仙台はゴスペル王国だった
今日、所用で仙台に日帰りしたのだが、たまたま「定禅寺ストリート・ジャズ・フェスティバル in 仙台」というイベントが開かれていた。仙台の中心街がすっぽりと野外音楽会場と化していたのである。いやはや、驚いた。
このイベントは「ジャズ・フェスティバル」と謳ってはいるが、ジャンルを問わない市民音楽祭といったところで、誰でも参加申し込みができるらしい。こういうとお下手な素人音楽を聴かされるお祭りと思う人もいるかもしれないが、出演者のレベルは結構高い。十分に楽しめる。
私が嬉しかったのは、かなり多くのゴスペル・グループが参加していたことである。何しろ私は黒人音楽大好き人間であって、中でもブルースとゴスペルはたまらないほど好きなのだ。ブルースは自分でもやるしね。
30年以上前に初めてニューヨークに行った時、たまたま乗ったタクシーの黒人の運転手が、それまで聞いていたカーラジオのスイッチをあわてて切ろうとした。それは多分 FM のゴスペル専門局の番組だったが、東洋人の顔をした客なんて「それ、消してくれ」と言うに決まってると思ったらしい。
ところが、この日の東洋人はちょっと変わっていた。乗ってくるやいなや、"Don't turn it off!" (消さないで)なんて言い出す。その上、"I love this kind of music."(こういう音楽、大好きなんだ)なんてほざいて、ノリノリになってしまったのである。
彼は信じられないといった表情で、「これ、何だか知ってんの?」と聞く。こっちは「もちろん! ゴスペルじゃん」なんて言っていい気持ちになっている。彼は半分あきれ、半分嬉しそうに、「あんた、きっと変装した黒人だね」なんて言い出した。音楽で通じ合えるというのは本当のことである。
仙台という街はゴスペルが盛んらしい。何しろ「仙台ゴスペル・フェスティバル」というイベントが毎年行われるほどというのだ。今日も仙台駅前ではヤマハのゴスペル教室の精鋭部隊がバッチリきめたパフォーマンスをしていたし、市内の公演や広場では、何組ものゴスペル・グループが次々に演奏していた。それがなかなかのものなのである。
実は私も昔からゴスペルをやりたくてたまらない。ところがゴスペルというのは一人でやってやれないこともないが、本来は合唱が基本だから仲間が必要だ。しかしゴスペルを歌えるやつって、そうはいないのである。
日本人の多くはハモるのが苦手で、私より上の年代は『椰子の実』とか『夏の思い出』とかのクラシックな「合唱」ならできても、即興的なハモりとは無縁だったりする。(これに関しては、4年前に「世代別ハモり感覚」というタイトルで書いている)
そしてハモりができる少数派でも、その中で「カタカナ英語」ではなく、きちんとノレる英語で歌えるやつは、さらに少ない。ゴスペルをカタカナ英語でやっても「今イチ」なのは、浄瑠璃を巻き舌でやったら、頑張ってるのはわかるけど雰囲気壊れるのと共通している。だから私は、日本でまともなゴスペルをやるなんて、ほとんど不可能なんじゃないかと思っていたのだ。
ところが仙台に行って驚いた。「まともなゴスペル」をやるグループが、ゴロゴロいるのである。なんてこった。さすが仙台である。YouTube で、仙台ゴスペル・フェスティバルのビデオが見つかったので、下に埋め込んでおく。
ついでに、今日の仙台のパフォーマンスの中で一番気に入ってしまった "Dash♪" というグループの動画もみつかったので、埋め込んでおこう。これはオススメである。
最後に一言。ゴスペルは信心の歌だから、歌うにも信心が必要だからね。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 高石ともやさん、ありがとう(2024.08.19)
- 『ドレミの歌』の「シ」と "tea" の謎が解けた(2024.06.12)
- 永遠の『おどるポンポコリン』(2024.05.25)
- シルヴィ・ヴァルタンは、ラクダに食われていたのだ(2024.04.13)
- チャック・ベリーの曲のイントロと手拍子を巡る冒険(2024.04.06)
コメント
重箱の隅ですが、冒頭、「常禅寺」ではなくて「定善寺」です。
と、なんでそんなところに機敏に反応するかというと、
> 「ジャズ・フェスティバル」 と謳ってはいるが、ジャンルを問わない市民音楽祭といったところ
というわけで、私の仲間も出演しているからなのです。会場付近を歩くなかで、もし琉球三線の音色が聞こえたとしたら、たぶんそれは私の友人たちです(仙台の同門の仲間+東京横浜方面から遠征した仲間)。
私自身は例年他のイベントへの出演と重なることもあって、定善寺ジャズフェスには参加したことがないんですが(;_;)
投稿: 山辺響 | 2015年9月14日 13:40
山辺響 さん:
ありゃ、おかしいなあ! と思って確認したところ、やっぱり「常禅寺」 のようです。
https://www.facebook.com/jozenji.streetjazz
https://ja.wikipedia.org/wiki/定禅寺ストリートジャズフェスティバル_in_仙台
「法善寺横丁」 だと 「善」ですが (^o^)
イベントのプログラムを見たら、榴ヶ岡天満宮のステージで「東京横浜三線道場 東門」というエントリーが見つかりました。これですかね。
今回は時間が限られていて、榴ヶ岡の方までは到底廻れませんでした。仙台の街中に、46箇所もステージがあるので、狙いを定めて聞きに行くしかないですね。
できれば、来年もジャズフェスの時期に合わせて行きたいと思っていますが、どうなるかは来年にならないとわかりません。
投稿: tak | 2015年9月14日 17:32
山辺響 さん:
YouTube で、一昨年のジャズフェスの動画が見つかりました。
『唐船ドーイ』でノリノリのカチャーシーになってますね。
来年は是非拝見して一緒に踊りたい (^o^)
投稿: tak | 2015年9月14日 17:48
あ、間違いを指摘したつもりの書き込み自体が間違っていた!(^^;;;;;m(__)m
「常禅寺」の「禅」を「善」に直したかったのではなくて、「常」を「定」に直したかったのです
そう、「東門(あがりじょー)」が我々のグループです。「子の方(にぬふぁ)」というのが同門の仙台の教室。
投稿: 山辺響 | 2015年9月15日 11:19
山辺響 さん:
あ、本当だ! さっそく直します。
ご指摘、感謝です。
投稿: tak | 2015年9月16日 01:18