ドナルド・トランプと「本音主義」の危なさ
NewsSphere が "いまなぜドナルド・トランプなのか? 暴言・失言によって逆に支持率アップ…その裏側とは" という記事の中で、ドナルド・トランプは「不当に下層市民扱いされていると感じている白人労働階級の支持」を集めており、彼の数々の暴言・失言は。「支持者の感じている本音に近い」と指摘している。
まあ、そんなことは改めて言われなくてもわかっていた。日本流に言えば「サウナや焼き鳥屋でのオッサンたちのダハダハ政治談義」みたいなのを、大統領候補が堂々と発言してくれるので、格好の鬱憤晴らしになっているというわけだ。しかしそれだからこそ、「良識」ってものが邪魔をする層には「恥ずべき姿」と思われる。
日本でいえば、今は昔の話だが、故田中角栄なんかはそんなところがあった。共通ポイントは「金の力」という最高の説得力の背景をもつことで、それがどういうわけか「俺は苦労している」と思っている層へのアピールとなった。
田中角栄は雪深い里で苦労してきた越後人を始め、当時の高度成長期の中にあってもなかなか日の目の当たらない層の本音を理解し、それに金の力で応えようとした。それだからこそ新潟に行くと、今でも「角さん」と呼ばれ懐かしがられている。。
ただ、私は「建前より本音の方が強い」というテーゼは、実は単なる思い込みに過ぎないと思っていて、10年以上前に "「建前論」の復権を" という記事を書いている。
人間の世の中には「本音」なんかよりずっと強い「業」というものがある。本音で言っても絶対に避けて通りたいと思うようなことのど真ん中に、どういうわけか躍り込んでしまうのは、「業」のなせるわざである。この「業」という厄介なものにささやかながら抵抗できるのは、「建前」の力であり、とくに政治という場では、「正しい建前」を確保しておく必要があるのだ。
ドナルド・トランプのように「本音」で突き進むタイプを政治家にしてはいけない。角さんだって結局失敗してしまったし、彼の娘はそれをちっとも学ばずに、輪をかけて悪趣味な本音に走り、「ポピュリズム」という範疇からさえはみ出してしまった。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 世界はきな臭いが、米国と日本が踏ん張らなければ(2024.10.01)
- 初めて「何を言ってるのかわかる」自民党総裁就任会見(2024.09.28)
- そりゃ、東洋の果ての万博なんて誰も知らないさ(2024.09.27)
- トランプを支える "asshole" (ケツの穴)人気(2024.09.25)
- トランプ選挙集会ルポに見る米国の「アブナい一面」(2024.09.24)
コメント
田中真紀子はひどい勘違いオバサンでしたね。親父の威光で他の議員からはちょっとだけ有力議員扱いされる。
辻立ちでも、聴衆がとりあえず集まってしまう。演説の内容は政治の本質とはかけ離れたものでただの漫談程度のレヴェルで聞くに堪えない。まだトランプの方が政治的主張をキッパリ言ってるだけまし。
そんなオバサンが小泉政権時代には外務大臣、民主党野田政権では文科大臣をやったがいずれも政権の足を引っ張っただけ。あんなオバサンがなぜ大臣にと疑問でした。政治の世界は魑魅魍魎で素人にはわからない。
投稿: ハマッコー | 2016年1月 8日 00:17
ハマッコー さん:
マキコさんみたいに、口を開けば人の悪口を言いまくって、それで大衆にウケたと思っているような人は、いずれにしてもそこから先には一歩も進めません。
投稿: tak | 2016年1月 8日 14:37