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2016年1月26日

1海里と 1マイル

尺貫法の距離の単位である「1里」というのは、普通「約 4km」と言われているが、細かいことをいえば、「約 3.9km」だそうだ。これはまあ、大した違いじゃないからいいが、中国では 1里は約 500m で、朝鮮では約 400m なんだそうだ。これは大きすぎるほどの違いで、「虎は千里を行く」というのも、中国では 4000km じゃなくて 500km ということになる。

「1海里」 という単位もあって、これは尺貫法ではなく、"nautical mile" という言葉の和訳である。そして世界中どこに行っても、正確に 1852m ということになっている。小学校の頃に「1海里を一夜で行に(いちやでいに)」という語呂合わせで覚えた記憶があるが、一夜をかけてたった 1852m では、いくら船でも遅すぎだ。

船の速度を表す単位に「ノット」というのがある。これは漠然と、1時間で 1海里行く速さだと、ずっと何十年も思っていたが、きちんと調べてみたことはなかった。まあ、いちいち調べなくてもそうに違いないという自信があったのだが、この年になって一応調べてみると、果たしてその通りだった(参照)。

ということは、1海里を一夜で行く船のスピードは、「一夜」というのを、便宜的に午後 8時から 午前 4時までの 8時間とすると、たったの 0.125ノットということになる。時速に換算すると 0.23km/h、つまり 1時間かけて 230m しか進まないということだから、よく考えるとめちゃくちゃな語呂合わせである。

陸上と海上とで距離の単位が違うということは、陸上交通と海上交通とは別のコンセプトで行われてきたということを示す。なかなか興味深い事実である。1マイルが約 1609m で、1海里 (1nautical mile) が 1852m ということは、同じ時間かけたら陸上より海上の方がちょっとだけ長い距離を行けたということを示していると思う。

蒸気機関が発明されるまでは、馬なんかでいくより帆に風を受けて行く方が速かったのね。

 

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コメント

調べてみるとなかなか面白いです。

マイルは、歴史的にはRoman Mileに遡るようで、1000 paces(この場合は1 pace = 2 stepsなので2000歩ですね)という意味みたいです。Mileはmille(ラテン語系の1000)であると。フィートやインチ同様、人間の身体に即した単位のようです。

海里(ノーティカルマイル)は、角度ベースのようです。1歩2歩…と数えられない海上では、基準となる天体との角度を頼りに移動距離を測った、ということでしょうか。

投稿: 山辺響 | 2016年1月27日 09:53

二日前に、「ところで、海里(約1852m)と陸上マイル(約1609m)はどこから来たのか」と思い、調べたばかりだったので今回のTAKさんの記事には驚きました。

1海里は子午線の 弧の長さ/(90*60)なんだそうです。この辺りの計算は時代によって、または国によってわずかに差があるようで、いずれにしても約1852m。

1国際マイル(陸上での距離単位)は「踏み出した足が次に踏み出すまでの長さ、早い話が2歩分(これを1passus)の千(mille)倍としたようで、それが1609m。

ということは、1歩が約0.8mということなのですが、私の場合は1歩が0.6mなので1マイルが1200mということになってしまう。
自分の足の短さを実感した調べ事になってしまいました。

山辺響さんとほぼかぶってしまいました。失礼しました。

投稿: ハマッコー | 2016年1月27日 14:52

山辺響 さん:

陸上は感覚的で、海上は論理的というのが、なかなか面白いですね。

投稿: tak | 2016年1月27日 22:10

ハマッコー さん:

知的好奇心の向かう先に、何か共通した感覚ってものがあるのでしょうかね。

いずれにしても、陸上の単位は身体感覚優先で、海上となると理屈で推し量るしかないというのが、いかにもそれらしく、面白いことだとおもいます。

投稿: tak | 2016年1月27日 22:12

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