« デビッド・ボウイの死 | トップページ | ノー天気な姑みたいな、浦安市長の 「出産適齢期」 発言 »

2016年1月12日

ケータイ料金改革の意味がよくわからない

ケータイ電話の料金体系は元々わかりにくくて奇々怪々だと思っているが、総務省肝いりの「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」とやらの改革案が出てきて、ますますわからなくなった。

答申はライトユーザーと長期利用者 (要するに通話もデータ通信もあまりしなくて、しかもめったに機種交換しないユーザーのことね) の不公平感を是正することが主眼と言われている。しかしその代わりに、ミドルユーザーとヘビーユーザーの負担が増えるだけなんじゃないかという気がしてきた。

例えば「端末購入サポート」みたいな名目で、機種交換の時のユーザー負担が「実質 0円」になるようなシステムをなくして、同じ端末を長期間にわたって使い続けるユーザーの不公平感をなくすとされているが、それだったら、本来はライトユーザーの通話料金(どうせデータ通信なんかあまりしないんだろうから)を値下げすればいいだけのことじゃないか。

ライトユーザーの不公平感を是正するために、ミドルユーザーの機種交換の際の負担が増える仕組みにしてしまうのだとしたら、本末転倒だろう。

2年縛りが解ける頃にはバッテリーもだいぶへたってくるのだから、客観的にみても換え頃である。これまでこのタイミングで機種交換をしてきた平均的ユーザーが、「えっ、機種交換にそんなに金がかかるようになったの?」と思ってしまうようでは、ユーザー視点からは「改悪」でしかない。

機種交換に金がかかるようになるなら、月々の料金は相当安くなるのでなければ、あるいは格安 SIM がものすごく利用しやすくなる(つまり、わかりやすく、しかも断然安くなる)のでなければ、ユーザーは納得しないだろう。単に言葉の上での「指導」だけでは、実質的にはユーザーの負担が増えるだけだ。

これまでは、「2年間縛られてあげるから、端末はほとんど無料でもたせてね」ということだった。ユーザーにとってみれば、月払いの格安ローンで端末をもってるようなものだったから、余計なことを考えずに済んだ。改革案が「月々の料金を安くするかわりに、端末は現金払いでね」という意味なら、一体何がメリットなのだろうと思ってしまう。

このあたりのユーザー・ニーズの本当のところが、総務省の諮問会議はよくわかっていないんじゃないかという気がする。

 

|

« デビッド・ボウイの死 | トップページ | ノー天気な姑みたいな、浦安市長の 「出産適齢期」 発言 »

携帯・デジカメ」カテゴリの記事

コメント

そうそう…僕もそう思います。
僕もアイフォンなのですが、1年ごとぐらいのペース」で新型がでるので、
1回スルーして次にって考えても2年に1回ぐらいは機種変更するんですよね
それにお金がかかるのはいやですなあ…
(´・ω・`)

投稿: ひろゆき王子 | 2016年1月12日 22:16

ひろゆき王子 さん:

多くのユーザーの機種交換のタイミングは、2年縛り明けぐらいになってますからね。

何年も同じ機種を使い続けるようなライトユーザアー向けに、ものすごく安い料金プランを提供すれば済むだけのことですよね。

投稿: tak | 2016年1月13日 12:27

コトの本質は、携帯電話業界が寡占状態で料金の競争が無いに等しいことです。総務省が周波数帯を入札形式で販売することを嫌がったためだと言って良いです。競争がもっと激しければ、営業利益が各社1兆円規模なんていうことにはならないです。

入札をすると落札額が高騰して結局消費者が損をすると言う「専門家」も多くいますが、事実は公共の電波をタダみたいなコストで入手した寡占業者が異常な利益を上げているという現実の結果が示しています。
入札で国庫に入るお金は、納税者の負担軽減にもつながるのだし。

