「キュウリは水分補給に適している」ということの考察
かなり根深いことは根深いが、重要性としてはちょっとささやかすぎて、ほんの時々何かのきっかけでふと思い出すものの、いつもは忘れてしまっている疑問というのがある。気にかかってしょうがないとか、普段の生活にも差し支えるというような疑問でもないので、意識して解答を見つけようとする気にもなれないままに、長い間放り出されてしまっている。
そんな「ささやかで、いつもは気にもかけないで忘れ去られている疑問」の一つに、「キュウリは水分補給にいい」というものがある。料理本やレシピ集みたいなものでキュウリという食材について調べると、たいてい「栄養価は非常に低いが、爽やかな食感があり、水分が多いので水分補給に適している」というようなことが書いてある。
個人的には「栄養価は非常に低い」なんてことはあまり気にしない。毒だというなら遠ざけるが、栄養があろうがなかろうが、「好きだからありがたく食す」という姿勢に変わりはない。ただ問題は、この「水分補給に適している」ということについてだ。
昔から「水分補給なんて、別にキュウリを食わなくても、水を飲めばいいじゃないか」と思っていた。炎天下を歩いて戻ってきて、「あぁ、喉が渇いた、水、水!」と、冷蔵庫で冷やしたミネラルウォーターをグビグビ飲むことはあっても、「あぁ、喉が渇いた、キュウリ、キュウリ!」なんて言ってキュウリに囓りつくなんて人を、私は見たことがない。
もしかしたら「水分補給に適している」というのは、水資源の乏しい国におけるお話で、それをそのまま日本にもってきているだけなのではあるまいかと、疑ったことがある。砂漠の国だったりしたら、ミネラルウォーターよりキュウリの方が安く手に入るなんてことがあるかもしれない。
しかしどうみてもキュウリを食うより水を飲む方が手っ取り早い日本の国で、わざわざそんなことを言う必要はないだろう。わざわざ言うからには、水を飲むよりキュウリを食う方が体のためにいいという理由があるのではないかと、疑問の矛先が変わってきた。
で、もう少し調べてみると、「水分の摂りすぎ」という問題が出てきた。夏はこまめに水分補給をすることが大切とはいうものの、過ぎたるはなんとやらで、水を飲み過ぎるのもよくないというのである。
そういえば、水を一気に飲み過ぎると胃液のバランスが失われて、消化作用がおかしくなるという話は聞いたことがある。もう少し探してみたところ、Yomiuri Online で、小川恵子さんというお医者さんによる「水分とりすぎにも注意!」という記事が見つかった。水を過剰に飲むことによって、腎臓が尿を作る能力の限界を超えてしまい、「水中毒」という病気になることがあるというのである。
いずれにしても、水分補給を「水」という直接の形でがぶがぶやりすぎるのは、あまりいいことではないのだろう。一方、キュウリなどの水分の多い食材を摂れば、体内での吸収が穏やかなプロセスとなり、急激に喉の乾きが感じられて水をがぶ飲みする必要がなくなるのかもしれない。
まあ、よくはわからないのだが、直接水を飲むばかりではなく、食物から穏やかに水分補給をするというのも必要なことなのだろう。そして夏場においてはその必要性がさらに高まるから、キュウリの存在意義があるということで、納得しておこう。当たらずといえども遠からずだと思う。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- アルコール飲料にもがんのリスクがあるという(2025.03.12)
- 睡眠時間が短いと、「死亡率」が増加するって?(2025.03.08)
- クルマを使うか、電車やバスを使うか、それとも歩くか(2025.03.01)
- 会議中の居眠りって、極楽みたいなもの(2025.02.17)
- 「Me-Time(自分時間)」って、うまい言い方だ(2025.02.16)
コメント
確かに同じ水分ではありますが、私のなんとなく解釈しているところでは、例えば木や草花であれば、水道水と雨水のような違いではないかと。
また違う話になりますが、二日酔いで猛烈に喉が渇いているとき、水をいくら飲んでも癒えない場合があるけれど、西瓜など水分を多く含む果実を食べると何故か渇きが収まるのは私だけではなく、不思議に思うところであります。
投稿: FABE | 2015年7月 9日 09:20
きゅうりは体を冷やす作用があるらしいから、夏、水をがぶ飲みするよりいいんじゃないですかね?
夏、荒川をサイクリングしてると、野菜の無人販売所があるの。
100円できゅうりを買って、その場でガブッと食べると、気のせいか、涼しくなる希ガス(そんなに早く効果があるか?)。
投稿: のぅさぎまりこ | 2015年7月 9日 15:44
FABE さん:
>例えば木や草花であれば、水道水と雨水のような違いではないかと。
この喩え、しっくりきますね。
>二日酔いで猛烈に喉が渇いているとき、水をいくら飲んでも癒えない場合があるけれど、西瓜など水分を多く含む果実を食べると何故か渇きが収まるのは私だけではなく、不思議に思うところであります。
本当にひどい二日酔いだと、何か口に入れてもすぐにリバースしちゃうんですよね ^^;)
投稿: tak | 2015年7月 9日 20:27
のぅさぎまりこ さん:
>きゅうりは体を冷やす作用があるらしいから、夏、水をがぶ飲みするよりいいんじゃないですかね?
夏野菜は、ナス、トマトなども同様の作用があるようです。確かに水のがぶ飲みよりいいですね。
>100円できゅうりを買って、その場でガブッと食べると、気のせいか、涼しくなる希ガス(そんなに早く効果があるか?)。
山でシャリばてした時に、ビスケットを一枚かじるだけで、すぐに歩き出せるようなもので、やっぱり気のせいなんでしょうが、脳内反応で体の感覚が変わってしまうのですから、「気のせい」というのは大きな働きですよね。
投稿: tak | 2015年7月 9日 20:31
しゃりバテ状態だと脳が「どうも補給が来ないようだから、まだ備蓄はあるんだけど、なるべく筋肉にはエネルギーを回さずにとっておこう」とセーブするけど、ちょっとでも何か口にすると「あ、補給が取れる状態なんだな、なら使っても大丈夫か」と、キープしておいたエネルギーを回し始める、みたいな感じじゃないかと妄想しております。
投稿: 山辺響 | 2015年7月17日 13:13
山辺響 さん:
なるほど、説得力あります!
きっとそんな感じなんだと思わせるに十分です。
投稿: tak | 2015年7月17日 21:43