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2015年12月18日

産経新聞ソウル支局長の「無罪」判決と、大統領のレイムダック化

韓国のセウォル号沈没事件当時のパククネ大統領の「謎の 7時間」に関する「うわさ」を報じた加藤達也前ソウル支局長報道が名誉毀損に問われていた裁判で、ソウル中央地裁は「無罪」を言い渡した。このニュースからいろいろな要素が読み取れる。

まず、韓国外交部が「配慮」を求める文書を地裁に出していたという点に、世界が驚いた。行政機構である外交部が、司法機構である裁判所に「ちょっと、頼むよ」 なんてな文書を出すこと自体「三権分立」の常識に反するものだが、韓国では「別に、いいじゃん」てなことのようで、判決文読み上げに先立ち、裁判長が公式にその文書を読み上げたというのだから、ますますびっくりだ。

それから今回の判決が韓国内では非難囂々になるかと思いきや、どうもそんな感じではなく「当然だよね」という受け止められ方をしているらしい。外交部の出した「文書」が、なんだか「葵のご紋章」みたいな働きをしたように読み取れる。そしてどうやらパククネ大統領は既にレイムダックになりかかっているようだ。

韓国内の主要マスコミの論調も「韓日関係の改善のためには妥当な判決」などとしている。「何が何でも反日」という空気ではなくなってきているようなのだね。やっぱり経済の調子がおかしくなると、どうしても弱気に振れる。

とはいえ、この事件の発端であるパククネ大統領の「謎の 7時間」に関しては、それが「虚偽」であるとするだけの明確な証拠が示されたわけでもなんでもないのに、裁判長が「噂は虚偽である」と言っただけで「虚偽」ということになってしまった。大きな声で言ってしまえば、それでけりがつく。

つまり、「大統領があの時、どこにいたかは知ったことじゃないけど、とにかく産経新聞の記事は嘘っぱち。ただ、嘘っぱちではあるけれど、民主主義の理念と対日関係に考慮して、それは不問にしてやろうじゃないか」ってなことであるようだ。

だったら、初めから起訴なんてしなければよかったのに、起訴した時点では、まだ大統領に忠誠を尽くすポーズを取ることに意味を見いだせる状況だったのだろう。あれからちょっとレイムダック化が進んだということだ。

 

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コメント

レイムダックでボトルネックか…。
政治家だから生きながらえてるんですなぁ。

(閑話)
被害者であることを自分からアピールしちゃう姿って、感情に響いてこないんですよね。
相手を追い込むことが好きなのか、ただ騒ぐのが好きなのか…。
問題解決してはきっと困るんでしょうねぇ…。
(閑話休題)

威厳を保つ、反日姿勢(日本人を叩く)、空白時間のはぐらかしを実現するための訴訟と、小人としての考えを記しました。

投稿: 乙痴庵 | 2015年12月19日 07:40

外交部が「ちょっと頼むよ」と干渉し、最高裁がそのことを言ってしまった。これにはたまげた。日本だったら外務大臣の首が飛ぶ。

日本外務省のウェブサイトから、韓国の位置づけについて、「価値観を共有する最も重要な隣国」から「価値観を共有」の文言が消えたのも納得できる。
それに対して韓国が抗議してきたのはお笑いでしかない。

民主主義国家の成熟度の観点からは、日本も偉そうに言えた立場ではないが、韓国はさらに50年は遅れている。

投稿: ハマッコー | 2015年12月19日 13:53

外交部からの申し入れについては黙っている。
記者から「そういう申し入れがあったはずだが?」と聞かれたら、そんなものには左右されないと答える。
私だったらそういう態度をとります。

公に、それも判決前に読み上げるというのは、「自分の本意じゃないけど無罪にします」という責任転嫁の態度に思えます。

裁判官も韓国内の世論がこうなるとは予想していなかったんじゃないでしょうか?
こんなことなら、と臍を噛んでいるかもしれませんね。

投稿: ちくりん | 2015年12月19日 14:21

乙痴庵 さん:

「初めに結論ありき」のロジックがお好きな人たちが、結論を曖昧に想定したまま突っ走ってしまうという、不慣れなことをしてしまったために、ちょっとした混乱をきたしたというだけのことに思われるんですよね。

投稿: tak | 2015年12月19日 20:58

ハマッコー さん:

>民主主義国家の成熟度の観点からは、日本も偉そうに言えた立場ではないが、韓国はさらに50年は遅れている。

そんな気がします。非を認めたくないメンタリティもあるようだし。

投稿: tak | 2015年12月19日 20:59

ちくりん さん:

>公に、それも判決前に読み上げるというのは、「自分の本意じゃないけど無罪にします」という責任転嫁の態度に思えます。

そんなところだと私も思います。妙な免罪符ではありますが。

>裁判官も韓国内の世論がこうなるとは予想していなかったんじゃないでしょうか?

要するに、国家組織の方が余計なことを考えすぎていたみたいですね。

投稿: tak | 2015年12月19日 21:02

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