Apple の定額制音楽配信サービスは、いいかも
Apple が定額制の音楽配信サービスを本格的に開始すると発表した。月額 9.99米ドル(日本円で約 1,200円)で会員になれば、3,000万曲以上のライブラリーの中から好きな曲をストリーミングで聴けるのだそうだ。当初は日本でも開始されるかどうかは不明と報道されたが、Apple の日本語版サイトに「まもなく登場」として紹介されているところをみると、期待してもよさそうだ。
問題は、日本円で 1,200円という費用である。ほぼ毎月アルバム CD を 1枚買っているという人なら全然問題ないが、年間に 3枚ぐらい買うという程度のごくフツーの音楽ファンは、消費税を入れたら多分、年間 15,000円以上になるだろうという金額を払うだろうか?
これはもう、完全に考え方次第である。私としては、「コーヒー 4杯ぐらいの値段で好きな音楽聴き放題」と考えれば、かなり「お得」だと思う。というのは、これまでのように、CD を買うなりダウンロードするなりして、自分のライブラリーに入れるのとは、払う金額の価値が全然違うのだ。
これまで我々はずっと、「限られた予算の中から、あっちを我慢して、こっちを買う」という購買行動をとってきた。しかし、月額アルバム CD 1枚の半額程度で「我慢しなくてよくなる」というなら、音楽の視界は一変する。「聴けば聴くほどお得」というのは、音楽好きにはたまらない。
さらにもう一つ、別の意味合いもある。私は 100枚以上の LP コレクションを「死蔵」している。レコード・プレーヤーはとっくの昔におシャカになってしまったので、まさに「死蔵」でしかない。再生した曲を MP4 形式で保存できるプレーヤーを買うという手もあるが、100枚の LP を 1枚ずつ再生してデジタルに変換するための膨大な手間を思い浮かべるだけで、ずっと二の足を踏んでいた。
しかし、Apple の音楽配信サービスを利用すれば、私の LP コレクションの多くは多分 3,000万曲以上というライブラリにも含まれているだろうから、「死蔵」していたコレクションが別の形で復活して、好きな時に聞くことができるようになる。
先月 20日の「オッサンは、平成の歌が歌えない」という記事で書いたように、多くの人は 30歳を過ぎると最新の音楽に付いていくよりも、昔の曲の方がいいと思うようになる。これまで私はそうした曲を「持っているのに聴けない」というフラストレーションを抱えていたが、これからは「持たなくても好きな時に聴ける」ようになる。
それだけでも、1,200円は払う価値があると思う。
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