名誉欲ほど厄介なものはない
東芝の「不適切会計」の問題は、これからかなり大きな余波を呼びそうだ。株や不採算部門の売却による影響、リストラ、株主訴訟など、単なる 「内部抗争」 の結果には収まらない様相である。
そもそもこの「粉飾決算に限りなく近い不適切決算」がどうして生じたかというと、経営者がどうしても経団連会長になりたかったので、会社の決算の見かけを取り繕いたかったということのようなのである。赤字企業のトップでは「財界総理」になれないというわけだ。
経団連会長などといっても、その地位にいられるのはせいぜい 4年である。じいさんになってからの 4年なんて、あっという間だ。その 4年間に権力を振るい、周囲からもてはやされ、そして「歴代会長」リストに名を残すためには、会社の決算に操作を加えることも厭わないというのだから、はてさて、人間の「名誉欲」とは醜いものである。
誰が見てもそう思うだろうが、俗人ほど名誉欲が強い。まあ、名誉欲に限らず、いろいろな欲望が強いからこそ俗人ということになるのだが、困ったことに名誉欲に囚われる人はある程度の地位にあることが多いから、その周囲の人間としては本当にうっとうしい。
いくら決算を操作しても、先送りした損失はいずれ帳尻を合わせなければならない。そのうち業績は上向くという確信があるならいざ知らず、今の世の中でそんなことをしたら、ほぼ確実に会社が傾いてしまう。それでも構わないという 3人の人たちを、東芝という企業は、連続して社長に頂いていたのである。これはまあ、すごいことだね。
人間、仕事でたまたま成功して金銭欲がある程度満たされてしまうと、今度は大抵名誉欲に向かう。とくに自分の会社の歴代社長のうちで経団連会長が何人かいるということになると、自分がなれないと「不名誉」だなどと感じてしまう。
似たような構図で、国から勲章をもらいたくてしょうがない人たちもいる。特別大したことをしなくても、それなりの企業や団体でそれなりの役職にそれなりの年数ついていると、自動的に勲章はもらえる。だから、その基準すれすれの人たちは、なんとか形をつけようと汲々とする。
基準を満たしそうにない場合などは、世の中で求められてもいないお手盛りの団体をでっち上げ、自ら会長や理事長に収まってまで勲章をもらいたがる人もいる。もう少しで勲章をもらえそうになる前に、バブルが崩壊しそうな時期になってまでそんな道楽ばかりやっていたせいで自分の会社を潰してしまったという人を、私は何人か知っている。
まことにもって、名誉欲ほど厄介なものはない。
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