パナソニックの老人保健の CM で驚いた
あんまり驚いてしまったんで、正確には何の CM か覚えていないのだが、パナソニックの老人保険関係のものだったと思う。
みるからに上品なおばあちゃんが穏やかな笑みを浮かべる映像で、視覚的には静かで幸せな老後の生活というイメージを思いっきり醸し出している。しかしそのバックに流れる音楽が、"I've Been Working On the Railroad" なのだ。
この歌、日本語にも訳されていて、『線路は続くよどこまでも』というタイトルになっている。もしかしたら、この歌の日本語の歌詞からの連想で、「これからも続く人生を、いつまでもお元気で」というメッセージとしたいのかもしれない。
しかし、聞こえてくるのは英語である。英語の元歌は、文部省唱歌的な歌詞にされてしまった『線路は続くよどこまでも』とは似て非なるもので、「俺はずっと線路で働いてきたんだぜ」という線路工夫の歌である。しかも現在完了進行形だから、まだ引退せずバリバリで肉体労働を続けている男の、かなり生きのいい歌だ。
CM のバックに流れる英語の歌とはいえ、言葉として歌われたからには、言葉として聞いてしまう人間もいるのである。上品なおばあちゃんがいかにも穏やかな微笑みを浮かべる映像にかぶせて、 バリバリの現役肉体労働賛歌が流れるのだから、「ウ、う、嘘でしょ〜〜〜!」としか言いようがないではないか。
まあ、これだけじゃない。老齢の夫婦が仲良く旅行している映像にかぶせて、失恋の情が切々と語られる英語の歌が流れたりするなんていうのも、この国の CM ではよくあることで、要するに映像のバックに流れる歌は、単なる「雰囲気のモノ」としてしか扱われていないのだね。
しかし、もう一度言わせてもらう。言葉として歌われているからには、言葉として聞いてしまう者もいるのである。Tシャツの胸に、単なる「飾り」として書かれた英語を、つい言葉として読んでしまって、ぎょっとするというようなことが、エリートの広告製作者たちが作った CM の世界でもあるのだよね。
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コメント
何のⅭⅯだったか忘れましたが、ベトナム戦争の戦火の中を裸で逃げ惑う少女の映像に ルイアームストロングの
”この素晴らしき世界” をかぶせているのがありました。見るたびにギョッとしたものです。
クリエーターだか何だか分かりませんが、そういう人たちの頭の中身がわかりません。
投稿: ハマッコー | 2015年8月12日 17:13
ハマッコー さん:
「あれは反語的表現なんだ」と、もし言われたとしても、「そうだとしても、センスなさ過ぎ」と応えるしかないですね。
投稿: tak | 2015年8月12日 20:36
「去年のクリスマスは、君にゾッコンだった(のに)」
って失恋の歌も、未だにあの時期の王道ソングということで。
投稿: 乙痴庵 | 2015年8月13日 06:54
乙痴庵 さん:
まさに、「雰囲気のもの」 でしかないんですね ^^;)
投稿: tak | 2015年8月13日 08:51
あのね、いくらうろ憶えとはいえ、パナソニックは老人保険なんか販売してないし、だからそんなCM作るわけないと思うよ。
投稿: 田中ショー | 2016年7月30日 18:49
田中ショー さん:
>そんなCM作るわけないと思うよ。
人のブログにコメントする限りは、「思うよ」 だけじゃだめ。よく調べてから書きなさい ↓
http://panasonic.co.jp/pisj/business/business02.html#anc04
パナソニックぐらいの企業になると、グループ内に保険会社ぐらい持っていても不思議はないのだよ。
以後、恥をかかないように、よく覚えておくといいね。
投稿: tak | 2016年7月30日 21:13