組み体操の「達成感」 とは
大阪・八尾の中学校の運動会での、組み体操事故が巷の話題になっている。産経 WEST によれば、この中学校の運動会では昨年も組み体操で事故があり、さらにその前年にも練習中に事故があって、3年間で 8人が骨折しているという(参照)。そして今年は練習でも 1度も成功していないのに本番で決行するという思い切りのよさだったらしい。
ちょっとした怪我も避けようとする「過保護教育」が増えている中で、いくら「生徒に達成感を知ってほしい」なんて言っても、よくもまあ、これだけのリスクを冒したものだと、ある意味感心する。大阪の八尾という地域は、このくらいの無茶をしても学校にねじ込みに来る「モンスターペアレント」がいない土地柄なのだろう。
そう思って調べてみると。八尾の小中学校では昨年以降、組み体操の本番や練習中に少なくとも 12人の児童生徒が骨折していたことがわかった (参照)。同じ市内でこれだけの事故が起きても懲りずに続けていたということは、やはり八尾では多少の無茶は洒落で済まされてきたのだろう。
組み体操というのは、私も中学生時代にやった、というか、やらされたことがある。私は当時から図体が大きかったから、一番下の土台をやらされた。真っ先に四つん這いになり、その上にどんどん乗っかられるので、結構な重量を支えることになる。高さは多分 5〜6段ぐらいだったと思うが、一番上が立ち上がる頃にはかなりな重さを感じて、「おーい、さっさと終わろうぜ」と言いたくなる。
そして 「達成感」 ということについては、一番上に立つやつはそれを感じることもあったかもしれないが、一番下で支えているだけの者には無縁だった。何がなんだかわからないうちに成功を告げる笛が鳴り、最後にはいっぺんにペシャッと潰れて一丁上がりとなる。
どういうわけか 5〜6段ぐらいの規模だと、最後にタイミングを合わせて一斉に潰れると、怪我をすることはなかった。要するにそれだけのことで、いい思い出になったとか、達成感を味わったとかいう覚えはない。組み体操というのは周りで見ている者にはある種のカタルシスを感じさても、やってる当人たちにはおもしろくもなんともない。
要するに単なるスペクタクルで、見ている者にウケてやんやの喝采を浴びると、それをやらせた教師たちがいい気持ちになるのだろう。「達成感」 が欲しかったのは、当の教師だけだったのかもしれないね。
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