廃品回収車が、パンツを引き取るって?
遠くから廃品回収の車が近付いてくるのが聞こえる。例によってエンドレス・テープを流しっぱなしで、いろいろなものを回収するから声をかけてくれと告知しつつ、ゆっくりとやってくる。
「ご不要になりました家具製品、テーブル、ソファ、ベッド、パンツ、椅子、布団、カーペットなど、壊れていても構いません……」と、繰り返し繰り返し告げている。ん? ちょっと待てよ、「パンツ」だと? どうして廃品回収車がパンツなんて引き取るんだ? いや、これは何かの聞き違いに違いない。もういちど注意して聞いてみよう。
しかし、何度聞いても 「テーブル、ソファ、ベッド、パンツ……」と言っている。なんだ、こいつ。どさくさに紛れて変なモノを手に入れたがっているんじゃあるまいか。いや、そんなことを言われても、廃品回収車にパンツなんて差し出すやつはいないだろう。こりゃ一体、どうなってるんだ?
そうこうするうちに、廃品回収車は我が家に迫ってきた。さらに注意深く聞いてみよう。いや、それでもやっぱり、「パンツ」と言っている。こいつ、かなりアブないやつなんじゃあるまいか。さっさと通り過ぎてくれないかなあ。
回収車はさらに我が家の間近に迫り、スピーカーの声もどんどん大きく、明瞭に聞こえるようになってきた。必死に耳をそばだてて聞いていると、「パンツ」と聞こえていたのは実は「たんす(箪笥)」だったのだと、ようやくわかった。何でまたそんなに紛らわしかったのかというと、アクセントがおかしいからだ。
このスピーカーの声は「たんす」の「た」にアクセントを置いちゃっている。 「たんす」のアクセントは、本来「平板型」で、どこにもアクセントをおかずに平らに発音する。しかし「た」にアクセントを置いて「頭高型」にしたために、どうしても「パンツ」に聞こえてしまう。
(実際の声を録音したので、こちら (pants.m4a) をクリックして聞いてみていただきたい。これは我が家の間近に近付いた声を録音したので、まだはっきり「タンス」と聞こえるが、遠くで鳴っている時には、「パンツ」以外には聞こえなかったのである)
茨城は北関東から福島、宮城にまで広がる「無アクセント地帯」の南の入り口で、アクセントがかなりデタラメなのだ。とくに、本来平板型アクセントで発音すべき単語を素直に平板型で発音できない人が多い。どうしても頭にアクセントをおかないと、言葉をしゃべった気がしないらしいのだ。そして、そんな自分のアクセントがおかしいとは、ちっとも気付いていない。
いやはやまったく人騒がせなことである。このアナウンスでは「アヤしい人」と思われて、廃品を持って行ってもらおうなんて思われないんじゃなかろうか。
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コメント
庄内さんのを読んだ後だと、パンツにしかきこえないです(笑)
吹いてしまいます
( ´艸`)プププ
投稿: ひろゆき王子 | 2016年1月28日 00:18
中学生の頃新聞配達をしていまして、月末には新聞代の集金もしていました。
薬局に行って「ごめんくださーい、新聞代お願いします」と告げたら、奥から店主が出てきて棚から何やら薬を取り出し「はい、これね」といって目の前に置かれた箱をみると「風邪薬の新ベンザ」と書いてありました。
私の発話が悪かったのか、親父が商売のことしか頭になかったのか。そんな記憶が蘇ってきました。
投稿: ハマッコー | 2016年1月28日 00:23
ひろゆき王子 さん:
でしょ (^o^)
投稿: tak | 2016年1月28日 19:18
ハマッコー さん:
「新聞代/新ベンザ」 うむむ、ずいぶん違いますよね。
よっぽど商売のことしか頭になかったんでしょうか。
投稿: tak | 2016年1月28日 19:20