノレる。しかし、このノリは老人福祉施設なんかでは完全に浮いてしまうだろう。かといって、今どきの演歌好きの年寄りでも、『かっぽれ』なんか知らないし。

それに私は、誰かが歌い出したらハモらなければ気が済まない。しかし、日本人の中で自然にハモれてしまうというのは、極々限られた世代であるらしい。アメリカン・フォークソングを英語で歌うのが当たり前だった時期に青春時代を過ごした者でないと、自然なハモり感覚はないみたいなのである。フツーの日本人は基本的にユニゾンしかできなくて、ハモられたりするとメイン・メロディすら覚束なくなり、「余計なことをするな!」と怒り出す。

というわけで、私が年寄りになった頃には、デイケア・ハウスなんてものよりも、もっと別のマニアックな年寄りの集まる施設が必要になるような気がするのである。年寄りたちがシカゴ・ブルースやアメリカン・フォークソングで盛り上がるような施設を造るって、難しいかなあ。

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

楽しそうですね~。 思わずご老人が皆でジョン・デンバーなどを歌っている風景を想像して微笑んでしまいました。

投稿: めぐみ | 2015年6月 2日 02:51

めぐみ さん:

ジョン・デンバーもいいですが、じいさん、ばあさんたちが、"♫ Teach your grand-chldren well 〜‘ と、見事なハーモニーで sing-out してるなんて、なかなかよさそうでしょう (^o^)

投稿: tak | 2015年6月 2日 13:45

tak-shonaiさんごきげんよう~おはようございます~
おもわず、涙が出そうになりました。
私はもう、完全な老女ですが、
歌が大好きなのに、
歌は、どなたとも合いませんから・・・・・・


投稿: 朱鷺子 | 2015年6月 3日 07:39

それでも、どんな人の歌にもついて行けます。
夫の友人とお食事会をしたら、
まるで右翼団体かと思えるように全員が軍歌大合唱でしたが、何故か私はすべてを一緒に歌えました。うふ

投稿: 朱鷺子 | 2015年6月 3日 07:42

朱鷺子 さん:

朱鷺子さんは 「遅れてきたモガ」 だと思っています (^o^)
昭和の人たちの音楽センスとは合わないでしょうね。

それでも軍歌を覚えているというのは、それらがいかに世の中に浸透して歌われていたかの証明かもしれません。それに、生理的に歌いやすい曲ってのが多いんですよね。

投稿: tak | 2015年6月 3日 10:32

ジョン・デンバーの雰囲気のところに、パット・ブーンで入ってもよろしいかしら?
「砂に書いた…」よりも、「アイルビーホーム」ですが…。

投稿: 乙痴庵 | 2015年6月 3日 15:15

乙痴庵 さん:

それをばっちりキメたら、ばあさんたちにモテまくりますよ (^o^)

逆バージョンで、コニー・フランシスをばっちりキメるばあさんがいたら、どえらいことになります。
(”Vacation” よりも ”Where the Boys Are” (ボーイハント)で)

投稿: tak | 2015年6月 3日 15:44

きゃ~~!
パットブーン
コニーフランシス
ジョン・デンバー
みんな大好き~~~
思わず取り乱す・・・・・

うふ


投稿: 朱鷺子 | 2015年6月 4日 18:03

朱鷺子 さん:

ビング・クロスビーはいかがですか?

投稿: tak | 2015年6月 5日 22:41

tak-shonaiさん
ごきげんよう~
こんばんは~
って、まだ5時まえでした。

あのね、ビング・クロスビーは、
私がまだクリスマスにこころを動かしていた高校生のころ
街中でクリスマスの歌は常に彼の歌が響いていたものです。
ってゆうか、あの時代からずっと日本のクリスマスには、彼の歌が中心だったと思います。
いずれのおんときにか^^
ビング・クロスビーの歌が忘れられて
日本の楽曲に変化してしまいましたね。
1989年には山下達郎さんの《クリスマス イヴ》
1992年には、稲垣潤一さんの《クリスマスキャロルの頃には》が大ヒットしたのが大きいと思います。
私の胸の中には、ビングクロスビーのソフトな声が今でも鳴っていますが、実は、あの当時から彼はもう、私の脳裏には、お爺さんのような存在と写っていました。涙


投稿: 朱鷺子 | 2015年6月 7日 16:50

朱鷺子 さん:

私の中では、ビング・クロスビーの White Christmas はあまり重要じゃなくて、むしろ Georgia On My Mind とかの方が思い浮かびます。

ちなみに私のクリスマスソング ベスト 10は、こちらに紹介されています ↓

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2011/12/10-ff56.html

投稿: tak | 2015年6月 8日 10:13

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