「関東厄除け三大師」と「関東の三大師」は別物なんだそうだよ
知っている人には「何を今さら」と言われてしまいそうだが、関東のテレビやラジオで盛んに CM を流している「佐野厄除け大師」というのが、「関東厄除け三大師」の一つに数えられているわけではないと知って、ちょっと驚いた。そういえば CM では「関東の三大師、佐野厄除け大師」と紹介されていて、確かに 「関東厄除け三大師」とは言っていない
それを知ったのは、「関東厄除け三大師って、佐野厄除け大師の他は何だろう」と思ってググったのがきっかけである。なんとそれは、西新井大師(總持寺: 東京都足立区西新井)、川崎大師(平間寺: 神奈川県川崎市)、観福寺大師堂(千葉県香取市)の、3つのお寺さんとされているではないか。
「なんだ、佐野厄除け大師は入ってないじゃん! はったりか?」と思ったが、実は、「関東厄除け三大師」とは別に「関東の三大師」というのがちゃんとあって、この中に佐野厄除け大師(惣宗寺: 栃木県佐野市)が入っている。ほかの 2つは、青柳大師(龍蔵寺: 群馬県前橋市)と川越大師(喜多院:埼玉県川越市)とされている。(参照)
知らなかったなあ。何しろ 「佐野厄除け大師」 という通称だもの。いくら「関東の三大師」と言ったって、「関東厄除け三大師」とごっちゃになってしまう。ややこしくてしょうがない。
しかも、「関東厄除け三大師」の方はお察しの通り、弘法大師(空海)の真言宗のお寺だが、「関東の三大師」の方は天台宗のお寺である。そして天台宗ではあるが、お祀りしているのは伝教大師(最澄)ではなく、厄除け大師とも呼ばれる元三大師(良源)なんだそうだ。
ここで、「あれ、良源って、比叡山中興の祖ともいわれる声明(しょうみょう)の家元みたいなお坊さんで、諡号は元三大師じゃなくて慈恵大師じゃん!」と思ったが、慈恵大師の通称が元三大師なんだそうだ。しかも 「慈恵大師」の読みは「じえだいし」で、「元三大師」は 「がんざん−」なんだそうだよ (参照)。これもまた知らなかった。今まで「じけいだいし」だと思っていた。まったくもってややこしい。
還暦を過ぎても世の中はまだまだ知らないことだらけで、本当に退屈しない。
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コメント
私どもは夫婦ともに京都出身(今は大阪府民ですが)なので、厄払いというとお寺より神社を思い浮かべます。
お正月は初詣がメインで、厄払いは冬に吉田神社の節分祭、夏には祇園祭の最終日に八坂神社へ輪くぐりに行くのが一般的と思います。
一昨年まで紅葉のシーズンに比叡山延暦寺の横川中堂のモミジを見に行くのが好きでした(古木が枯れてしまいましたが・・・)、その横川の奥に元三大師堂がひっそりと建っていておみくじの元祖とされていました。
今回の記事のおかげで慈恵大師の別名が元三大師であって、魔よけのお札の角大師・豆大師でもあることが再確認できました。
投稿: ちくりん | 2016年1月 3日 04:41
ややこしい話ですね…。
ちなみに、西新井大師は自宅から徒歩圏で、お散歩の定番コースなんですが、そのコースからはちょっと離れた、いつも自転車で通る道にある大イチョウのそばにガラクタ置き場みたいなのがあったんですが、ある日そのガラクタが取り払われて、「弘法大師の道」という碑が現れてびっくりしました。
その道はこれまたいつも通る、JR田端駅に向かう道のほうに続いてて、「大師さんここを歩いたのか~」と急に親近感がわいてきた記憶があります。毎日、知らずに「弘法大師の道」を通っていたんですね。
投稿: 萩原水音 | 2016年1月 3日 14:19
ちくりん さん:
さすが、京都ですね。年中行事に年期が入ってらっしゃる。
それにしても、慈恵大師は奥行きが深いですね。
投稿: tak | 2016年1月 3日 18:12
萩原水音 さん:
さすがに江戸の下町も大したものです。
弘法大師の道の碑が、がらくたに隠れていたというのもまた、下町ですね。
投稿: tak | 2016年1月 3日 18:15