東京オリンピックのエンブレムの "L" って一体何なの? (その 2)
昨日の続きである。
私は昨日の記事で、東京オリンピックのエンブレム・デザインが "Theatre de Liege" のロゴマークに「似てる/似てない」という議論以前に、「どう見ても、無駄で無意味な "L" がある」という点で、このデザインはアウトだということを主張した。これは当然の視点だと思っている。
ところが、日本国内の報道やブロゴスフィアを眺めても、そうした指摘は驚くほど少ない。大方は「似てる/似てない」の印象論的堂々巡り議論に終始しているのが、私にとっては不思議で仕方がないのである。
このあたりのことを、欧米ではどう捉えられているのかと検索してみたところ、「日本に対する海外の反応を報道するニュースサイト」 という触れ込みの NewSphere というサイトで "東京五輪エンブレム盗作疑惑 「偶然」「Lに見える」「桜版より良い」米サイトで話題" という記事に、関連する記述が見つかった。
米国のインターネット界隈には、"Kotaku" という日本のサブカルチャーファンが集まるサイトがあるというのだが、ここに多くの読者コメントが寄せられていて、デザイン業界に近い人ほど「偶然」と見る傾向が強いという。
ただし「盗作との見方も当然ながらあって、東京五輪に関係のない、「元ネタ」の "Liege" の "L" が残っているのが証拠だとする意見が目立っているとある。そうした指摘は、次の 2点に集約されるようだ。
- アーティストの説明がどうであろうと、英語圏の者から見れば L にしか見えない。
- なぜ L を入れたの? 誰かが劇場のロゴを見て気に入り、意味も分からずにコピーしたのだと思う。
これは私の指摘と同じ視点である。やはり英語圏では、いや、英語圏に限らずアルファベットを使用する言語圏では "L" の字を「不自然」と見るのが 「自然」 のようなのだ。そりゃ、当然のことだよね。昔ちょっと英語でメシを食っていたことがあるというだけの日本人の私が、最初に見たときから「この "L" って、何なの?」と引っかかっていたぐらいだから。
で、オリンピックのエンブレムというのは、当然ながら国際的に使用されるものなのだから、アルファベットを使用する言語圏の人間が「この "L" って、何なの?」とフツーに思ってしまうようなデザインは、採用すべきじゃないと、重ねて思ってしまうのであるよ。
これはもう、盗作か否かとか、似てるか似てないか以前の、とてもベーシックな問題である。盗作か否かなんていうのは、どうせ最後までわからないのだから、「一見シンプルに見えるデザインの中で、無駄で無意味な要素が目立ちすぎている」という明らかに客観的な事実に即して、このデザインはアウトとすべきだと思うのだ。
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