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2015年9月23日

「久しぶり」という言葉

だいぶ昔のことになるが、「英語で『お久しぶり』って何て言うの?」と聞かれ、「う〜ん、ぴったりくる言い方ってないよね」と往生したことがある。よく "Long time no see." がそれにあたると言われるが、なんだかカジュアルすぎる言い方で、「久しぶりでお会いできて嬉しいです」みたいな、改まった場面にはそぐわないと思ってしまう。

和英辞書的には、"I haven't see you for a long time." なんていうのが出てくる。直訳すれば 「長い間、お会いしませんでしたね」ってなことで、即物的な言い方にすぎない。これだけじゃ日本語の雰囲気は表現しきれないような気がする。

で、結局のところ「お久しぶり」というのは日本語独特のとても雰囲気的な挨拶であって、この感覚をぴったりと言い表せる英語の言い方なんてないんだと思うようになった。「行ってきます」とか「ただいま」にぴったりと相応した英語の挨拶がないのと同様のことだと。

英語で言うとしたら、"Nice to meet you." あたりでいいんじゃないかと思う。直訳すれば「会えて嬉しい」ということにすぎず、初対面でも使える挨拶ではあるが、初対面か久しぶりかは会った当人同士がわかっているのだから、「久しぶりに会えて嬉しい!」ということなら、ちょっとオーバーなぐらいの感情を込めて言えばいい。

あんまりオーバーな言い方がそぐわないような、フォーマルな場面だったら、私は "Great to see you again."(再びお会いできてとても嬉しい)なんて言い方で済ませている。「久しぶり」という日本語の直訳があると思っているからわからなくなるのであって、「会えて嬉しい」という気持ちの方をストレートに言うのが英語流なのだろう。

考えてみれば、「久しぶり」という日本語はかなり曖昧模糊とした言葉である。以前、健康診断のために病院に行き、記入した申し込み書類を窓口に提出しようとしたところ、そこに陣取っていた白衣のおじさんが、「久しぶりの方は、こちらの窓口に出してください」と大声で繰り返していた。

私はその病院は初めてだったので、迷うことなく通常の窓口に書類を出したが、以前に受診したことがある人は、戸惑ってしまっただろう。「久しぶり」というのが「1週間ぶり」程度なのか「1年ぶり」ぐらいのことなのか、あるいは「5年ぶり」ぐらいのことを指しているのか、まったくわからない。

後学のために、そのおじさんに 「久しぶりって、どのくらいの期間のことを指して言ってるんですか?」と聞いたところ、「半年ぐらいです」と言う。「その『ぐらい』って何だよ!?」ともツッコみたかったところだが、まあ、それで済ませるにしても、それだったら初めから「前にいらしてからおよそ半年以上経った方は、こちらの窓口に」と言えばいいではないか。

まあ、ことほど左様に日本語の「久しぶり」というのは雰囲気のものなので、無闇に使うと、かっちりしたことの要求される場面でも、雰囲気だけの話に落ちてしまうリスクがある。

 

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