入札問題に関する「専門家」の意見もそうですが、端末の名目価格なんていう関係ない目くらましで消費者を脅して議論をぐちゃぐちゃにするのは、この業界の悪癖です。

端末価格をどうするかなんてのは、各業者に任せておけばいいのです。キャッシュ・リベートを払いたければ、払えば良いし、ゼロ円で配りたければ配ればいい。
消費者の利益を考えなければならない政府は、単に基本料金や利用料金が下がるにはどうしたらいいかを論理的に突き詰めればいいわけで、答えは競争しかないです(逆に政府が料金を決める制度にして引き下げるという方法も考えられますが、おそらくそうなるとサービスの低下が業者にとって最適解になってしまう可能性があります)。

MVNOは結局大手からの卸値よりは安くできないというコスト構造の限界があるので、一定以上は大きくなれません。
本格的な新たな通信業者の参入を促すためには、長期的には周波数オークション、短期的には新規参入者に有利な周波数割り当てをすることでしょう。
ただし、後者に関しては、ソフトバンクがイーモバイルを4G通信向け周波数目当てに買い叩いたようなことができないように、割り当てで安く入手した周波数は被買収時には返却するといったルールも必要ですが。

端末代金の話は本質的でないので、競争環境が変わらない限り、そのうちまたゼロ円になります。
古い在庫をゼロ円で処分しちゃいけないのかと聞かれてノーとは言えないし、2年前のモデルと1年前のモデルの間に線引きができるのか、1か月前のモデルと何が違うのか、とかキリがないですから。

投稿: きっしー | 2016年1月13日 17:09

話はそれますが、通信業界の料金制度に、指導という口出しするんだったら、新聞業界にもっと指導をしろと強く思います。

新聞なんて何でもいいという人は、拡張員の差し出すまんじゅうに応じて三か月ごとに次々と購読新聞を変えていきます。まんじゅうは洗剤、ティッシュペーパー、東京ドームの入場券、歌舞伎座の観劇券だったり多岐にわたります。
私が経験した最強のまんじゅうは「福沢諭吉」でした。
あのクオリティペーパー?を ”三か月だけでいいから取ってくれ” と、言われましたが、インターネットがあるからいらないと断ったら、 ”じゃ、これで新聞代三か月払ってくれ” と「福沢諭吉」を差し出されました。
”そういうことしちゃいけないんじゃないの” と言ったら慌てて帰っていきました。

一方、長期購読者にはほとんどまんじゅうは配られない。まんじゅうとまんじゅうを配る人の人件費を負担をしているのは長期購読者でしょう。不公平ですね。

さらに大きな問題は{押し紙」です。実際の配達部数に何割か上乗せした部数を新聞販売店に押し付けて販売する業界の悪習です。私は新聞配達をしていたので、毎日大量の新聞が残されているのを実際に知っています。

それでも、折り込みチラシの多い販売店は余裕で経営していけますが、そうでない販売店は給料を下げてぎりぎりで経営しています。その負担は新聞配達員にしわ寄せされてます。

資源の無駄使い、環境への負担という観点からも「押し紙」はもういい加減に政府が強い指導をするべきだと思いますが、いつまで見て見ぬふりをしているのか不思議です。

軽減税率を新聞に適用するなど、政府は業界に何か弱みを握られているのでしょうか。
それた話で失礼しました。

投稿: ハマッコー | 2016年1月13日 20:27

きっしー さん:

なるほど、構造的な問題なわけですね。

とすれば、今回の答申案は表面をちょこちょこつついているだけのようですね。

投稿: tak | 2016年1月14日 00:37

ハマッコー さん:

新聞は最大の既得権業界で、それゆえに最大の守旧派といえますね。

しかし長期的には衰退産業ですから、時々衰退産業特有の悪あがきをします。

投稿: tak | 2016年1月14日 00:38

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ケータイ料金改革の意味がよくわからない:

« デビッド・ボウイの死 | トップページ | ノー天気な姑みたいな、浦安市長の 「出産適齢期」 発言 »