18歳で選挙ができるようになると
選挙権年齢を 「18歳以上」 に引き下げる公職選挙法改正案が昨日、衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会で、なんと全会一致で可決した。今月中に法案が成立する見通しで、来年夏から、高校生でも選挙ができる時代になる。
もっとも 18歳以上になると選挙権が与えられるのは、世界的にはずっと前から当たり前の話で、20歳以上なんていうのはかなりレアなケースである。それだけに日本でも、野党を中心に年齢引き下げの要求があったが、従来は自民党が頑として拒んでいた。
それは 「若年層になるほど革新票が増えて、野党に有利」 という 「都市伝説」 があったからだと思う。事実、1970年代までは、若者は左がかっているのが当たり前で、自民党は田舎のじいさんばあさんに支えられていた感がある。しかし、時代が変われば変わるもので、今の若者は右傾化が顕著と言われている。「都市伝説」 が崩壊したのである。
昨年末の総選挙直後、BLOGOS に 「18歳選挙権を導入していたらもっと自民党が勝っていたという衝撃データ」 という記事が掲載された。筆者は松戸市政策推進研究室長、中央学院大学客員研究員の高橋亮平氏。2002年から NPO 法人 Rights が実施している 「未成年“模擬”選挙」 の、同年末の実施結果によると、「実際の選挙以上に自民党の支持が多かった」 というのである。
実際の選挙では自民党が 「圧勝」 したとはいえ、得票率は全体の 33.1% にとどまった。しかし未成年者による「模擬選挙」での得票率は、36.7% だった。つまり今の未成年者は、少なくとも昨年末の段階では、成人以上に自民党支持の傾向が強かった。
つまり今の世の中では、選挙年齢を引き下げる方が、自民党にとっては 「おいしい結果」 をもたらす可能性が高いのである。そんなことでもなければ、今頃になって取って付けたように選挙年齢の引き下げを自民党が言い出すはずがない。そしてこれに関しては野党の方が (「幻想」 に沿って) 昔から熱心だったから、賛成するほかなかったのだろう。
問題は、ただでさえ低い投票率がさらに下がってしまうだろうということだ。若年層ほど投票率が低いのは昔からのことだが、さらに若い層に投票権を与えてしまったら、母数が拡大するのに投票する者の数はそれほど増えないので、投票率は惨憺たる数字になってしまうだろう。
マスコミは判で押したように 「教育による政治意識の育成が大切」 と言っているが、日本の教育がこの方面においてまったく無力というのは、これまでの経験で分かっていることである。
「卒業式では国旗を掲揚し、『君が代』 を歌え」 という体制側と、「やだもんね!」 という日教組が、今の時代になっても前世紀そのままの不毛なイデオロギー対立の様相を示しているだけだから、実のある政治教育なんてほとんど期待できない。
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