英語を社内公用語にすることについて(その 2)
日経ビジネスが、7月 9日付で "ホンダ「も」導入した英語公用化" と伝えている。楽天、ユニクロに続いて、ついにホンダも、6月29日に開示した 「サステナビリティー(持続可能性)リポート」の中で英語公用語化を打ち出しというのである。
もっとも、社内の会話や会議をすべて英語化するというわけではなく、「2020年を目標に地域間の会議で使う文書や、情報共有のためのやり取りを英語とする『英語公式言語化』に取り組んでいる」 という程度のものだ。「地域間の会議で使う文書や、情報共有のためのやり取り」を英語化するというのだから、ドメスティックな会議は依然として日本語で行われるのだろう。
私は 5年前に「英語を社内公用語にすることについて」という記事を書いている。この中で私は、内田樹氏の "英語が公用語という環境では、「仕事はできるが英語はできない」という人間よりも「仕事はできないが英語ができる」という人間が高い格付けを得ることになる" という理由での懐疑論を紹介した。
とはいえ私自身は 「営利を目指す企業や組織で、英語さえできれば最上位にランクされるということはおこりにくいので、極端な心配はいらない」 と、内田氏の指摘は極論に近いと位置付けている。
私自身も英語を公用語とする団体に勤務した経験があるが、その日本支部の幹部クラスの英語能力は、バリバリというわけではなかった。「俺の英語の方が、ずっとまともじゃん」 と思うほどだったから、英語さえできれば出世できるというわけでは決してない。非営利団体にしてそんなものだったのだから、営利企業ならなおさらだ。
今は昔みたいに、英語ができるというだけで外資系企業を渡り歩く「英語ゴロ」が通用する時代ではない。私だって英語圏に留学した経験があるわけでも、英文科を出たわけでもなく、なんと大学院で歌舞伎なんていうもろに日本的なものを研究しただけなのに、なぜか英語ぐらいはできた。
「仕事ができるが、言葉は日本語しかできない」という人間よりは、「仕事も英語もできる」方がずっと有利である。というか、中学から大学まで 10年間も学んだ英語をビジネスに使えないなんていうのは、私としては信じられないのである。
「大学まで出たのに、英語を使えない」というのでは、「国際的な仕事はできない」とみていいのではないかと思う。だったら少なくとも、国際的なビジネスを展開している企業では、「使えない人材」ということになる。
だから、英語を社内公用語にするというのは、今となってはそんなに変わったことではないと思うのだ。
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コメント
「ゼイアーはなぁ、ベリーインポータントなパーズンやから…。」というお話を、思い出しました。
記事中のリンクですが、「総選挙」の記事に飛びました。1日前の記事でした。
投稿: 乙痴庵 | 2015年7月17日 05:51
乙痴庵さん:
正確には、「ジーズ・ピープルはやなあ、マイ・インポータント・ゲストやねん。アンダスタン?」 です (^o^)
あれで意味を理解する秘書は、大したものだと思いました。
リンク先、失礼しました。修正しておきました。
投稿: tak | 2015年7月17日 21:41
恐れ入ります!
ご教示、ありがとうございました!
ボインと…、基、ポイントを押さえておけば、応用が利くと…。
精進します。
投稿: 乙痴庵 | 2015年7月17日 23:02
乙痴庵 さん:
まさに、要はポイントを押さえることですね (^o^)
投稿: tak | 2015年7月18日 21:28