「男の日傘」を巡る冒険
「男の日傘」の売り上げが増加しているのだそうだ(参照)。傘専門店のスタッフによると、「2011年に環境省が日傘の使用を推奨し始めてから、商品のバリエーションが増加」していて、「最近では機能性を重視したタイプや、男性が持っても気恥ずかしさを感じないデザインの日傘が登場」しているのだという。
いやはや、環境省が日傘の使用を推奨しているなんて知らなかった。本当かなあと思って調べてみると、確かに環境省のサイトに、平成 23年 7月 19日 (つまり 2011年ね) 付の、「ヒートアイランド現象に対する適応策の効果の試算結果について」というタイトルの報道発表飼料がみつかった。以下のような記述がある。
上着を着用して歩行するケースに比べ、上着を着用しないクールビズを実施するケースの熱ストレスは約11%低減し、さらに日傘を併用すると合計約20%軽減できること、街路樹がないケースで日傘を差す効果は、10m間隔で街路樹を形成する効果に匹敵すること等、熱ストレスの観点からは男女問わず日傘を活用することが望ましいことが判明しました。
(中略)
このため、街路等の改良の推進とともに、このようなライフスタイルや暑熱回避行動を呼びかける普及啓発、これらを可能にするためのクールシェルターの提供、信号待ちのための緑陰・日除け等の整備、男性用日傘の商品開発・普及等も並行して進める必要があります。
なるほど、日傘使用の効果には、お墨付きを与えていることがわかった。
で、男性用日傘として、どんな商品が売れているのかというと、上述の記事によれば、「やはり一番人気なのは折り畳み式の日傘」なのだそうだ。そりゃ、そうだろうね。いくらなんでも、長い日傘をもって歩きたくはない。気恥ずかしいというより、絶対にどこかに置き忘れる。雨傘でさえ置き忘れるのだから、日傘なんて何本あっても足りなくなる。
さらに傘専門店としては、「男性がさしても違和感なく使えるようにと、日傘らしい淡いカラーを取り揃えている」というのである。「雨傘と勘違いされたくない」というニーズがあるのだそうだ。
しかし、そのくせして、この記事で紹介されている売れ筋商品はすべて「晴雨兼用」というのである。 「突然の雨でも安心して使うことができるので、カバンに一本忍ばせておくのはいかがだろうか」という結論になっている。
そんなことなら、わざわざ日傘を買うまでもなく、日射しが強すぎてたまらないという時には、フツーの折り畳み傘を使えばいいんじゃあるまいか。上述の「雨傘と勘違いされたくない」というニーズに応えたデザインの日傘は、せっかくの「晴雨兼用」でありながら、雨の時に使いにくいんじゃなかろうか。
個人的には「ご覧のように日傘を買って使ってます。あ、でも、これ晴雨兼用なんですけどね」となってしまうより「あんまり暑いんで、急遽雨傘をさしてみたところ、結構日よけになって便利です」という感じの方が、素直な気がするんだがなあ。どうせ晴雨兼用ということなんだから。
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