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2015年8月17日

「ベストセラー」は避けるが、「定番」は信頼する

「ベストセラーと称されるもののほとんどは、自分には合わないんだな」と明確に意識されたのは、高校 2〜3年の頃だったのではないかと思う。それまでは、「ベストセラーというからには、いいものなんだろう」と、単純素朴に信じていた。

ところがミドル・ティーンと言われる年になった頃から、「ベストセラー」を信じないようになった。いや、別に「○○がベストセラー」という情報を信じないというわけではない。客観的データの裏付けさえあれば、「売れてる」ということは認める。しかし「世間で売れているから、いいもの」ということには、決してならない。

世の中には 2種類の人間がいる。「ベストセラーを自分も買う」という人間と、「ベストセラーはまず買わない」という人間だ。私は紛れもない後者である。ベストセラーは敬遠して間違いないと思っている。

そもそもベストセラーとはいっても、消費者の大半が喜んで買っているというものではない。例えば 100万個の品物が売れたというだけで、「ベストセラー」と喧伝されるが、それは日本人の 1%以下に売れたというに過ぎない。こうして伝えられたベストセラーが話題を呼んで、「だったら私も買う」というベストセラー大好き人間にも売れて、それでもせいぜい 200〜300万個が売れるに過ぎない。

まあ、日本人の 2%に売れてしまえば、「大ベストセラー」になる。ただ、残りの 98%のほとんどが「ベストセラーは買わない」と明確に思っている層というわけではなく、ほとんどはたまたまその商品ジャンルに興味がないか、単に買いそびれたかという人たちである。自分が興味をもつ商品ジャンルなら、ベストセラーを買うという人はかなり多い。

私のように「ベストセラーと言われる商品ほど疑ってかかる」という人間は、結構なへそ曲がりである。ベストセラーを買わないからへそ曲がりというわけではなく、元々へそ曲がりだから、ベストセラー的な趣味とはかみ合わないのだ。

例えば書籍の分野を想定すれば、それが納得しやすい。本のベストセラーというのは、普段本を読まない人が買うから、ベストセラーになるのである。本が大好きという人から見れば、ベストセラーは大抵くだらなく見えてしまう。

同様に大抵の人にとって、こだわりのある分野では、ベストセラーは物足りないのである。そして多くの分野でこだわりを持ってしまうと、大抵のベストセラーは「避けて正解」ということになってしまう。

そしてかなりの「こだわり人間」と思われている人でも、別にこだわりのないジャンルでは確実に売れている商品を買ってしまったりする。そうした商品こそ世の中で「定番」と呼ばれているもので、私は「ベストセラー」は避けるが「定番」についてはそんなことはない。

だから、へそ曲がりでも買ってしまう「定番」は、かなり信頼のおけるものであり、さらに、へそ曲がりがこだわりのあるジャンルでも買ってしまうほどの定番商品となると、それは「最強」といってもいいと思うのである。

 

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コメント

なるほど、ベストセラーの本はつまらなく、ロングセラーの本は楽しめるというのは、そういう理屈だったんですね。納得です。

投稿: kazuhiro | 2015年8月17日 02:12

ベストセラーにも良いものもあります。確かに少ないですけど、山本七平さんの「日本人とユダヤ人」なんかは、当時面白く読みました。彼の本は「一下級将校の見た日本軍」とか ちょっと信じられないぐらいの記憶力を発揮しているものもありますね。

投稿: basara10 | 2015年8月17日 06:21

「ナイツ」という漫才コンビのネタを思い出しました。

A:「視聴率が35%を超えていたんですよ!すごいですよねぇ!」
B:「全体の65%は、観ていなかったってことですけどね。」

本好きの母の書棚には、芥川賞も直木賞も、なぜか置かれてません…。

投稿: 乙痴庵 | 2015年8月17日 14:18

kazuhiro さん:

まあ、一般的傾向としては、これで行って大きな間違いはないと思っています。

投稿: tak | 2015年8月20日 17:30

basara10 さん:

『日本人とユダヤ人』 は、「話題の本」ではありましたが、「ベストセラー」と言えたのかどうか、私としては疑問です。

周囲を見渡しても、あれをまともに読んだ人なんてほとんどいません。

私の中では「ベストセラー」の位置づけではないので、読んじゃってます。あるいは、「ロングセラー」だったかも。

投稿: tak | 2015年8月20日 17:32

乙痴庵 さん:

視聴率 20% はあっても、読破率 10% なんて、まずあり得ないですね ^^;)

前にも書いたことがありますが、漱石の 『坊ちゃん』を読んだことのある日とだって、愕然とするほど少ないです。

投稿: tak | 2015年8月20日 17:34

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