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2015年12月 2日

「新語・流行語大賞」 も変わらなければならないので

「新語・流行語大賞」というものがまだ存続していて、今年の大賞は「爆買い」と「トリプルスリー」に決定したんだそうだ。

これは七夕とか「レコード大賞」とかのように、年に一度の伝統行事化していてマスコミのニュース・ネタとしてはとても手頃だから、この時期になると必ずそれなりのニュースになる。しかし今となっては、世の中で果たす使命としては、もう終わりかけているような気がする。

このイベントのスポンサーは、生涯学習を商売にしているユーキャンという会社が前面に出ているが、昔は出版社の自由国民社だった。自由国民社といえば『現代用語の基礎知識』で知られ、二番煎じだった『イミダス』や『知恵蔵』がなくなった今でも、この『現代用語の基礎知識』だけは続いているらしい。つい「らしい」と言ってしまうのが悲しいところだが。

思えば、 『イミダス』や『知恵蔵』が 2007年版(2006年発行)をもって終了してしまった時点で、年間ベースの「流行語」というもののマーケッタビリティも、かなり低下してしまっていたのだろう。そのために、このイベントも単に「伝統行事」の一つになってしまった。

言葉の移り変わりのペースがものすごく刹那的になったり、あるいは局所的な使われ方をするようになったために、発表される頃には「今さら感覚」たっぷりになっていたり、「何それ? 知らない」なんて言われてしまったりする。この感覚は、レコード大賞などとかなり共通する。

ただ、そのあたりはイベントの主催者もそれなりに感じているようで、今年の大賞は、これまでとほんの少しだけ違った方向に進もうとしているのが感じられる。何しろ選考委員をつとめるのが、姜尚中、俵万智、鳥越俊太郎、室井滋、やくみつる、箭内道彦、清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)の 7名である。

この顔ぶれは、こうしたものにありがちな広告代理店的発想の「話題になりさえすりゃいいじゃん!」という感覚と、辛うじて一線を引いている。イベントとしての新たな存在意義を模索したくなったとしても不思議ではない。

その意味で、選考委員長の鳥越俊太郎氏は「今年はやはり政治の季節だったんだな」とコメントし、、姜尚中氏は「今年はある意味で、主役は永田町にいた」と同意したと伝えられている。これまでのミーハー的スタンスを脱して、ちょっとだけ硬派の要素を加えたいという意思が感じられる。たまたま今年の傾向がそうだったんだと言われればそれまでだが。

いずれにしても年に一度というのは、これまでのミーハー的色彩を保つには呑気すぎる時代になったのだから、イベントを続けたいなら新たな方向を探る必要があるのだろう。ただ急に大きくは変われないから、今年の大賞は 「爆買い」と「トリプルスリー」なんていう中途半端なところに落ち着いたのかも知れない。

 

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コメント

私も同感です。近年はあまり面白くないです。

googleの検索ランキングのほうがしっくりします。
以下公式ツイッターです。
https://mobile.twitter.com/googlejapan/status/671524130202755072

投稿: kaki | 2015年12月 3日 07:40

kaki さん:

Google 検索ランキングの 2位 「ラッスンゴレライ」 は全く初耳で、YouTube で見てみるまで、どんなものだか想像もつきませんでした。そして見終わった後も、あまりよく理解できていません。

6位の 「あったかいんだから」 と、9位の 「おにぎらず」 は、一度か二度、どこかで聞いたことがあるような気がしますが、詳しいことはよく知りません。

世の中、多くの人が知っていて、自分は知らないことがたくさんあるとは思っていましたが、こんなに目立ったところに、10のうち 3つもあるとは、ちょっと驚きです。

投稿: tak | 2015年12月 3日 13:37

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