ジュンク堂渋谷店のお粗末
"丸善ジュンク堂渋谷店、「自由と民主主義のための必読書 50」 ブックフェアを中止" という記事、読んでみても今イチどういうことなのかわかりにくい。それも道理で、要するにこの書店内部がまともにマネジメントできていないのだろう。当事者自身がよくわかっていないみたいなので、外部の人間がわからないのも当然だ。
当初の報道では、同書店の展開するブックフェアで、店頭に置かれた書棚に、「SEALDs」と作家の高橋源一郎氏による 『民主主義ってなんだ?』 や、アメリカ・ニューヨークのウォール街占拠デモを紹介した 『私たちは“99%”だ――ドキュメント ウォール街を占拠せよ』 などがあるという話だった。
そんな中で、Twitter では「ジュンク堂渋谷非公式」というアカウントが、「夏の参院選まではうちも闘うと決めましたので!」 とか 「うちには闘うメンツが揃っています。書店としてできることをやります!一緒に闘ってください」とかいう tweet を連発するに至り、それに対して「偏向だ」との批判も高まっていた。
しかし私としては、「公共団体じゃなくて私企業なんだから、書店がどんな政治的主張をしてもいいじゃん」と思っていた。その書店の政治的立場に近い人は当然それを支持するだろうし、反対の立場の人はボイコットするだろう。それだけのことだ。
書店がリスクを張って選んだマーケティング手法なんだから、いいじゃないか。それに対して「偏向している」などと批判してもしょうがない。気に入らなかったら、他の本屋で買えばいいと、私はごく単純に考えていた。
しかし、どうやらコトはそんなに単純じゃなかったらしい。このブックフェアの本のセレクションは、どうやら従業員の跳ねっ返りによるもので、企業としての丸善ジュンク堂は、反政府的な政治的主張を行おうという気は全くなかったようなのだ。
それで書店側は、非公式アカウントの 発言は従業員による「特定の意見を支持するツイート」で「弊社の公式な意思・見解とは異なる」と表明し、従業員の処分の可能性も示唆した。さらに選書の内容も、「本来のフェアタイトルの趣旨にそぐわない選書内容」としてご破算にしてしまった。
要するに、書店内部のマネジメントとコントロールが全然できていなかったということのようなのである。というわけで、ジュンク堂の他の店舗はどうなんだか知らないが、渋谷店はスケールが大きいだけで、内実はちょっとお粗末な本屋さんだったのねと、知れてしまったというだけのことだと、私は解釈することにした。
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コメント
そのブックフェアには賛同する気も興味もありませんが、ちょっと変わった店員さんがそういうイベントを企画するということ自体は、結構なことなんじゃないかなあと思います。
大きな書店のメリットって、ロングテールの商品を目に見える形、あるいは手に取ったりできる形で陳列したりアピールしたりできることだと思うんですよ。
だから、経営陣がやるべきだったのは、その1週間後には「美しい国・日本」フェア、その翌週には「習近平が世界を平定する日」フェアみたいな感じで二の矢、三の矢を放つことだったような気がします。
本も音楽も、なんらかの体験(握手会とかコンサートとか)と関連付けないと売れないという意見を見たことがあります。ディズニーランドに遊びに行った親子がおみやげにダンボの絵本を買ってくる、そんな感じでしょうか。もちろん、そうした政治関連フェアで陳列される本がダンボほどのsubstanceがあるか、疑問の残るところですが…
投稿: きっしー | 2015年10月26日 13:48
きっしー さん:
私も、書店がそうした企画をするのは悪くないと思います。
しかし、せっかくの面白い芽を、書店が自ら摘んでしまいましたね。
投稿: tak | 2015年10月26日 20:19