牛の乳はいいが、他人の乳は 「気持ち悪い」 と感じる人たち
The Huffington Post の「あるママが友人の子供に授乳する写真を投稿したら、起こったこと」 という記事を読んで、いろいろと思うことがあった。
ジェシカさんという女性が友人の子どもを預かって、自分の子どもと一緒に授乳(母乳)している写真を SNS に投稿したところ、多くの肯定的なコメントに混じって、「気持ち悪い!」という否定的なコメントも少なからず殺到して、大嵐状態になっているのだそうだ。何かとても考えさせられる「事件」じゃないかと思うのだよね。
他人の子どもに授乳するのが気持ち悪いというなら、日本に昔から伝統的に存在した「乳母」という制度は、否定されることになってしまう。さらに、牛のミルクを原料とした粉ミルクを水に溶いて飲ませるのは「ごくフツー」なのに、人間の母乳を飲ませるのが「気持ち悪い」と思われるようでは、世も末だと思ってしまうのだ。
ちなみに我が家の 3人の娘は全員、100%母乳で育った。粉ミルクを買ったことは 1度もないし、子供たちが十分に生長して、自分で牛乳を飲むことができるようになるまでは、母乳以外のミルクを 1滴たりとも飲ませたことはない。だから、育児には積極的に関わった私だが、粉ミルクの溶き方を知らない。
昔から、母乳の出にくい母親というのは存在していて、そんな人の代わりに母乳を提供する人はいくらでもいた。粉ミルクのなかった昔は、そうでもしなかったら赤ん坊は栄養失調になってしまっただろう。そうした「ごく当たり前のこと」が「気持ち悪い」と感じられるというのは、人間が「生物としての当たり前の感覚」を失いつつあることを示す。
将来的に人類が滅亡する時があるとすれば、気候変動や隕石落下などの外的要因も考えられるが、それ以上に「人間が生物的感覚を失ってしまう」という内的要因が働くことも大いに考えられるだろうと思うのである。
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コメント
その視点で感じること。
「臭い」に対する日本人の考え方が、おかしな方向を向いてきているかと思います。
香水臭い人は稀有な存在となってきているのでしょうが、柔軟剤臭い(あえて臭いと表現します)人の増えたこと…。
臭いで危険を察知する機会を、奪われ始めています。
投稿: 乙痴庵 | 2015年8月23日 21:45
ありゃ、また飴理科さんですか。もしかして、飴理科さんでは母乳で育てること自体がマイノリティになっているのでしょうか?
あと、日本では以前は乗り物の中でお母さんが胸をはだけて授乳する場面が珍しくありませんでしたが、多くの飴理科さんはそうした場面も「気持ち悪い」のでしょうか?
なんか生き物として変じゃね?飴理科さんよ。
投稿: 萩原水水 | 2015年8月23日 23:06
乙痴庵 さん:
潔癖症が 「フツー」 になってきているようですね。
>柔軟剤臭い(あえて臭いと表現します)人の増えたこと…。
なるほど、あれって、柔軟剤の臭いですか。何となくそれっぽい臭いの人っていますね。
投稿: tak | 2015年8月24日 10:14
萩原水水 さん:
彼の国には、ピッカピカのシステムキッチンは来客に見せびらかすためで、実際は滅多に使わず、外食ばっかりという人も多いようですね。
それで、いつまで経ってもピッカピカのまま。
投稿: tak | 2015年8月24日 10:16
アメリカ東海岸在住の者です。母親が公共の場所で授乳するというのは少し前まではあまり受け入れられていませんでしたが、そうする権利というのが最近かなり認められており、その風潮は変わってきています。La Leche Leagueという団体が母乳の促進にかなり頑張っています。それでも公共の場では胸を隠して授乳できるカバー(もしくはタオルなど)を使います。胸が性的対象で隠すもの、という考えはもともと欧米のものと聞きました。
英語にもwet nurse(乳母)という言葉はあるのでそうする風習は昔からあったものです。特に特権階級の女性は自分では授乳しなかった傾向にあるので、他人の女性をやとって母乳を与えていました。でも、粉ミルクの登場で粉ミルク会社がその方が衛生的で近代的という考え方を植えつけてしまい、母乳を与える習慣がほとんどなくなってしまいました。最近母乳の方がはるかに健康的という医学的データは疑えず、復活しましたが、他人の母乳を与えるという風習はすたれてしまったようです。
余談ですが、ネッスルが南米で粉ミルクをまかなえない女性達にまで粉ミルクを与えるようなキャンペーンをして、貧困層の女性の母乳がでなくなってしまい、粉ミルクを薄めて与えるなどした為大変なスキャンダルになり、ネッスルのボイコットになったことがあるそうです。70年代くらいだったかな。
投稿: めぐみ | 2015年8月24日 12:12
めぐみ さん:
>胸が性的対象で隠すもの、という考えはもともと欧米のものと聞きました。
どうもそのようですね。
日本ではかなり大らかなものでした。
総体的に、粉ミルク会社の戦略が効きすぎているようですね。
投稿: tak | 2015年8月24日 21:13
牛乳はいいけど他人の母乳は気持ち悪い、というのは所有感覚の差異みたいなものも大きく絡んでる気がします。
牛に子供を乗っ取られることはないが、目の前の乳が出る母親にだったら…みたいな…
母乳は母親の特権みたいなものですしね。
子供を母親(だけ)の所有するものと見なすような感覚は強くなってる気がするのですがいかがでしょう。
子供を他人に触られるのが嫌、というのもわりと聞きますし、子供に笑いかけただけで敵意むき出しのお母さんとかもけっこういます(^-^;)。
他者との垣根が高くなっているというか…
それこそ文明開化のころなんて「牛の乳を人が飲むなんて!」だったんですよね~
慣れ、不慣れもあるのかな。
投稿: ユーリ | 2015年8月26日 18:46
ユーリ さん:
>牛乳はいいけど他人の母乳は気持ち悪い、というのは所有感覚の差異みたいなものも大きく絡んでる気がします。
>牛に子供を乗っ取られることはないが、目の前の乳が出る母親にだったら…みたいな…
ちょっと似てるかもしれませんが、私はビミョーに別の見方をしています。
というのは、他人の母乳を授乳してもらうと、「よく似てるけど、明らかに違う存在から発したモノ」 という認識があからさまになります。
一方、粉ミルクはほとんどが牛乳を原料としていることはあきらかですが、その原料収集プロセスが目に見えません。ですから、他の加工食品と同等のものという認識となります。
もっといえば、肉製品はその原料収集プロセス (早く言えば 「屠殺」 ね) が、巧妙に隠されていて、消費者は残虐さをほとんど意識しません。
同様に、粉ミルクも他のほ乳類の乳から絞ったものという事実をあまり如実に意識しません。
つまり、他人の母乳の方が、「より生々しい」 のでしょう。
>それこそ文明開化のころなんて「牛の乳を人が飲むなんて!」だったんですよね~
当時は 「牛の乳」 という感覚が生々しかったんでしょうね ^^;)
投稿: tak | 2015年8月27日 20:35