夫婦別姓でもいいじゃないか
「夫婦同姓」が憲法違反かどうかを問う訴訟の判決が近付いていて、「夫婦別姓」賛成か反対かという話題が大いに盛り上がっている。私はこの問題についてかなりグズグズな態度を取っていて、5年前には 「消極的反対」 という立場だったが、3年近く前に「消極的容認」ということにチェンジした。
2010年 9月 15日の記事で、私は 「個人的にはどうでもいいが、社会全体への影響という視点で、夫婦別姓によって生じたきしみの妙なとばっちりを浴びるのはまっぴらご免なので、『消極的反対』の立場を取っている」と書いている。前提として、「夫婦別姓でも個人的には全然構わないんだけどね」というのがあるのだ。
「夫婦別姓によって生じたきしみ」って何だ? といわれそうだが、それは主に子どもの問題である。記事の中で私は、「私個人は、父か母と名字が違っていたとしても、別に抵抗は感じないが、世の中にはそのことで疎外感を覚えてしまう子供もいるだろう」と書いている。「そんなヤツいるのか?」と言われそうだが、世の中にはうっとうしくなるほどウェットな感情に支配される子どもって。現実にいるのだ。
「家族の絆」というものに過剰な幻想を抱いてしまうタイプの子は、父と母の姓が違うことについて妙な感情を抱き、勝手な疎外感を覚えてしまうこともあるだろう。私はそんなヤツとは付き合いきれないから、とばっちりを受けたくないので「消極的反対」という立場だったのである。
しかし 3年前に私は、この問題については割り切ることにした。個人的には夫婦同姓を支持するが、どうしても別姓でいたいという人にまでそれを強制するのは忍びないので、『夫婦別姓』を消極的に容認してもいい」という立場に鞍替えしたのである。「個人的には夫婦同姓を支持する」とはいえ、仮に自分がまだ独身であるとして、どうしても「別姓にしたい」という相手と結婚することになったなら、「同姓」には執着しないということだ。
現時点で「夫婦別姓に賛成」という人でも、具体的に聞いてみればそうした意見の人が多数派なんじゃなかろうかと思う。父母の姓が違うことによって子どもが複雑な思いを抱くことになるんじゃないかという問題には、それぞれの夫婦がしっかり対応してくれというしかない。
要するに、この問題に関する私の立場が「消極的反対」から「消極的容認」に変わったとはいえ、その中身はそんなに変わっていないということだ。
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コメント
こんにちは 2010年のときにも お邪魔しました。
あれから 私も少し 意見が変わっています。
それは 既婚のオッサン オバサン には この件については 発言権無しということにしたらどうでしょう。 というものです。(私も発言権無しです)
既婚でも これから元の姓に戻したいという方には発言権ありでしょうが。
このへん もうすこし当事者の声を聴いてもよいような気がします。
「息子に嫁をもらって」とか 「娘に婿をとらせて 家を継がせる」とか 言っている親を当事者に含めるかどうかは 微妙な感じもありますが、、。 まぁ これも 当事者ってことなんでしょうね。
投稿: Sam_Y | 2015年12月 7日 22:54
少し話題がずれるかもしれませんが、いまだに芸能ニュースなどで「入籍」と言っているのもおかしいと思います。どちらかの戸籍に入るというのではなく、婚姻届を出した時から夫婦がそれぞれの親の子供としての立場から脱して、新しい単位としての夫婦を形成するのが現在の日本の戸籍制度と理解しています。
その新しい夫婦の単位をどう呼ぶかにどちらかの姓を用いているわけですが、丹羽と柴田から一字ずつもらって羽柴秀吉と名乗ったように、浅井と藤原が結婚して藤井という姓にしたり、増田と岡田で増田・岡田(漫才師みたいですが)と連結姓にするとかもありではないかと思っています。
旧姓に執着する議論の中には、むしろ旧来の家制度の意識が強いのではないか?と疑問に思うこともあります。
投稿: ちくりん | 2015年12月 8日 15:03
Sam_Y さん:
「夫婦別姓」 に反対し続けているオッサン、オバサンは、「日本の伝統を守らなければ」 と思い込んでいるようなので、「伝統保持を担う当事者として、発言権は十分にある」 と言いたいでしょうね ^^;)
実際には夫婦同姓が制度として定着したのは、たかだか明治以降のことなんですが。
それまでは妻の姓なんて、あまり意識されていなかったようです。女性の苗字はあまり重要じゃなくて、「○○の妻」 とか 「○○の娘」 ってな言い方で、考えようによっては、「姓がない」、あるいは 「別姓と同姓の中間」 というようなものだったのかと思っています。
投稿: tak | 2015年12月 8日 15:49
ちくりん さん;
「入籍」 という言い方には、私も同様の違和感を覚えます。かなりの時代錯誤ですよね。
>旧姓に執着する議論の中には、むしろ旧来の家制度の意識が強いのではないか?と疑問に思うこともあります。
それもあるでしょうが、女性にしてみると、それまでの氏名が変わってしまうことで、いろいろの不都合やクリアしなければならない手続きがうんざりするほど生じるということが大きいんじゃないかと、私は見ています。
仕事や社会的活動を積極的に行っている女性にとっては、かなり大きな問題ですので、対社会的には通称として旧姓で通すというのが一つの選択肢になっているようですね。
(その方が、周囲にとっても面倒がなかったりします)
投稿: tak | 2015年12月 8日 15:56
そういえば 昔ならば 女紋という習慣があったのではと 書こうとして調べてみたら、どうも メジャーなものではなかったみたいですね。
http://inuiyouko.web.fc2.com/sirotae/j05/onnamon.html
で いうところの 4. なるほど 関西系なのか。(確かに 親は 九州)。 しかし なんだかリンク先の文章には好感がもてないなぁ 「絶対こいつ 東の人間だ」(笑)
投稿: Sam.Y | 2015年12月 8日 22:32
Sam.Y さん:
女紋というのは全然知りませんでした。東北出身なもので ^^;)
女系家族の名残でしょうか。ある意味便利ですね。
投稿: tak | 2015年12月 9日 15:11